第15話 二股女は三股女に進化していた

 秋絵は三股をかけたことがばれて、男から愛想をつかされた。

 

 二股の男と別れた女は、三人の男と交際をスタートさせていた。破局してから短期間で、どうしたら三人も恋人を作ろうと思えるのか。恋愛依存症にかかった女は、頭が完全にいかれてしまっている。異性と交際したいなら、一人にしておけばいいのに。複数と交際するのは、百害あって一利なしだ。


 秋絵は懲りることなく、いろいろな男子生徒に声をかけていた。彼氏をどうしても作りたい、誰かと交際したいという執念じみたものを感じる。傍目からすればストーカーだけど、本人はまったく気づいていないようだ。


 人間にはいろいろなタイプがいる。彼女と別れたばかりだから、交際相手を確保したい男にとっては、絶好のチャンスにもなりえる。秋絵は欲求を満たすために、ぴったりの男生徒も存在する。


 スマホ画面をのぞいていると、巨乳の同級生がやってきた。


「山本君、おはよう」


「宮川さん、おはよう」


 意識せずとも、視線は胸に向かっていく。セクハラ目線を送った男に、聖はくすっと笑っていた。


「私の胸が気になるんだね。見た目はとっても穏やかなのに、中身は獣のような部分もあるみたいだね」


 Dカップくらいなら気にしないけど、Fカップクラスとなると話は別。男の本能として、胸をちらちらとみてしまう。


「宮川さん・・・・・・」


「好きなだけ鑑賞していいよ」


 目を話そうとするものの、ロックオン状態を解くことはできなかった。聖はそんな男に、くすっと笑った。


「スケベ、変態・・・・・・」


 聖は下唇をなめる。


「山本君の家族のことはいろいろと憶えているよ。母親がとっても甘い料理を作ること、妹はとってもポジティブであること・・・・・・」


 聖に肉じゃがを食べてもらったことがある。あまりに甘かったのか、彼女は苦笑いを浮かべていた。


「小学生ということもあって、大胆なこともあったよね。今からすれば、信じられないよ」


 キスごっこ、スカート捲りなどをやっていた。彼女から深く信頼されているのが伝わってきた。


 清彦はあることを確認する。


「宮川さんは交際している男性はいるの?」


「私はいないよ。彼氏を絶賛募集中とまではいかないけど、いい人がいるなら交際してもいいかなとは思っている」


 清彦の心の中に、ぼっちの寂しさがこみあげてくる。一度交際したからか、彼女のいる生活を求めるようになってしまったらしい。恋愛はもうこりごりだと思っていたのに、どうしてしまったのだろうか。


「山本君は恋愛はこりごり? それとももう一度してみたいと思っている?」


 清彦はすぐに答えを出した。


「相手を見つけられるなら、交際をしてみたい」


 二人のいるところに、桜がやってきた。


「聖、肩を揉んであげようか」


「桜、おねがい」


 Fカップで、子熊一匹を買い続けているのと同じレベル。胸は大きければ大きいほど、体の負荷は増えていく。大きすぎる胸は、マイナスに働くことが多いのかなと思った。



 

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