第6話 別れたあとなのにラインを当たり前のように送ってくる二股女

 浮気女と別れたことを、ポジティブ思考前回の妹に報告する。


「おにいちゃん、よかったね」


「ああ、よかったよ」


 明日香は下唇をなめる。


「たいしたおもてなしはできないけど、おさらば記念の祝賀会をやろうよ」


 破局をしたときにお祝いをする。なんか違うような気もするけど、今回はやってもいいかなと思った。浮気をするような女とは別れたことは、ポジティブすぎる要素となりうる。


「わかった。どんなことをするんだ」


 明日香は何も考えていなかったのか、顎に手を当ててアイデアをひねり出そうとしていた。


「ごめん、よくわからないや」


 ポジティブ思考前回の女性は、イノシシさながらの猪突猛進タイプ。後先のことについては深く考えないことがよくある。


 スマートフォンの着信が鳴った。


「明日香、ちょっとだけ外す」


 着信相手を確認すると、浮気女となっていた。ライン通達禁止は、まったく意味をなさなかったようだ。


「清彦、もう一度やり直したい」


 二股の道具として、またやり直したいと考えているのか。ぶっ飛びすぎている脳に、軽い頭痛、めまいを起こす。一瞬であっても、こんな女を好きになった自分をおおいに責めた。


 明日香は異変を察知したのか、こちらにやってきた。


「おにいちゃん、どうしたの?」


 清彦はラインを、明日香に見せた。


「浮気をしたくせに、こんなメールを送ってくるなんて。頭の中にお花畑が咲いているみたいだね」


 ラインを送ってきたことで、新しい証拠をゲット。文字として残されていれば、言い逃れはさらに厳しくなる。


「明日香、ラインをブロックしてほしい」


「ブロックよりも、アドレスを変えよう。ブロックしただけでは、ほとんど意味をなさないよ」


「そうだな。明日香、アドレス変更を頼む」


「わかった。すぐに変更する」


 明日香はラインアドレスを、すぐに変更する。一時的にではあるものの、開放感を得られることとなった。

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