第6話
ミーナは必要最小限の装備を身につけているだけで、戦士というよりはアスリートのような格好をしている。ロルナレンは鎧を着けた戦士を絵に書いたような姿だ。
そしてソシリアは、全身を余すところなく覆う重装備で、二人に比べれば一つひとつの部品が大きくてごつく、フィルムは他の二人よりも三倍近くの大きさがある。
「なんか、私のだけやけに大きくない?」
ソシリアがエクシードを身につけた自分の姿を見つめて、思案顔になる。
「えぇ? いいじゃない。私のなんかこんだけよ?」
ミーナが要所を守るだけの頼りないエクシードを見て、不満そうに唇を尖らせる。
「私のは、結構普通に騎士みたいね」
ロルナレンも自分が装着しているエクシードを見て、満足そうに頷いた。
「それはソシリアが重装備後方援護型で、ミーナが突撃型でロルナレンが汎用型だからですよ。
でも、重装備でも動きに支障はないでしょう?」
「ああ、なるほど。そういうことか」
「あっ、本当だ。言われて見れば装備は凄いけど、全然動き辛くない」
私が説明すると、二人は納得したように動けるか確認するように体を軽く動かした。
「これってどうやって使うの? 武器とは違うのは分かるんだけど」
ミーナは装着したエクシードの最大の特徴ともいえる、可動式の機械的な翼をみて問い掛けてきた。翼を見て空が飛べると悟ったのだ。飛べるのならば飛んでみたいと思うだろう。
「あ、武器を使うときみたいにヘッドギアに波動を集中してください。ゴーグルが出るはずなので。機体の性能とか、武器とかはそのゴーグルに表示されます。後、射撃のときに標準なんかもできる優れものですよ」
ロルナレンの質問に私が答えると三人は集中をしたらしく、エクシードは淡い光を放ってヘッドギアからゴーグルが飛び出した。
ミーナのヘアバンドのようなヘッドギアから、片目を覆う眼鏡のようなゴーグルが飛び出し、ロルナレンは仮面のようなものが顔を覆い、ソシリアに至っては映画の敵のようになっている。
三人が集中して、自分の機体に着いて解説を見ているのを私は黙って見守っていた。
エクシードを使うには、機体の理解と波動の安定が鍵となる。頭で分かっていても体がついていかないということは多々あるが、それでも知識があるのとないのとは雲泥の差が出る。
「なるほどね」
「私のは機動力が最大の強みなのか……。羽根をどこまで使いこなせるかがカギだね」
「ちょっと、これ、武器が多くて憶え切れないんだけど……」
ロルナレンは納得したように頷き、ミーナは自分の課題を即座に把握して、ソシリアは内蔵された銃火器や、装備された武器を動かしながら、困惑した声を上げた。
「情報を頭に入れておけば、後は扱いながら慣れて行けば大丈夫ですよ。まだ十日ありますから、訓練をしながら慣れていきましょう!」
私は三人に向けて元気つけるように言うと、小さくガッツポーズを取った。
三人は私を見ると、互いに顔を見合わせて笑みを濃くさせると、力強く頷いてくれた。
「うん。よろしくね! シュリちゃん」
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