第46話 冷静になっていれば(聖視点)
最愛の想い人は、新しい恋を始めてしまった。私に恋をしていたことは、遠い過去のように感じられた。
聖はラインを送ろうとするも、つながることはなかった。何らかの理由によって、新しいアドレスに変更したようだ。
「おねえちゃん、何をしているの?」
「蛍、これといったことはしていないよ」
蛍はライオンさながらの視線を送ってくる。
「清彦さんを想い続けるのはいいけど、ストーカーだけは絶対にしないでね。家族全員が白い目で見られることになったら、生きる楽しみを失うからね」
「わ、わかったよ・・・・・・」
蛍はゆっくりと座った。
「おねえちゃんにとっては、命の恩人だからね。ああいうことをされたら、他の男を好きになるのは難しいかもしれないね」
命を助けられていなければ、溺愛はありえなかった。特別すぎるできごとは、心の中にある思いを強くすることとなった。
「おねえちゃんは必死になりすぎたんだよ。冷静にやっていたら、振り向いてもらえた可能性はあったと思うよ。清彦さんの性格からして、好きでない人とは一緒にいないと思うから」
「必死になりすぎた・・・・・・?」
「好きでないのはどうかと思うけど、必死すぎるのもNGだよ。恋愛にあたってはバランスを求められる」
「バランスか・・・・・・・」
蛍のいうとおりにしていれば、清彦と結婚できていたかもしれない。自分を見失ってしまったことを激しく悔いた。
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