第43話 聖と偶然の顔合わせ
清彦はブックオフで、よく知っている女性と顔を合わせる。できることなら、二度と顔合わせしたくなかった。
「山本君・・・・・・」
敵対心をたっぷりと込めて、女性と向き合った。
「宮川さん、どうしたの?」
桜のラインを見せられてからは、あからさまに距離を取っていた。それゆえ、彼女は大きな変化をしていることに気づいた。前回と比べて、3~4キロくらい痩せていた。
「10分だけでいいから、二人で話をしたいです」
清彦は一瞬の迷いもなく、聖の提案を断った。
「ごめん、そんな気分になれない」
「ラインについてはごめんなさい。二股をされたと思ったことで、自分らしさを見失ってしまった」
「謝ったとしても、心の傷は消えるわけではない。あんなことをかける女性とは、二人きりになるなんてできないから」
ラインには「死ね」、「呪われろ」、「殺されろ」といったものも含まれていた。ストーカー女を上回るレベルの内容がてんこ盛りだった。
清彦は毒物を盛られ、命を失いかけている。同じことをする可能性のある、女性の傍にいるのはありえない。
「高校を卒業したことで、縁は完全に切れた状態。僕には一生、関わらないでもらいたい」
「山本君・・・・・・」
聖は身を寄せようとしたので、清彦は素早い動きで回避した。
「自分から抱きしめて、痴漢と叫ぼうとしただろ」
「そんなこと・・・・・・」
「あんたといると、運気は0に落ちる。この場からすぐに立ち去ることにするよ」
清彦はすぐに店を立ち去った。
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