第2の証人 怪盗・Y

第5話 接触

 俺は怪盗Y。困った人を助ける義賊だ。美術館に展示されている美術品の中には金銭的余裕がない人が最後まで守っていたものもある。その絵を金持ちの目の保養になるのは許せない。そこで俺は美術品を盗み、外国で金に変えスラムの住人を助けている。俺には相棒がいて、相棒は外国で美術品を売るのが仕事だ。この国は、国際的信用度がかなり低い。違法薬物や条約でひっかかる物品ではないかぎり、この国から出たものは基本輸入される。それが盗まれたものであっても。それにこの国から荷物を出すときもあまり中を見られない。そのため盗みさえすればあとは簡単な仕事だ。国内で売らない理由はこの国では外貨が高く売れるからだ。しかし、俺らはこんな国を変えなければいけないと思っている。貧しい人々を見捨てる国ではなく、すべての人がそれぞれにあった社会保障を受けられる国。そのために俺等は国のトップの座を盗む。


 そこで俺らは反政府組織、パレットと繋がった。


「あなたが、怪盗Yですか。」


その幹部は声は女性だったが、仮面をつけていて顔まではわからない。少女のような幼さはある一方、大人のような冷静さもある。


「これはホログラムです。少し訳あって今直接話せる状況ではないのですがもし不愉快でしたら別の者を用意しますが。」


「いえ、結構。俺の相棒も電話参加だし、あなたは幹部Sなんでしょう?幹部と話す機会はそこまで多くないでしょうし。」


「そうですか。しかしもし貴方がパレットに入ったらきっと幹部と多く関わることになると思いますよ。」


「そうですか、楽しみです。」


「さて本題に入りますが・・・、貴方は・・・いえ貴方達はパレットに入りたいってことでよろしいでしょうか。」


「はい。」


「・・・、理由をお聞きしても?」


「単純に貧しい人々をすくいたい一心です。」


「そうですか。ボスもあなたの加盟を楽しみにしています。」


「そうですか。」

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