第9話 驚愕の事実

 あとで判明した事実は、想像をはるかに超えていた。


 秋絵は交際をスタートさせる前から、同じ学校の男性と交際していた。正確な時期は分かっていないものの、一年前くらいからお付き合いしていたようだ。


 清彦は二股のための道具として利用されていた。その事実を知ったことで、150パーセント許せない思いが芽生えた。


 二股をかけた理由については、利用しやすい男だったから。こいつにならばれないという、根拠のない自信に満ち溢れていたと思われる。


 キスをしていた男も、二股をかけていた。秋絵はサブ的役割で、本命の女の子を重視していた。清彦を二股の道具として利用していた女は、自身も二股の道具として扱われていた。まぬけすぎる展開に、家で腹がよじれるくらいに笑ってやった。


 二股をかけられた女性は、男子生徒にアプローチをかけていた。あれくらいの神経でなければ、浮気をしたりはしないんだろうな。ある意味では羨ましい思考をしているといえる。


 秋絵以外にも、性根の腐っている女はたくさんいる。観察眼をしっかりと磨いて、悪い女に騙されないようにしよう。失敗から反省しても、手遅れということはよくある。


 清彦のところに、二股女がやってきた。あれだけ拒絶されているのに、まだ近づこうとする神経はすごい。


「清彦さん、もう一度だけ・・・・・・」


「却下」


「今度は浮気しないから・・・・・・・」


「人間としてムリ」


 秋絵はすぐに引き下がらなかった。


「私にはあなたしかいないの。もう一度だけチャンスをください」


 清彦はバカにするような息を吐いた。


「警察に通報してもいいか」


「それだけは・・・・・・」


「絶対に会話する必要がない限り、こちらに話しかけるのはやめろ。二股された女の声を聞くだけで不愉快だ」


 懲りない女性に対して、クラスメイトは冷めた視線を送っていた。女は夢中になっているのか、それにすら気づいていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る