第25話 聖と交際スタート

 清彦は一カ月後に、自分の中で答えを出した。


「聖さん、交際していただけないでしょうか?」


 美羽は一日前に浮気をされた男性と、よりを戻してしまった。現状で残された選択肢は一つしかなかった。


「うん。これからはカップルだね」


 聖はあまり嬉しそうではなかった。


「聖、どうしたの?」


「水族館に誘ったことを強烈に公開しているの。私の心の中にある、好きという感情を抑えることができなかった」


「聖さんは何も悪いことをしていないよ」


 秋絵とは異なり、人間の心を持っている。彼女と交際すれば、楽しい恋愛ができそうだ。


「清彦、ありがとう」


 聖はちょっとだけ元気を取り戻す。


「清彦、胸枕やってあげようか」


「胸枕って何?」


「Gカップの胸の上に、頭をのせるんだよ。ずっとはきついけど、一〇秒くらいならいけるから」


 Gカップだからこそ、できる芸当である。Aカップ、Bカップだったら、まず無理である。


 聖は頭を下げる。


「小学生のときは助けてくれてありがとう。清彦さんがいたからこそ、今も生きることができている」


 一人の少女は赤信号を無視して、横断歩道を渡ろうとしていた。清彦は危ないと思い、とっさに手を引っ張った。そのおかげもあって、聖は一命をとりとめることができた。


「別れることになったとしても、命の恩人を想い続けるつもりだよ」


 秋絵以上の重い愛情を感じる。破局したあとには、盗聴器などを仕掛けられることになるのだろうか。

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