第10話 黒の力


 ワーウルフが傘下に入ってからちょくちょくオークやマーマンを持ってくるが、食べるのが私以外だけなのでワーウルフで食べてと言ってある。それだけでワーウルフ達は喜んでいた。

 

「嬢ちゃんは人を使うのがうまいのう」

「そんなことないですよ、私が食べないものを持って来られても困るので」

「食べてみたらうまいぞ?」

「それはまたの機会に」

 食べてたまるか!そんなもん食べなくてもリュックから出てくるんだから。


 

 急に八兵衛さんがくる時に女の子を一人置いていった。

「守ってたらこの子だけ取り残された」

「それなら返してあげないと」

「奴隷だと思うから養ってやってくれ」

「あ、はい」

 え?奴隷?こんな小さい子が?

「名前は?」

「…ラキ」

「種族は?」

「小鼠族」

「そっか。大変だったね。まずはお風呂に入ろう!お菊さんお願いします」

「あいよ!」

 お風呂場に行って洗ってあげる。

「はい、綺麗になった」

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

「後はご飯ね」

 オニギリにした、お粥だと食べにくそうだから。喜んで食べてるからこれで良かったんだと思う。

「西が攻めて来たか、八兵衛だけで大丈夫だと思うが、わしも行ってこようかいの!」

「え?東は?」

「ワシの仲間が守っとる、なんかあったらすぐに知らせが来るじゃろうて」

「私も行く!」

 私の領地だもの。

「嬢ちゃんは要だから動かんほうがいい。いざという時は頼んだぞお菊!」

「わかってるわよ」

 スピーダーに乗って西に消えていくハス爺は頼もしいが、私はこのままでいいのかな?

「王はその時にならないと動かない。まぁ、今回は凸凹コンビがなんとかするだろう」

 キングが影から出て来てそういうと少し安心できた。


 

  ♦︎



「よう、八兵衛!」

「何しに来た?」

「手助けに決まってるだろ?」

「要らぬ助けだな」

「まぁ、そう言うなって」

「なら助けてもらう、小鼠族をどうにかしてくれ」

 小鼠族が大量に押し寄せてくる。

「奴隷かよ!胸糞悪い」

 ハンマーを一振りして小鼠達を吹き飛ばすと背後にいるのはイタチ族。

「正々堂々とたたかえ!」

 久しぶりに怒っている八兵衛を見たハス爺も気合が入る。

「テメェらイタチのはいる隙間なんかねえんだよ!」

  

「大地の激昂」

 八兵衛が地面に手をかざすと大地が隆起していく。

「怒りのハンマー」

 ハス爺のハンマーがそれを叩き壊して弾丸のように飛ばす。

“ドドドドドドドド”

「に、にげろぉー」

 イタチの逃げっぷりは素早かった。

 小鼠族はこの世の終わりのような顔をしていたが。ここから東にある領地をもらいに雪に会いにいくこととなった。



  ♦︎



「いいよー、小鼠族さん達が住むんでしょ?空いてるところにどうぞ?」

「あ、ありがとうございます!」

「ラキも行く?」

「ラキはここに残る」

「じゃあ、小鼠さん達はよろしくね」

「よろしくお願いします」

 場所は八兵衛達に任せてあるので大丈夫だろう。


 西からの攻撃が、あったのはそれから三日後のことだった。

「今度はリザードマン達かよ!」

「もう結構侵攻されてるな、あいつら俺がいないからってサボってやがったな」


 ハス爺はスピーダーに乗って最前線へ行ってしまった。


「さて、ここも安全じゃないから結界でも張ろうかね!」 


 お菊さんが結界を張ったおかげでぐっすり眠れて次の朝、

「キングいくよ!」

「おう」


 キングの背中に乗って街中を走り回りリザードマン達を倒していく。

「黒の刃」

 黒い剣を片手に薙ぎ払っていく。

 ここは私達の街だ!守ってみせる!

 回ってみるとあちこちで戦っているのが見える。

「こんなにいたんだ」

「あぁ。自分の土地だからな」

「よし。もうひと暴れしよう!」

「おう」


 街の中心にいくとオークを貪っている一際でかいリザードマンの姿があった。


「あんたが大将?」

「ああ?俺になんのようだ?」

「ここは私の街よ!」


「あ?アーハッハッハッ!そりゃ愉快だな」

「…黒の鎧」

 キングが鎧に変わっていく。


「こりゃ本気だな」

「いくわよ」

「来い!」


 槍を使うリザードマンエンペラー、だけど。

「影槍」

 リザードマンの腹に刺さる。

「ぬうっ!」

「縫!」

 そして爆散する。


「グハァ」

「観念して自分達の土地に帰ることね」

「誰がそんなことするか!」

 リザードマンの槍が私に刺さるが、鎧を貫通しない。

「なっ!」


「影刀・黒」

「まっ!」

「遅いわよ」

 リザードマンエンペラーの頭は落ちた。

「これで終わりね」

「まだだ」

 キングがそう言うと、


「ガオオォォォォォォォオォォォォォ!!」

 と吠える。


「あちこちから雄叫びが聞こえてくる」

「こう言う時は勝鬨を上げるもんだ」


「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「そうだ!」

「ガオオォォォォォォォオォォォォ!!」



「こいつも影に入れておこう、何かに使えるはずだ」

「え?」

 リザードマンエンペラーは私の影に吸い込まれて行った。

 そして出て来たのは黒いリザードマンエンペラー。


「主よ、なんなりと」

「えぇー!えっとまずは名前が必要よね?」

「は!」

「じゃあ、クラブで!」

 クラブは膝をつき、

「喜んで!」


「じゃあ。他のリザードマン達をまとめてちょうだい」

「御意」

 “シュ”と消えるとどんどん集まってくるリザードマン達。

「これで全員かと」

 二百はいるわよね。


「キング、どこか住むところあるかしら?」

「領地を広げたらどうだ?リザードマンの領地と合併させればいい」


「ナイス!それでいいわね?」

「御意」

 リザードマン達は帰って行って領地が広くなってしまった。

 

 まぁ仲間が増えたと思えばいいかな?

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白姫と黒獅子〜神様に外に出されたらそこは荒廃した地球でした〜 あに @sanzo

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