第6話 助人

「ところで、貴方は紅鬼のことをご存知ですか?」


「それはもちろん。彼は最強の殺し屋で裏社会では有名ですよ。」


「彼もパレットに加盟させたいのですが、できると思いますか?」


「どうでしょう・・・。彼はただ生きるために殺しをしているという噂なので。」


「そうですか・・・。わかりました。ダメ元で誘ってみましょう。」


 次の集会の日時を決めた後、俺はアジトへ向かった。なんだかんだでパレットとは話が合った。俺はジョッキに缶ビールを注いだ。キンキンに冷えたビールを飲むとついつい、くはーっという声を漏らしてしまった。この生ビールのために生きている気がする。さすがにそれは言いすぎだが、生きがいの一つになっているのは本当だ。


『おい・・・、あまり飲み過ぎんなよ。ビール腹になったらパレットに顔向けできないぞ。』


「わかってるわかってる。とか言うお前も一杯やっんてんだろ?」


『・・・。』


「お、その無視は肯定か?」


『うるさい。』


「はいはい。」


俺はビールを口にする。


『だが、さすがに怪盗の仕事もするだろう?』


「ああ、もちろん。」


『両立できるか?お前が一番大変だぞ?』


「大丈夫だ。俺は仕事の時以外は暇だからな。」


『そうか。』


「そう考えると、紅鬼は無理だろうな。」


『引っ張りだこだからな。あいつずっと人殺してんじゃないか?』


「流石にねえだろう。」


『原子力発電賛成派のY氏を殺ったのもあいつらしい。』


「原子力発電のあいつか。」


『大物を殺ってるよな・・・。もしあいつが俺等の敵になったら・・・。』


「それはねえな。あいつは食えればいいっいうやつらしいからな。」


俺は再びビールを喉に通した。


『お前、次のターゲットは?』


「決まっている。」


残りのビールを飲み込んで次のターゲットの相談をした。

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