第16話 さすが年の功
ワープから抜けると、目標となるステーションの近くだった。
さすが年の功。
「で、どうやってステーションに入るんだ?」
当たり前だが、現在抗争中の相手の縄張りのステーションである。普通の方法ではドックに入ろうとした瞬間ハチの巣にされるだろう。
「伊達に長いこと、ここで飯を食ってないさ。このステーションだって、スクラップつなげて人が住めるようになる頃から知っている」
そういうと、とっつぁんは船のコンソールを叩いてて、何かを実行する。
すると、ステーションの外壁に何個かの小さな明かりが灯り、そして消えた。
「…爆発?」
「ブツってのは分散して保管するのが常識さ。もちろん損切の用意もする」
「「…」」
どうやら、このステーションにもとっつぁんの盗品保管用の隠し倉庫があるらしい。さらに証拠隠滅用かなにかは知らないが、爆発装置的なものが取り付けてあり、それを起動したようだ。
これが長年この星系で仕事をしていた商売人の手口である。
絶句するオレとヘックス。
「ほれ、ちょっと飛ばすぞ」
そういうと、スピードを上げてステーションに近づく。
内部での爆発の衝撃でシールドもはがれたのか、破壊口に近づく。
「艦載機が出てきたぞ」
「はん。出てくるのが遅いんだよ」
探知器を見ていたヘックスが、ステーションから艦載機が発進した報告をするが、とっつぁんはお構いなしだ。
とりあえず、艦載機を牽制して接舷する時間を稼ぐ必要があるだろう。
とはいえ、回収船の速度は結構な速さだ。そろそろスピードを落として接舷しないとステーションに入る事が出来ない。
「とっつぁん。スピード早くないか?」
「大丈夫だ。このまま突っ込むぜ」
「「…え?」」
艦載機が出てきた今、どうやってステーションに入るか疑問に思っていたが、とっつぁんは正規の入港も。そもそも接舷する気もないらしい。
愕然とするオレとヘックスを無視して、船の進路を固定すると操縦席から降りると、スーツのヘルメットを出しながら、後部のハッチへと向かう。
「回収スペースにいくぞ。突っ込んでココ(コクピット)が破壊されても、あそこなら大丈夫だ。ノーマルスーツの気密を確認しろよ。そのままステーションに入るからな」
顔を見合わせたオレとヘックスは、ガンツのとっつぁんの言った意味を理解すると、スーツのヘルメットを着けながら、慌ててコクピットから逃げ出した。
「おう。ジーザス」
このとっつぁん。海賊よりもバイオレンスじゃないか?
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