【夏休み】田舎のため池でガサガサしてみた
アブラゼミの声が、林の中に木霊している。
焼け付くような暑さと、心地よい清涼さの境目は、長い木々の陰だった。
この陰の中へと踏み込めば、棚田の水路から流れてくる水の冷気と林の湿気に全身が包まれる。浮き上がった汗が乾いていくのが分かる。
ここまでくれば、後少し。
僕はお菓子の入ったリュックを背負い直して、林道の先を見る。
傾いた赤い鳥居が見えた。
最初は崩れてしまいそうで怖かった鳥居も、今は何も思わない。
そればかりか、彼女の住処への目印だ。歩いてやってきて、赤い鳥居が見えた時、今日も彼女に会えると胸が高鳴るまである。
「よし…」
相澤 佳。それが僕の名前。
去年、ここへ越してきた。小学5年生。
最初はこんな田舎は嫌だった。けど、最近は楽しい。
友達が出来たから。
僕をいじめない友達が、出来たから。
釣りをするために偶然訪れた場所で、僕は彼女と出逢ったんだ。
苔むした林道を駆け上がり、傾いた鳥居を潜ると、そこには崩れた神社がある。
去年の台風で崩れてしまい、それから修理もされていない。
この神社が目的地じゃない。僕は神社の瓦礫の横を抜けて、目指すのは神社の奥にあるため池だ。
とてもとても深い、緑のため池。
池の中央が特に深く、緑から黒色に変わってしまっているような、そんなため池。
深いから、絶対に泳ぐなと、死んだおじいちゃんと一緒に、ザリガニ釣りに来た時に言われたのを憶えてる。
死んだおじいちゃんが子供の頃から、いや、それよりずっと前からある、古いため池らしい。
ここが、僕と彼女の秘密基地。
「あ、ケイ君!」
僕が近づくと、彼女は真っ先に声をかけてくれる。
透き通った白い肌。いつもしっとりと濡れた肌。髪の代わりに彼女の頭には幾重にも傘のように薄い膜が広がっていて、ゆらゆらと宙に揺れている。手足は柔らかなヒレのような形になっていて、触れると冷たくて心地よい。
最初にあまりに人とかけ離れたその姿を見た時、僕はとても驚いた。
だけど、今はなんてこと無い。すっかり慣れてしまった。
「お待たせ! トキちゃん! 今日は沢山お菓子を持ってきたよ!」
「わぁ! 嬉しい! ゲーム、ゲームは?」
「ゲームも!」
「やった!」
ため池の岸辺に腰掛けた彼女は、手を叩いた。
「昨日の続きやろ、続き!」
「うん!」
彼女の近くへ腰掛け、リュックを開く。
ここへ来る途中にある駄菓子屋さんで、お小遣いをはたいて買ってきたお菓子だ。
「私、これ好き!」
彼女はまっさきにラムネのお菓子を手に取る。大丈夫、それは彼女の為に選んで買ってきたものだから。
「食べて食べて。僕はこっちにするね」
彼女の食べられないチョコのお菓子。僕は好きだけれど、何故か彼女はチョコを食べられないらしい。人と身体の作りが違うから仕方がない、とトキちゃんはとても残念がっていた。
お菓子を選んだ後は、二人でゲームをする。
携帯ゲーム機を2台持ってきて、それで一緒に遊んだり、死んだおじいちゃんから貰った将棋で遊んだりする。
今は夏休みだから、日が暮れるまで、ずっとずっと彼女と遊ぶ。
「あー! またバナナ投げたー!」
「あはー! ケイ君は単純だなぁ」
「うぐぐ…」
「ふふー! また一番! ブイ!」
トキちゃんは、見かけによらず、ゲームが凄く得意だった。僕も、決して下手な方ではないと思っているのだけれど、彼女には、5回に2回くらいしか勝てない。
でも、それでいい。
ゲームを楽しんで、笑っているトキちゃんの笑顔が見れれば、それでいいんだ。
「ケイちゃん?」
「え、あ、だ、大丈夫…」
トキちゃんの顔を見ていたら、彼女が振り向いた。
恥ずかしくなって、目を逸らしてしまう。
「もう一度勝負しよ。今度は違うコースで」
「ねぇ、ケイちゃん。あんまり、私と居ても面白く無いかな…?」
「え…?」
決してそんなことはない。
けど、トキちゃんは、不安げな表情を見せている。
「やっぱり、私が人間じゃないから…。本当は…ケイ君、人間の子と、遊びたいかな…?」
「そんなことないよ!」
「でも…」
「僕は、トキちゃんと遊ぶの楽しいよ!」
人間の友達は―――要らない。
だって、みんな僕をいじめる。
みんな僕を無視する。
都会でも、田舎でも、みんなみんな、僕の敵だ。
でも、それでいい。
僕には、トキちゃんが居てくれるから。
「トキちゃんだけなんだ。僕と仲良くしてくれるの。だから、これからも一緒に遊んでよ。そんなこと、言わないでよ」
「ケイ君…」
トキちゃんが微笑んだ。
「ありがとう」
そして、柔らかな両手で僕の頬に触れた。
トキちゃんの顔が近づいてくる。
優しく、唇が触れ合った。
□ ■ □ ■ □
やがて、アブラゼミではなく、ツツクボウシが鳴くようになった。
夏休みももう終わりに近づいている。しかし相変わらず夏の日差しは暑く、肌が焼け付くようだった。
僕は今日も、トキちゃんの元を目指す。
僕と彼女の秘密基地―――…だけど最近は、少し、様子が変わった。
今まで人っ子一人来なかった神社に、村の人が参拝に来るようになったのだ。
林道を進んでいると、今日も田辺さん達とすれ違った。
田辺さんは、この林道の横の棚田の持ち主だ。
「あんらぁ、ケイちゃん。今日もご奉公かい?」
「はい」
「熱心だぁねぇ、”
「はい」
「そんじゃねぇ、ケイちゃん」
それまで、神社のことなんてずっと放っておいていたのに、田辺さんを始め、この地区に住んでいる人達の中から、少しずつ、この神社を再建しようと言う人達が現れ始めた。
何故急にそんな人達が増えたのか、僕には分からない。
それに、僕には関係ない。
僕とトキちゃんには、関係ない。
「トキちゃん」
「あ、ケイ君!」
トキちゃんの元へ行くと、トキちゃんはまた知らない人と話していた。
頭が真っ白で、恰幅のいいオジさんだ。何故かオジさんはトキちゃんの前に土下座をしていた。
「あの、トキちゃん、この人は?」
「んー? なんかねー、このあたりにゴルフ場を作りたいって言ってる偉い人」
「えぇ!?」
「でも、いまお話してね、止めてくれるって」
トキちゃんが視線を向けると、オジさんは虚ろな表情で「はい…」と言った。
「よかった…。ここが無くなったら、トキちゃんの住んでるところが無くなっちゃう」
「あは、ケイ君、心配してくれてありがとう。でも、私、引っ越してもいいんだ」
「え…?」
「ケイ君の家に、井戸があるでしょ? そこに引っ越そうかな…。そうしたら、ケイ君の学校が始まっても、いつでも会えるもん」
「ッ!?」
「あ~、ケイ君、顔が赤いよ~?」
「も、もう! からかわないでよ!」
「あははは、ごめん、ごめん! でも、新しい神社が出来たら、私、もうここに居なくても大丈夫だから、引っ越してもいいかなって」
「そ、そうなの?」
「うん! きっと、ケイ君と旅行にも行けるよ。ケイ君が前に話してた、えーと、ガイコク? ガイコクでも、どこにでも行けるよ。一緒に行ってみようよ」
「い、一緒に行く!」
「うん。約束、約束ね」
「うん! 約束!」
そして、近づいてきたトキちゃんの唇が、僕の唇と重なった。
□ ■ □ ■ □
最近、この村がおかしい。
トキを神と崇め、神社の再建が始まったのは良い。
次から次へと、村人が信者となって押しかけてくるのも良い。
学校から連絡があり、神社が再建されるまでの一ヶ月、夏休みが延長されることになるのも良い。
問題はそこじゃない。
問題は―――…
「怪しい人がうろついてる…?」
「そうなのよぉ」
トキに会いに行く途中、林道で田辺さん夫婦に出会った。
「越谷さんちの若い子がね、この神社の場所を訊かれたんだってぇ」
「それで、どうしたんですか?」
「余所者に教えてやる義理はないからネェ、全然検討違いの場所を教えたって言ってたけど」
「けど?」
「越谷さんの子、急に都会の病院に運ばれちゃってェ…」
「えぇ!?」
「その余所者に何かされたんじゃないかって―――」
「トキは無事なんですか!?」
僕は危機感を感じ、田辺さんに詰め寄った。
田辺さんはニヤリと笑う。
「大丈夫よぉ、透輝姫様には指一本も触れさせないわァ。ねぇ、アンタ」
「おうよ。任せときな、ケイちゃん」
田辺さん夫妻は、手に持ったクワを見せる。
ああ、警備の為に
「ごめんなさい。大きな声を出して…。トキの為に、ありがとうございます」
「いいのよぉ」
「こっちは任せて、ケイちゃんは透輝姫様んとこに行きなぁ。今日もお待ちになられてるぞ」
「はい。ありがとうございます」
僕は田辺さん夫婦にお礼を言って、林道を駆けた。
早くトキに会いたい。
トキを狙う怪しい奴がいるのなら、尚更だ。
彼女は、僕が守らなくては。
「ケイちゃん、おはよう! 聞いたよ? 夏休みが延びたんだって?」
「うん。急に校長先生が」
「えへへ! これでもう少し、ケイちゃんとここで遊べるね!」
遠くから、村の人達が神社を再建しようと作業している音が響いてくる。
僕はため池に近づき、トキの隣に腰掛けた。
「ケイちゃん、なんだか、浮かない顔をしてるね…?」
「うん…。実は、村に怪しい人が来てるみたいなんだ。それで、少し…」
「うん?」
「他所の人が、神社の場所を訊ねてきたんだって」
「そうなの? でも、ひょっとしたら悪い人じゃないかもしれないよ? ほら、この前の社長さんみたいに、都会から私に会いに来た人かも」
「……そう、かな?」
「そうだよ! きっと!」
トキは笑った。
トキの笑顔を見ると、僕の心は、少しだけほぐれた気がした。
「それより、トキ。この白くて、動いてるものは何? 前にも作っていたけれど」
「これはねー、神託!」
「神託?」
「これを食べるとね、人は元気になるの。老いた人なら、若返るんだよ」
「へぇ。僕も貰える?」
「ケイちゃんは食べる必要ないよ」
トキは笑みを消した。
僕は少しだけ、トキがそんな顔をするなんて、と驚いた。
「ケイちゃんは、私の特別なんだから。こんなつまらない物、食べちゃダメ」
「あ、う、うん。わかったよ」
「ケイちゃんには、私の大切なものをあげたんだから。大切に育てよう。二人で、一緒に」
トキは僕の肩に顔を寄せ、彼女の柔らかな手が僕の膝に乗る。
彼女の大切なもの―――…
もう幾度となく触れ合った唇を思い出して、僕は顔が熱くなった。
「ふふ、ケイちゃん、照れてる~」
トキはそんな僕の様子を見て、笑みを取り戻してくれた。
□ ■ □ ■ □
だけど、
だけど、
だけど、
僕の嫌な予感は、的中した。
明くる日、僕が林道までやってくると、人が倒れていた。
「田辺さん!?」
田辺さん夫妻は、二人共口からぐじゅぐじゅと蠢く白い泡のような物を吐いて、白目を向いて痙攣していた。意識がない。
そして―――傾いた鳥居の方角から、沢山の人が怒って叫んでいるような声がしている。
「田辺さん、ごめんなさい!」
僕は田辺さんをその場に残し、林道を駆け上がった。
いつもは何でも無い林道だけれど、今日は、今日だけは、いつもの何倍も遠く感じた。生えた苔に足を取られてもどかしい。石の破片を蹴飛ばして、転びそうになりながらも走る。
僕が鳥居をくぐった時には、もう喧騒は終わっていた。
神社を作っていた村人みんな、田辺さんと同じく、白目をむいて倒れてる。
みんな口から白いものを吐き出している。
これは確か、トキが神託と言っていたものだ。
みんな、これを食べていたのか。
「トキ―――…!」
倒れた村人達よりも、トキが最優先だった。
「トキ!!」
僕は、神社の裏へと走る。
直ぐにため池に出た。
ため池にトキの姿はない。
代わりに、妙な女の姿があった。
夏なのに冬服の黒い制服姿。おかっぱ頭で、滅殺だなんて描いてある趣味の悪いマスクをした女だった。
「アンタ―――! 一体、何してるッ!!」
僕は自分の口からこんなに怒りに満ちた声が出るのかと少し驚きながらも、女に近づく。
変な女は、やけに長い棒をトキのため池に挿し、ガサガサと何かを探しているようだった。
それが何なのかなんて、決まってる。この女は、トキを探している。
「そこから直ぐに離れろ! さもないと―――」
「さもないと、なに?」
女はそう言いながら、振り返った。
池に挿していた棒を捨て、逆に、僕に近づいてくる。
そこで僕は気づいた。
長い棒の他に、なんと女は刀を持っていた。
刀を持ってるなんて、まともな人間じゃない。
だけど、恐れるわけにはいかない。僕は、トキを守るんだ!
きっとトキは怖がって、池の深い所に隠れているはずだ。何としてでも、あの女を池から遠ざけないとならない!
「さもないと、僕がお前を許さない!」
「へぇ」
女は、マスクの下で嗤った。
その瞬間、僕の中に言いようのない感情が這う回るのが分かる。
恐怖と絶望を混ぜたような感情。いじめられて、誰も助けが来なかった、あの惨めで辛い感情を、何倍も濃くしたような気持ちだった。
たぶん、この女―――心の底から、悦んでいる。
トキを害そうと、僕を害そうと、心の底から願ってる。
敵だ。
これが、敵だ。
今まで僕をいじめていた連中なんて、比じゃない。
これが本当の悪意だ。
「わ、わああああああああ!」
腹の底から叫び、拳を握り、僕は女に突進した。
だけど、
■ □ ■ □ ■
少年の胴に、めっさつちゃんの拳が深く、深く突き刺さった。
ここへ来るまで出会った信者達と同じように、身体の奥底、寄生体が巣食う場所まで、しっかり衝撃が届くように、丁寧で強力なボディブローが放たれた。
少年は、がはっ! と、肺の中の空気やら、胃の中身やらと一緒に、白い透き通った幼虫のようなものを吐き出した。
少年が仰向けに地面に倒れる。
蠢く半透明の幼虫は、落ち葉の上に落ちると、ヌタヌタと踊り狂う。
めっさつちゃんは少し意外そうな顔をして、幼虫をローファーの底で地面に押し付けた。
「この子が、当たり?」
池を見るが、怪異の反応は無い。
「じゃあ―――…こっちから殺すね」
めっさつちゃんは、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくりと、幼虫を踏みつける足に力を込めていく。
幼虫は逃れようと激しく動き回る。
押しつぶされ、半透明の液を吹き出しながら。
「ぐしゃ」
ぐしゃ。
幼虫は潰れて、死んだ。
その瞬間、激しい地鳴りが起こった。
水が吹き出し、コンクリートで補強されているはずのため池の縁が衝撃で割れる。
木々が根っこから折れ横倒しになる。
巨大なクラゲのような姿の、半透明に透き通った身体の怪異が、深いため池の底から飛び出してくる。
『許さない――――許さない許さない許さない許さないッ!!! ケイちゃんを! 私の胚を! 私達の幸せを!! お前お前お前お前お前はァァァッ!』
深場から飛び出しての奇襲。おそらく、その巨体でめっさつちゃんを一撃で押し潰す気だったのだろう。
だが、無駄だった。
目にも止まらぬ速さで、白刃が三度、怪異・透鬼姫に
彼女は、旧き時代よりこの地に封じられていた大妖が一柱。
人に自らの身体の一部を与え、若返るほどの活力を与え、操る、邪の神。
それが今、空中で三つに分かたれ、それぞれが命を終えたセミのように、地面に転がった。
『ガ、アガ…ッ…ば、バカな……私が……斬られ…? おま、え…その力―――…』
「うるさい」
ガッ! と、先程から口喧しい部位を、めっさつちゃんは蹴り上げた。
ゴロゴロと転がり、止まると、彼女の視界に、愛しい少年の姿が映った。
『ケイちゃ―――…ケイ―――……私の、愛しい、ケイ…………』
死の淵に瀕しながら、透鬼姫は倒れた愛しい人を呼び、触手を伸ばす。
それに応じるように、倒れた少年が、彼女を見た。そんな気がした。
『ごめん…―――私、約束、』
ドシュッ。
最期の言葉を言わせる容赦もなく、背後から彼女の急所に刀が突き立てられる。
その一撃で、辛うじて残っていた彼女の命は完全に潰え、封印から逃れし邪神は果てた。
□ ■ □ ■ □
塵となって、消えていく。
愛しい人が、消えていく。
眼の前で、
少年は指一本動かせなかった。
愛する者が殺されていくのを、霞んだ視界の中で見ているだけだった。
あの女に殴られて、何かを吐き出した時、トキに対する狂気的とも言える感情は薄らいだ。しかし、それでも、それでも、彼は彼女を愛していた。
そうでなければ、朦朧となっているはずの意識の中、彼の両目から涙が溢れるはずはないのだから。
声が出せれば悲哀に吠えていただろう。
身体が動けば彼女を殺した女を殺そうとしただろう。
だけど、彼は力のない子供で。
愛する者が、怪異で。
何もかも足りなくて、何もかも間違っていて。だけど、その心だけは正しくて。
苦しくて、苦しくて、少年はやがて闇に溶けるように意識を失った。
いっそ、それで死んでしまえば楽だっただろうに、数日後、彼は都会の病院で目を覚ました。
あの場に倒れていた村人全員が搬送され、全員が無事だった。
ほぼ全員が、記憶が曖昧になっていた。
ここ数ヶ月の記憶の要所要所が失われ、全員が首を傾げていた。
しかし皆、口々に、あそこに大切なものがあったはずだと証言していた。それが何かは、誰も、最後まで思い出せなかった。
結局事件は、神社立て直しの際、ため池の底から有毒ガスが出たことにより、集団中毒を起きたものとして処理された。
そうでなければ、尋常ならざる力で破壊されたため池の惨状に、説明がつかなかった。
夏休みの終盤。
村の人々は数日の検査入院を経て日常へと帰っていた。
ただ一人、相澤 佳という名の少年を除いて。
彼は全てを憶えていた。
きっとそれは、彼は特別だったから。
彼がトキから与えられていた胚は、単に人を強化し操るためのものではなく、彼女が彼と共に生きるために、長い時間をかけて、彼の身体を作り替えるためのものだった。
だから、だからこそ、彼は、この先ずっと、何年経とうとも、この夏のことを憶えているだろう。
もう届かない、初恋の
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