第40話 学校復帰

 清彦は三週間ぶりに学校に戻ってきた。


 教室に雰囲気については、まったく変化は感じられなかった。自分はいても、いなくても同じなのかなと思った。元々存在感のあるタイプではないため、特に感じることはなかった。


 Hカップはあるかと思われる、女性がこちらにやってきた。あんな事件があった直後ということもあり、体はぶるぶると震えていた。


「山本君、お」


 桜は挨拶するのを制した。


「山本君は毒物を盛られたことで、大きなショックを受けている。あなたはさらに傷を負わせるつもりなの」


 メールの内容を見たあとだと、そんなふうに感じてしまった。聖はメンタルを完全破壊するために、こちらに近づいてきている。


「そんなつもりはないけど・・・・・・」


「山本君にとって、あなたはいてはいけない人なの。高校生になって、そんなことも理解できないのかしら?」


 桜はノートを机の上に置いた。


「山本君、三週間分のノートだよ。勉強したいときに、有意義に使ってね」


 桜の優しさに対して、胸はジーンとなった。


「桜さん、ありがとう・・・・・・」


 桜は深々と頭を下げる。


「私があんなことをいわなければ、事件に巻き込まれることはなかった。ごめんなさい」


「桜さんは気にしなくてもいいよ」


「美羽さんがあんな人だとは、まったく思っていなかった」


「桜さんに予想するのは不可能だよ」


 秋絵はやるかなと思ったけど、美羽はそんな女性には見えなかった。見た目だけで判断したことを強烈に悔いた。


 清彦のスマホに、連絡が入った。


「おにいちゃん、学校に問題なくいけた?」


「明日香、問題ないよ」


「高校では休学者向けの、単位取得制度もある。そちらを利用してみるのもいいんじゃない」


 不登校になった生徒のために、単位を特別で取得できる制度がある。そちらを利用すれば、一定数の単位取得を認められる。


「おにいちゃん、授業が終わったらすぐに帰ってきてね」


「わかった。すぐに帰宅する」


 授業開始のチャイムが鳴った。生徒たちはあわただしく、席についていた。


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