第11話  美羽とやり取り

 清彦は確認を取るために、美羽に連絡を取った。


「船橋さん、スマホが一瞬でもなくなったりはしていなかった?」


「それはないと思うけど・・・・・・」


 清彦は今日のできごとを伝える。


「二股女から、連絡が入ってきたんだ。情報を流出させるとすれば、二人のうちのどちらかになると思う」


 清彦は男子学生と、ライン交換をしていない。学校で話をするので、プライベートに介入するのを避けている。


「二股をかけたくせに、未練がましすぎるよね。どんな教育を受けたら、あんなに腐ってしまうんだろうね」


「船橋さんに連絡は入っていないの?」


「ちょっと前から、連絡はぱったりと止まったよ。新しい彼女を見つけたから、そち

らに必死なんじゃないかな」


 新しい異性を探して、過去の失恋を忘れようとする。常識のある男女なら、そういう選択を取れる。一人の異性を追い続けるのは、よっぽど未練がましい男女だけであ

る。


「山本君、家に訪ねてもいい?」


 予想していなかった展開に、頭はフリーズすることとなった。


「僕の家にやってくるの?」


 美羽とは知り合い以上、友達未満の関係である。家に訪ねるような間柄になるまでには、山を5つくらいこえる必要がある。


「うん。一度だけ訪ねてみたい」


「僕は構わないけど・・・・・・・」


 美羽は最速でラインを返してきた。


「やった。○月○日に訪ねたいな( ^)o(^ )」


 あたふたとしているところに、明日香が入ってきた。


「おにいちゃん、誰とやり取りしているの?」


「学校のクラスメイトだよ」


「男の人? 女の人?」


 明日香は興味津々らしく、スマホを奪い取ってしまった。清彦はバランスを崩したらしく、地面にしりもちをついてしまった。


「美羽さんという名前からして、女の子みたいだね。おにいちゃんに新しいガールフレンドができたんだね」


 明日香はラインを無断で操作して、メッセージを打ち込んでいた。


「送信完了!」


 妹からスマホを奪い返したあと、メッセージを確認する。


「僕は大歓迎だよ。休日に会えるなんて、とっても嬉しい」


 送ってしまったメッセージは消すのは不可能。美羽が来週の日曜日にやってくるのは、ほぼほぼ確定してしまった


「わがままを聞いてくれてありがとう。休日に会えるのをとっても楽しみにしているね☻」


 彼女の絵文字を見ていると、妹の入力であるとはいえる空気ではなかった。友だちですらない女性と、どのようにして向き合えばいいのだろうか。

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