第36話 美羽に連絡

 清彦は勇気を振り絞って、美羽にラインを送った。謝罪の気持ちを込めるために、最初に自分の非を詫びる文章を入れた。これで許してもらえるかはわからないけど、書かないよりはましだと思った。


 美羽のラインはすぐに帰ってきた。


「山本君、気にしなくてもいいよ」


 たった一つの文章の中に、優しさを凝縮されているように感じられた。


 美羽は立て続けにラインを送ってきた。


「山本君、これから会いたいです。よろしければ、連絡をください」


「わかりました。どこにいけばいいですか?」


「○○にしたいです。山本君はどうですか?」


「わかりました。すぐに伺います」


 同級生なのに、どちらも敬語を使っている。初対面の二人が話をしているかのようだった。


 お出かけをする前に、ポジティブ女に声をかけられた。


「おにいちゃん、どこにいくの?」


「美羽さんと久しぶりに会うことになったんだ」


「私もついていきたい・・・・・・」


「明日香、空気を読むように・・・・・・」


 明日香は兄の背中を強めに叩いた。


「おにいちゃん、しっかりと頑張ってね」


「自分なりに全力を尽くすよ」


 身支度を終えると、指定された場所に向かった。このときは、あんなことになるとは思いもよらなかった。

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