第39話 家に戻ってきた

 清彦は退院して、家に戻ってきた。


「おにいちゃん、おかえりなさい」


 退院した兄を元気づけるためなのか、妹は体を寄せてきた。


「よかった。本当によかったよ」


 毒物を入れられたことで、人間の怖さを思い知ることとなった。今後については、慎重な行動を取りたい。


 美羽については、毒物を混入させたとして逮捕された。警察の取り調べに対して、ほんのちょっとの仕返しをするつもりだったという供述をしている。致死量レベルの毒を盛ったくせに、よくいえるものだと思った。 


 聖は地上に残っている。危害を加えられないよう、細心の注意を払ったほうがよさそうだ。秋絵もそうだけど、女という生き物はまともではない。


「おにいちゃん、強烈なにおいがついているね。汗を流すために、お風呂に入ったほうがいいよ」


 入院中は一度もお風呂に入らなかった。医師から制限されていたわけではなかったけど、入る気持ちには到底なれなかった。


「私と一緒に入ろうよ。おにいちゃんといろいろなことをしたい」


「ごめん、そんな気分になれない」


 二人の話をじっくりと聞いていた、美織はようやく口を開いた。


「明日香と一緒に入ってあげなさい。清彦のことを本当に心配していたんだから」 


 1対2となったことで、形勢は一気に悪くなった。


「おにいちゃん、レッツゴー」


 明日香の元気な姿を見ていると、ちょっとだけエネルギーをもらえた。ポジティブ

に生きることは、いくつになっても大切なのかもしれない。


 お風呂場にやってきた直後だった。明日香はすべての服を勢いよく脱ぐ。数年ぶりに見た妹の裸は、大人の階段を確実にのぼっていた。


「おにいちゃん、Hなことを考えているみたいだね」


「あの、その・・・・・・」


 乳首はきれいなピンク色で、触り心地はとってもよさそうだった。


「毒物を盛られたショックを、私の裸で存分に癒してよ」


「そんなことをしたら、明日香に大きな傷が残るだけでは・・・・・・・」


「私のことは気にしなくてもいいよ。胸が膨らんだあとに、おにいちゃんの脳を刺激するのが夢だったから」


 清彦は自分の意思を優先すると、明日香は顔を赤らめる。


「おにいちゃん、とってもエッチな男だね。私としては嬉しいけど、お風呂に入ってからにしよう。声を漏らしたら、おかあさんに注意されるよ」


 清彦は手を離すと、明日香は柔らかい笑みを見せた。


「おにいちゃん、ありがとう・・・・・・」


 清彦は服を脱ぐと、体はちょっとだけ黄色くなっていた。お風呂に入るのを怠ると、こうなってしまうらしい。定期的に体を洗って、肌色を保つのを心がけたい。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る