第7話 挨拶
“ズシンズシン”と音が響く、
「おーい、挨拶に来たどー」
「はいはい、うぇぇ!」
「おらゴーレムの八兵衛だ、でこっちがオーガの娘っ子で桜だ。よろしくなー」
「はい、白井雪と言います。よろしくお願いします」
ビルほどデカいゴーレムと肩に乗ってるオーガの子供?私と同い年くらいじゃないかな?
「これうちでとれた野菜だ、よかったら食べてくれ」
オーガの桜ちゃんがぴょんぴょんと下に降りて来て渡してくれる。ベリーショートの髪にツノがちょこんと生えている。活発そうな目に焼けた肌がよく似合う。背は少しだけ私の方が高いかな?
「あ、ありがとう」
「いいよぉ、お互い様だから」
「あ、お菓子食べるかな?持ってくるね」
リュックからお菓子の詰め合わせを持って行くと、
「こんなのうちにないよ!ありがとう」
「友達になってね桜ちゃん」
「うん!雪ちゃん」
「おーい、帰るぞー」
上から声がする。
「また来てね!」
「うん!絶対来るから」
と、ゴーレムの八兵衛さんと桜ちゃんは帰って行った。
ビックリしたぁ、急に来るんだもん。
それから桜ちゃんはよく遊びに来るようになった。十七歳と年も同じだった。
八兵衛さんが送り迎えしてくれるので助かっている。
桜ちゃんの今日の服装はショートパンツにタンクトップだ。服も色々あげたけどやっぱり動きやすいのがいいみたいだ。
「雪ちゃん!それじゃダメだよ!もっとこう!」
「こう!」
「そう言うふうに降るんだよ!」
桜ちゃんは私の武道の先生になっている。
先日はオーク狩りにも行って来た。私も戦えるようになって来たようだ。
まだ人間を辞めたわけじゃないから仕方のない部分もあるけど、二人で訓練は楽しい!
ここに松太と竹雄が加わって四人で訓練をするようになった。
ぜひ頑張って私を守って欲しい。
「グァッ」
「クッ」
「ほらほらどうしたの?それっぽっち?」
「まだまだ」
「ぼくも」
いいなぁ、私もやりたいけど素振り千回がまだ残っている。私の体幹を鍛えなきゃならないらしい。
「つらい」
「辛ければやめればいい」
「キングなはわかんないよ」
「そうか」
「そう。私も頑張るの」
たまに出て来て励ましてくれるキング。
「千回」
「そしたら雪ちゃんはスクワット千回ね」
「え?」
「痩せるよ?」
「ならやる」
私はなんのためにこれをはじめたんだっけか?腕がプルプルするし、足もプルプルする、数値化できればまだ頑張りがいがあるのだが。
「今日の特訓終わり!」
「「「ありがとうございました」」」
一か月で私の友達が鬼に見える、
オーガだから鬼だけど。
「雪ちゃんだいぶ体幹が鍛えられたんじゃない」
「自分じゃわからないけど体重は少し減った」
「もう少し体幹鍛えたら一緒に組み手やろう」
「本当?やった!」
それから一か月経った。まだ体幹を鍛えてる。どゆこと?
「桜ちゃん?私の組み手は?」
「まだ体幹を鍛えた方がいいのよ」
「本当?」
「本当」
「……じゃあ鍛える」
ムキムキになったら桜ちゃんのせいだからね。まぁ痩せてるからムキムキも何もないんだけど。
「じゃあ今日は組み手ね、松太と雪ちゃん!はじめ!」
初めての組み手だから当たって砕けろよね!
“ビュン”
思ったよりスピードが出た、反応した松太が手を振るがそれを避けてパンチを出すとガードが間に合わず松太が倒れた。
「はい終わり!」
「いてて、参ったなぁ、僕もつよくなってるはずなのに」
松太が首を振りながら起き上がる。
「さすが雪ちゃん!」
「桜ちゃん!」
“パチン”と二人で手を合わせる。
基礎しかやってないのに勝てたのはマグレでも嬉しい。
これならと竹雄とやったら負けた。
「ちっくしょー!」
「速いから作戦を練っただけだよ」
そうか、作戦なんて考えてもなかった。
それから一か月は組み手と基礎をみっちりやってそれなりに動けるようになった。
「ほい、私の勝ち!」
「また負けたー!」
松太とはよく組み手をしている。
松太だ年が近いのもあるしやりやすい。
松太十七、竹雄十八、梅吉十九歳らしい。
桜ちゃんと一回組み手したが手も足も出なかった。桜ちゃん最強。
ビルに戻ると二日酔いのお菊さんと梅吉が何か作っている?
「梅吉は何作ってんの?」
「目眩し爆弾だ!」
「ふーん」
「もっと食い付けよ!」
「いや、閃光弾みたいなもんでしょ?」
「閃光弾ね、それもらい!」
梅吉はそれを閃光弾と命名したようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます