第30話 自由をさらに奪われた(秋絵視点)
王子様と久しぶりに会えたのに、近づくことすらできなかった。
体内に流された電流は、体の中に残り続けている。強くはないものの、しびれているのがはっきりとわかる。
秋絵の部屋に父が入ってきた。
「おまえ、まだ懲りていないようだな。明日からは学校に通学する以外は、外出禁止
令を発することになった」
家、学校を行き来するだけの生活を余儀なくされる。GPSをつけられていたとき
よりも、状況はさらに悪化することとなった。
「高校を卒業したら、家事手伝いをやらせる。仕事をしなくてもいい代わりに、社会とのかかわりをすべて絶たせる。お前のような恥さらしは、我が家の評判を落とすだけだ。お前の行動によって、我が家の評判はどれくらい落ちたのかわかっているのか」
「我が家の評判?」
「警察沙汰になりかけたことを知られて、すべての取引先から白い目で見られるようになった。会社での居場所を徐々に失っていき、退職寸前まで追い込まれているんだぞ。かあさんにしても同じだ。パートの仕事をやりにくくなって、精神状態は危険水準に達している」
「おとうさま・・・・・・」
「本当は高校を退学させてもいいのだが、親としての情けをかけてやる。地獄生活が始まる前に、学校というところでしっかりと勉強しておけよ」
高校を卒業したら、誰とも会えない日々を送る。想像しただけで、体に身震いが起きた。
秋絵はスマホを取り出すと、大好きな男性にラインを送ってみる。アドレスは既に変更済みらしく、ラインを届けることはできなかった。
生活を知るために、カメラを仕掛けてみようかな。そのようなことを考えていると、気絶するレベルの強烈な電流を流された。
秋絵の部屋に父親がやってきた。
「お前はまだ懲りないのか。バカにつける薬は、日本には存在しないようだ」
おとうさまはコホンと咳をする。
「スマホを没収する」
50くらいは思えないほどの力で、秋絵のスマホを奪い取っていく。自由をさらに奪われたことで、体の力は自然と抜けてしまった。
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