第31話 聖と美羽は他の男と交際スタート

 聖は破局するとすぐに、他の男性と交際をスタートさせた。あまりに早すぎる展開に、清彦はびっくりとしてしまった。


 二人の女性を好きになったことで、命を助けたことはおじゃん。美羽とハグをしたことは、命を救ったことよりも重かったらしい。


 美羽についても、新しい男性と交際をスタートさせる。清彦は好きになった女性二人のどちらとも、恋愛できない状況となった。二股をかけようとしたことに対する、天罰を下されてしまった。


 二人は交際をスタートさせてから、声をかけてくることはなくなった。あなたとの関係はすべて清算しましたといわんばかりである。清彦からは声をかけにくいため、今後は話をすることはないと思われる。


 二人が交際をスタートさせてから、ラインのアドレスを消去した。清彦にできる最大限の誠意かなと思っている。


 力なく空を見上げていると、眼鏡をかけた女性が近づいてくる。


「山本君、こんにちは」


「桜さん、こんにちは」


 桜はすぐさま眼鏡をはずした。


「隣に腰掛けてもいい?」


 清彦は力なく頷くと、桜はエレガントに腰掛ける。人間力の違いを見せつけているかのようだった。


「聖は自分を見失っているみたいだね。山本君以外の男性と交際するなんて、以前のあの子ではありえなかった」


「聖は今回のことを、絶対に許さないみたいだね」


 桜ははっきりと頷いた。


「二人女性を同時に好きになったら、恋愛をするのはムリだよ。本命となる女性を一人だけ作るようにしようね」


「うん。そうする」


 二人に対する恋愛感情を捨てて、新しい恋を見つける。女性を裏切った男は、そうするしかなかった。


「女の心の切り替えは、ジェット機よりも早いからね。山本君に対する感情は、一ミリも残っていないかもしれないね」


「僕も早く切り替えないといけないね」


「そうだね。一日も早く、二人のことを忘れることが重要だよ」


 清彦はうなずいたあとに、聖らしき女性を発見する。隣には男がおり、楽しそうに手をつないでいた。


「聖さんは切り替えが早すぎるね」


「あれくらいでないと、人生を渡り歩いていけないよ」


 清彦は心を入れ替えることを決意する。一日も早く忘れて、新しい未来を構築していきたい。

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