第21話 どんなことがあってもくじけないぞ(秋絵視点)
親子の縁は切られなかったものの、外出中はGPSをつけることを余儀なくされた。親にすべての行動を監視され、奴隷さながらの生活を強いられる。
GPSの他に、電流が流れる機械の着用を義務づけられた。不審な行動をとったと判断されたら、高圧電流を流される。死に至るほどではないものの、すさまじい威力を持つといっていた。
父親は優秀であるものの、感情が欠如している部分があった。それについては、まったく変わることはなかった。
学校については、すぐさま転校の手続きを取られた。片道2時間もかかる高校に、電車、バスなどを乗り継いで通学する。学校は朝8時からなので、4時30分くらいまでには起床する必要がある。睡眠時間を確保するためには、夜の10時くらいに布団に入らなくてはならない。10時に寝るなんて、小学生の生活をさせられているかのようだ。
帰宅時間は夜の7時ごろ。10時に睡眠を取るとすれば、3時間しかフリータイムはない。食事、お風呂、宿題などをすれば、あっという間に吹き飛ぶ。月曜日から金曜日までは、好きなことは何一つできない。
土曜日、日曜日はGPSづけの日々を送る。こんな生活を続けていたら、メンタルはいつか崩壊する。ちょっとだけでいいから、自由のある時間を確保してほしい。
清彦の家の半径〇キロ以内は立ち入り禁止。一秒でも入ってしまったら、家を追い出される。大好きな異性に会うのを、強烈な制約を課された。
学校内において、誰かに恋愛を迫るのを禁止。高校を卒業するまでは、恋愛なしの生活を送るように命じられた。恋愛のできない人生は、水分を禁止されているのと同じくらいきつい。
秋絵は部屋の窓から、外をゆっくりと見上げる。その後、人生史上で一番大きな溜息をついた。
秋絵の心の中に、慕ってくれていた元カレが浮かぶ。そちらならもしかして、やり直してくれるのではなかろうか。ターゲットを変更して、新しい恋愛を始めてみるのもありかな。
秋絵は首を横に振った。あいつとの恋愛は、いい思い出がまったくなかった。女性にときめきを与える要素が完全に不足している。何のとりえもない、三流クズ野郎である。
三人の男も同じだ。一緒にいても、楽しいと思えた瞬間はなかった。魅力が完全に不足している。
私はどんなことがあっても、絶対にくじけない女性。GPS装着くらいで、自分を変えたりはしないんだから。
秋絵は立ち上がった直後、気絶しそうなくらいの強力な電流が流れる。しつけを守らない娘なら、殺してしまっても構わない。体を流れた電流は、そのように主張していた。
GPSから解放されるまでは、親に従っておいた方がよさそうだ。殺されてしまっては、恋愛をすることもままならなくなる。
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