【完結】人生舐めまくってたギャルが優しい陰キャくんにガチ恋しちゃう話

42.素晴らしきかな、人生

【2024年7月11日（木）晴れ】

娘が産まれた今日を機に、日記をつけていく！

マジで気絶しそうなほど痛かったけど、なんとか無事に産めてよかった～！

ケンジがずっとそばで手を握っててくれたから、すごく勇気を貰えた。ありがとね、ケンジ。

娘の名前は、ケンジと二人で「薫」と決めました！これからよろしくね！薫！

【2024年9月6日（金）曇り】

本当にまだまだ小さい薫！抱っこしてみると、お豆腐みたいでふわふわしてる！

ケンジもアタシも、めっちゃ腕震えながら抱いてる！

こんなちいちゃい子が、いつか大人になるなんて全然想像つかないな～

【2025年1月1日（水）晴れ】

ハッピーニューイヤー！あけおめー！

今日は親子三人で迎える、初めてのお正月！神社に連れていったら、薫が人が多すぎたのにびっくりして泣いちゃった！ごめんね～！汗

ちなみに、おみくじは大吉でした！縁談が上手くいきますって書いててめちゃくちゃ笑った！もう上手くいってますから神様！

これからも、家族仲良くいられたらいいな！

【2025年7月11日（金）晴れ】

薫、一歳の誕生日おめでとー！まだケーキは食べられないけど、イチゴを半分だけ食べられたね！大人になったら、一緒にケーキ食べようね！

【2025年11月25日（火）雨】

なんとなんとー！薫が「ママ」って喋った！ケンジは仕事中だったんだけど、思わずアタシ電話して、動画送っちゃった！

ケンジも「本当だ！」って言って、感極まって泣いちゃってた！アタシもついつい、つられて泣いちゃった！これからも一緒に、薫を育てていこうね、ケンジ！

【2026年8月15日（土）晴れ】

今日は家族三人で海に来たー！薫は海を見た途端走り出して、いきなり砂を掴んで海に投げ出した！

ケンジが「どうしたの？」って聞いたら、薫ってば「海を埋めてみたい！」って言うもんだから、ケンジもアタシも思わず笑っちゃった！

子どもってやっぱり発想がすごいな～！

【2026年8月16日（金）天候記載なし】

結婚指輪をなくしちゃった……。たぶん、昨日の海だと思う。

もうないよね、今見に行っても。あー、マジ◯◯（文字が殴り書きすぎて読めない）すぎる……。

【2028年9月9日（土）曇り】

第二子の正、誕生ー！薫は初めて弟を見た時、「赤ちゃんってちっちゃいねー」と言っていた。君も初めは小さかったんだぞー？

これで家族が四人になりました！これからも仲良し家族でいられたらいいな！

【2029年3月31日（土）晴れ】

今日はみんなでバーベキュー！久々に深雪とか柳原さんとか、藤山くんと会えた！薫もみんなに遊んでもらえて楽しそうだったし、いい1日だった！

でも、深雪がちょっと元気なかった。どことなく距離も感じるし、やっぱり深雪としては、アタシがケンジとくっついたのが嫌だったのかな……。もしかしたら、深雪はアタシのこと恨んでるのかも知れない。

だけど、それでもアタシは深雪が好きだ。

いつもアタシたち家族のことを気にかけてくれるし、なんだかんだ言ってあの子は優しい。あの子が内心、アタシのことをどう思っていても構わない。アタシの気持ちに変わりはない。

あの子のために、何かしてあげられないかな。どうか深雪も、幸せになってほしいな。

【2029年11月9日（月）雪】

今日は珍しく、ケンジと喧嘩しちゃった。お互い忙しくて大変だったから、ストレスたまっちゃってて、「明日の分のご飯を炊くか炊かないか」っていう、めっちゃつまんないことで喧嘩しちゃった。

でも、すぐにお互い謝った。アタシもケンジも、一緒にいられる時間がどれだけ貴重なのか、身に染みて分かっている。だからお互い、素直になれる。この気持ちを、いつまでも大事にしたいな。ケンジ、今日はごめんね。愛してるよ。

【2033年3月3日（木）晴れ】

今日は深雪が家にやって来た！しかも、彼女の二宮さんを連れて！まだ日本では同性婚できないから、スウェーデンに行って二人で暮らすらしい！

二宮さんは見た目は結構ボーイッシュだけど、中身はすごく丁寧で爽やかな感じの人だった。深雪、改めておめでとう！二人で幸せになってね！

【2037年4月7日（月）晴れ】

今日からいよいよ、薫も中学生！あんなにほげほげしてた赤ちゃんが、もう制服を着る年になるなんてね～！感慨深いなあ～！

家族みんなで写真を撮ろうとすると、薫は「一人がいい」って言い出して、ケンジと二人で「これが反抗期か！」って驚いてた！薫もどんどん、大人になっていくなあ～

【2040年7月18日（水）雨】

今日は正が学校のクラスメイトと殴り合いの喧嘩をした！話を聞くと、どうやらそのクラスメイトが、正が所属してる美術部の友だちをいじめてたらしい。

殴ったことはよくなかったかも知んないけど、友だちを守ろうとするなんて、やっぱり正は優しい子だなと思った。ケンジとはまた違った優しさを持つ子に育ってて、正は正で一人の人間になろうとしてるんだなあって思った。

【2041年6月30日（日）曇り】

薫が家に彼氏を連れてきた！天然パーマで眼鏡をかけた、茶川 龍之介（さがわ りゅうのすけ）さんって人だった。おどおどしてるけど、すごく優しそうな感じでママとしては安心！

話を聞くと、彼氏くんは小説が好きらしく、よく本を読むとのこと。なーんかケンジに似てるな～と思って、一人でニヤニヤしちゃった！

でも、何より面白かったのはケンジの反応だった！「か、薫に彼氏……寂しい……」って言って、一人でしょんぼりしてた！相変わらずケンジはかわいいなー！

だいじょーぶだよケンジ！アタシがずっとそばにいるからね！

【2043年12月4日（金）雪】

なんとなんと！久しぶりに深雪がスウェーデンから帰ってきた！時々電話はしてたけど、ちゃんと会えるのはだいぶ久しぶりかもー！

二宮さんと二人で、すごく幸せそうだった！イチャイチャしてる様子を、全然恥ずかしがらずにやってた！

ケンジに「アタシたちも二人に負けないくらい、ずっとラブラブでいようね！」って言ったら、めっちゃ顔赤くしてた！やっぱりケンジは可愛いなー！

【2046年5月10日（木）雨】

正は美術の大学に行きたいらしい。美大に入って、イラストレーターになりたいんだと。

今の時代、AIもだいぶ発達してるし、イラストレーターじゃとても食べていけないんじゃないかってアタシとケンジは言ったんだけど、それでもなりたいって。

まあ、これは正の人生だものね。アタシたちがあんまり干渉しすぎるのもよくない。アタシがママから深雪と比較されて、「勉強しろ！」って怒られて、ヤな気持ちになったのも覚えてるから。

でもこうして考えてみると、ママはママで、きっとアタシのこと心配してくれてたんだろうな。母親の立場になって、ようやくそのことが分かった気がする。

今度、ママのお墓参りに行こうかな。

【2047年3月26日（火）晴れ】

薫も就職したし、正も県外の美大に受かった！二人とも、今日ついにうちから引っ越してしまった。

あーあ、寂しいなあ。二人がいると騒がしかったけど、それでもすごく楽しかったから。

まあでも、いっか！ケンジとこれからラブラブしていこうかなと思う！夫婦水いらずで、これから余生を楽しく過ごせたらいいな！

【2055年9月3日（金）曇り】

今日は久しぶりに、高校の同窓会があった！柳原さんや藤山くん、内藤さんに長崎も来てて、めちゃくちゃ楽しかった！みんなもう、しわしわのおじちゃんおばさんになってて、時間の流れを感じたな～！

真由とか亜梨沙にも会いたかったんだけど、今日は来てなかった。ちょっと残念。もしかしたらって思ったんだけどな。

でも、ケンジも楽しそうにしてたし、懐かしい顔ぶれにも会えてよかった！

【2059年11月10日（月）小雨】

今日はケンジと二人で博物館へ！久しぶりにプラネタリウムへ行けて、すごく楽しかった！

なんだか昔を思い出すな～！学生の頃も、こうして二人で博物館に行って、ふらふら見て回ったっけ。

ケンジ！今日も一緒にいてくれてありがとね！また一緒にプラネタリウム行こうね！

【2059年11月11日（火）天候記載なし】

本文記載なし

【2059年11月12日（水）天候記載なし】

本文記載なし

【2059年11月13日（火）天候記載なし】

ケンジが、亡くなった。くも膜下出血だった。

【2059年11月30日（日）天候記載なし】

お葬式とか遺品整理とか、とりあえず一段落した。

いつもアタシは、ケンジがいなくなる時を覚悟してた。ケンジが意識不明になったあの学生時代から、いつかこの日が来るんだって思って、いっぱいいっぱい、話せるだけ話そうって、そう心に◯◯て（文字が滲んで読めない）生きていた。

でも、やっぱりいなくなるのは、寂しい。寂しいよ、ケンジ。

【2059年12月3日（水）天候記載なし】

ケンジはアタシに、たくさんのものを残してくれた。

いっぱいいっぱい、愛してくれた。

アタシもケンジのことを、たくさんたくさん、愛した。

毎日のように愛してるって言えたし、毎日のように愛してるって言ってくれた。

本当に本当に、ありがとう。

あなたがいなくなって、どれだけ泣いたかわからない。きっとこれからも、あなたのことを思い出して泣くと思う。

ケンジ、心配かけてごめんね。

【2060年8月15日（日）晴れ】

今日は清々しいほどに晴れた日で、夜には眩しいほどに星が見えた。

そんな星たちの中に、さそり座を見つけた。さそり座って聞くと、銀河鉄道の夜を思い出す。

ねえケンジ、きっとあなたは今、その汽車に乗っているのかな。

どこか遠くの星に向かって、進んでいるのかな。

そう想うと、少しだけ寂しさが和らぐ。いつかアタシも、そこに行くんだって思えるから。

ケンジ、どこまでもどこまでも、アタシはあなたと一緒だよ。

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後書き

完結まで、あと二話