第17話 道なんざいくらでもあるさ

外壁近くの倉庫を爆破して、できた破壊口に宇宙船を頭から突っ込む形で突入するバイオレンスな方法で、ステーションに無事に入ることができた(オブラートなし)。


ステーションの内部に壊れた回収船の頭が突き出ている光景はシュール以外の何物でもなかったが、とりあえず目的は果たしたので、追求しない事にする。


「とっつぁん。帰りどうするんだよ」

「ちゃんと別の船を用意してある」


準備はしているらしい。でも、事前説明はしておいてほしかったよ。

亀の甲かもしれないけど、この甲羅はたぶん真っ黒だ。


「ほれ、こっちだ」


爆発のせいか船が突っ込んだせいかは知らないが、各要所の隔壁が下りており、この区画ごと閉鎖されている。


当然だが、あたりに人はいない。まあ、とっつぁんの陽動で他にも爆発していたし、ステーションは巨大だ。破壊個所の確認に大わらわなのだろう。


無人の区画を移動し、隣の区画へ。

とっつぁんは携帯型の端末を操作して、そこに表示された地図を元に通路を進んでいく。

…行くんだけど。


「行き止まりだぞ」


先頭を進む用心棒のヘックスが、指定された通路の先の行き止まりを指さす。


「地図が古いからな…しょうがない。別の道を進むぞ」

「大丈夫なのかよ」

「区画整理された上品なステーションんじゃねぇんだ。しょうがねぇだろ。まあ、道なんざいくらでもあるさ」


通路を戻って別の道を行こうとすると、ちょうど、先の通路からブラスターピストルを手に持った二人の男が出てきた所だった。


「下がれ!」


引き抜いた剣を持ってとっつぁんとヘックスの前に飛び出る。


男たちもこちらに気が付いたのか、ブラスターピストルを向けて熱線を放つ。だが、オレの剣の方が早い!


チュイン。チュイン


飛んでくる攻撃を剣で切り払う。

当たり前だが、そんな事を出来るのは宇宙広しといえども、オレくらいのものだ。(普通はやらないとも言う)


熱線を切り払った事に驚く男たち。その隙に飛び込んで攻撃するのが、オレの得意技。というか初見殺しだ。初見で殺すから必殺技だな。


しかし、剣の間合いに飛び込もうとしたところで、背後から二条の熱線が飛び、男たちを貫く。


振り返れば、曲げた左腕の上に銃身を置き、二人を撃ったヘックスが、仕事は終わったと言わんばかりに、銃口を上に向けるところだ。


その持っている銃は、一目見てわかるが特殊だ。ブラスターピストルにしては長く大きい。だが、ライフルにしてはストックもなく、形状はピストルタイプだ。ソードオフしたショットガンのようなアンバランスさがある。カスタム銃か?

ヘックスもバイザー越しにオレを見ている。


「ほれ。二人とも行くぞ。ちゃんとワシを護衛してくれよ」


そんなヘックスの横を通り抜け、オレの肩に手を置いてポンポンとねぎらうと、端末を操作しながらとっつぁんは新しい道を進み始めた。

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