第10話 正体

 私は、革命の様子をテレビで見ていた。このままあとパレットの革命は成功するに違いない。


「ここか。」


振り返るとそこには紅鬼と警視庁長官が立っていた。


「なぜ、ここに警視庁長官が!」


私は声色を少し低くして言った。


「そしてなぜ紅鬼といる?やつは殺人鬼だぞ。」


「知っている。しかし事情があったんだ。」


「とりあえず、その仮面を外せ。舞白。」


「・・・。」


私は黙って仮面を外す。


「舞白が紅鬼の元に行ったのは知っていた。」


「・・・、おじさんが言ったの?」


「そうだな。俺が情報屋を通じておっさんに伝えたんだ。本当はあまりかかわりたくないけどな。」


「何がしたいの?」


「それは決まっている。舞白を・・・、」


お父さんは唾を飲み込んで言った。


「殺すためだ。」


その瞬間、私は飛んできたナイフを間一髪で避けた。


「俺のナイフを避けるか・・・。」


私はすぐに銃を取り出して撃った。しかし、紅鬼は銃弾をナイフで弾いた。


「その銃、FPS−102か。ていうことはお前、早撃ちのSか。」


早撃ちのS。私の裏社会での呼び名だ。あまり戦うことはないけど、襲われたときにすぐに銃を出して戦うことからついた異名だ。


「しかし、無駄だね。」


「!」


紅鬼は私の懐に潜り込み腹を一瞬で刺した。腹から血が溢れ出てくる。


「・・・、なんで私がパレットの幹部だってわかった?」


「・・・。」


今まで黙っていた警視庁長官が口を開いた。


「スパイだよ。パレットの中にスパイを入れたのさ。そしてそれぞれの幹部に接触し、盗撮器を仕込ませたのさ。」


「ッ!まさか他の幹部にも?」


「そうさ。彼の弱点を私は知っている。」


「ならなぜ、大統領は殺された?」


「全ての情報は警察トップの一部しか公開していないからさ。」


「・・・、紅鬼。いいのか、このまま革命が成功すると捕まるぞ。」


「それはない。そもそもこの革命は成功しない。なあ、おっさん。」


「そうだ。パレットは私が乗っ取るからな。」


「は・・・?」


私は血を吐く。もうそろそろ時間かもしれない。


「さて、わたしたちも行こう。最後に舞白。」


「・・・。」


「私はお前の父親ではない。お前は捨て子だったんだ。」


「・・・!」


私は驚きしかなかった。


「本当の子は今も元気で隣りにいるさ。」


「まさか・・・。」


紅鬼はあいつの・・・。

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