　聖からラインを受け取る。

「山本君、一緒に遊びに行こうよ」

「どんなところに行きたいの？」

　どこに行くのかによって、相手の考え方を知ることができる。

「水族館に行ってみたいかな」

　映画館、遊園地、食事などを想定していたので、水族館は頭になかった。高校生にしては、斬新なチョイスをしているように感じた。

「水族館のチケットを持っていないよ。おこづかいも厳しいから、入館料を払うのは難しい」

　高校生用の育毛剤を購入したため、残りの所持金は980円。水族館に行くのは、極めて厳しい状況だ。

　育毛剤を購入しているのは、将来に備えるため。早い段階から準備することによって、将来的に禿げるのを阻止したい。てっぺんは髪の毛がなく、その周りだけ生えているのは見た目的によくない。

「おとうさんと行く予定だったんだけど、ヘルニアを発症してしまったみたい。歩くのは厳しいから、他の人と行こうと思っている」

「美羽さんに親しくしてもらっているから、他の女性と遊ぶのはちょっと・・・・・・」

「二人の異性と交際するのは×だけど、二人の女性と遊びに行くのは○かなと思っている。悪いことをしているわけじゃないから、堂々としていればいいよ( ^)o(^ )」　

　女の子の経験値つんだほうがいい、明日香の言葉が脳裏をよぎった。

「わかった。一緒に水族館に行こう」

「○月○日に行こう。私はすっごく楽しみにしているよ（#^.^#)」

　本来なら楽しいはずなのに、胸はチクチクと痛んでいた。二人で遊びに行くのを知ったら、美羽はどのように思うのだろうか。

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