第23話 不気味

 警察に通報した直後から、ストーカー行為はまったくなくなった。あんなに執着していただけに、不気味なものを感じた。何かが起こる前兆でなければいいけど。


 担任の話によると、他の学校に転校した。犯罪を知られた状態では、同じ学校に通学するのは厳しい。通う場所を変更するのは、妥当な選択肢といえる。学校としても厄介払いできて、万々歳といったところだろう。


 万が一に備えて、ラインのアドレスは新しいものに変更。100パーセントの安全を得られるわけではないけど、ちょっとはましになるはずだ。こぶしを握り締めた状態で、自分に言い聞かせた。


 三股女がいなくなったことで、男たちは余裕のある生活を送っていた。平穏な日々を送れるのは、何よりも幸せであると感じた。


 清彦のところに、後藤桜がやってきた。聖の肩が凝ったときに、よくマッサージをしている女だ。


「山本君、おはよう・・・・・・」


 本日はメガネをかけていた。彼女は日によって、眼鏡、コンタクトを使い分けている。


「後藤さん、おはよう・・・・・・」


「聖とはうまくいっている?」


 聖の胸の感触を思い出し、清彦の顔は真っ赤に染まった。


「まずまずといったところだよ・・・・・・」


「聖のことを大切にしてあげてね」


「・・・・・・・」


 桜と入れ替わりに、聖がやってきた。


「山本君、おはよう」


「宮川さん、おはよう」


 大きすぎるバストは、本日もおおいに躍動していた。


「盗聴女からは、連絡とかは来ているの?」


「警察に通報したあとは、ばったりと止まっているけど・・・・・・」


「あそこの親は厳しいことで有名だから、行動を強烈に縛っていそうだね。GPSを埋めるくらいのことはやりかねない。しばらくについては、問題ないと思うよ」


 親が親なら子供も子供だ。脳みその中は、完全にくるってしまっている。


 秋絵が自由を取り戻したとき、どのような行動をとるのか。頭の中で想像するだけで、身震いしてしまった。

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