第4話 おふとん、ふかふかですっ(添い寝)

「おっふとん、おっふとん」


//SE ヒロインが布団をカバーに入れる(衣擦れの音とぽふぽふ音)


「わっふわっふわー」


「わっふわっふふー」


「あ、いいですよっ、待っててください」


「すぐにつくっちゃいますからね」


//SE しっぽもフローリングをぽふぽふと叩く


「そこでしっぽぱたぱたして待っててくださいですー」


「しっぽ、ないですけどねー」


「おっふとんおっふとんっ」


「わふわふわー」


「んー……」


「よしっ」


「できました!」


「それでは」


「ちょっと熱いかもですけど……」


「どうぞですっ」


//ヒロインが布団をめくる

//主人公が布団に入る


「どうですか?」//顔の近くで


「お天気だったのでカバー洗ったんですよ? ふわふわですよっ」


//SE ヒロインが布団をぽふぽふ


「えらいですかっ?」


//ヒロインが顔をさらに近づけてくる


「えらいですかっ?」//先ほどよりも圧が強め


「えへへ」


「んー、もっとほめてほしいです」


「ん~~」


「にへへへ」


「はふぅ……なでなで、ふかふかです」


「――はっ……ちがいました! ちがわないけど違いました!」


「おふとんするんでした」


「ねむねむですもんね」


//SE ヒロインの足音が遠ざかる


「電気、消しますよ?」


「いいですか?」


「消しますねー」


//SE パチ(電気のスイッチの音)

//SE ヒロインが近づいてくる足音


「わふっ」//まっくらでつまずく


(び、びっくりしました)


「よいしょ」//ヒロインが横にかがむ


//SE ヒロインが自身のしっぽをなでる音


「それではわたしもしつれいしてー」


//SE ヒロインが主人公の布団に潜り込んでくる音


「んしょ、んしょ……」


「ふえっ」


「な、なんでしょう?」


「おふとん、まちがってる?」


「?」


「あってますよ?」


「今日はご主人さまとおんなじおふとんの日です!」


「今日、も?」


「もう、こまかいです」


「いいじゃないですか。わんこといっしょに寝るのはご主人さまのギムです」


「頭をなでるのも、ブラシングするのも、いっしょに寝るのも」


「ぜんぶぜんぶ、ご主人さまのギムなんですよ」


「それに……」


「わたしも……~~くんだからしてほしいんです」


「……じゃないと、やです」


「……ということで、んしょ……んしょ」


//SE ヒロインが布団に入る音


「えへへ」//すぐ横から声


「こうしてくっつきながらおふとん入るとですね」


//SE すんすんと、ヒロインが鼻を鳴らす


「ご主人さまのにおいでいっぱいになるんですよ?」


「とってもぽかぽかです」


「……くっつきすぎ?」


「そんなことないです」


「それに、もうすぐ夏なので……そしたらくっつけなくなります」


「さみしいので、いまのうちに充電しないとなんです」


「じゅーでん、じゅーでん」


「ぎゅー」


「じゅーでんちゅう」//耳元囁き


「……んー」


「寝ろ?」


「もう、寝ますって」


「でも、もう少しお話したいです」


「え、いいんですか?」


(やたっ)//心の声が漏れる


「じゃあじゃあ、夏休みのことおはなししたいです」


「あと二週間ですよ?」


「来週一週間がんばって」


「そのつぎの一週間がんばって」


「そしたら夏休みです!」


「楽しみですねえ」


「お泊りする場所も電車も予約したし、あとは行くだけです……っ」


「うみ!」


「新しい水着も買いましたし」


「早く泳ぎたいです」


「まあ、ご主人さまはあんまり泳がないですけどね」


「川遊びだって足つけるくらいでしたし。……落ちてましたけど」


「海、いいですよ?」


//SE ヒロインが動く音(主人公の耳に口を近づける)

//耳元で囁く


「おっきなお日さまに白い砂浜」


「空とまじりあうひろーい、ひろーい海の青」


「ざざーん、ざざーん」


「しゅわしゅわしゅわー」


「ざざーん、ざざーん」


「ざざー、ざざー」


「にゃーにゃー」


「ふえ? あ、いまのはウミネコですよ? にゃーって」


「どうですか? うみ、楽しみになってきましたか?」


「ふえ!?」


「も、もう!」


//SE ヒロインが少し離れる音


「水着が楽しみとか、そういうのはめっです」


「えっちです! えっちな目で見るのはだめです!」


「まったくもう……」


「そんなこと言うならもう寝ます。寝ちゃいます」


「睡眠時間八時間切っちゃいますしね」


(……わたしはお昼寝するのでいいですけど)


「だめですよ。必要な睡眠とらないと」


「健康第一です」


「あと、わんこも第一です」


「さ、寝てください。ねむねむしてたじゃないですか」


「ええ? お話してたら眠気が消えた?」


「しかたのないご主人さまです」


「ちょっとだけ、ですからね」


「~♪ ~~♪ ~~♪ ~♪」//ヒロイン鼻歌


「~♪ ~~♪ ~~♪ ~♪」//ヒロイン鼻歌


「~~♪ …………」


「…………」


「…………ふぁぅ」


「……すぅ…………くぅ」//ヒロインが先に寝てしまう


//SE ぷにぷに(主人公がヒロインのほっぺたをいじる音)


「わひゅ……くしゅぐったいですよぉ」//寝言


「ぅへへ」//寝言


「おにくぅ」//寝言


「……すぅ…………くぅ」//寝言


「…………ふぇっ……はれ?」


「あ、あわわ……あの、あのあの」


「ねて、ましたか?」


「わふっ……寝かせるつもりが先に寝てしまうとは」


「え? 寝言がかわいかったからいいって?」


「……ぅぅ……そういうのいじわるです」


「そんなこと言われたら気になってねむれないですっ」


「……はい」


「今度こそ寝ましょうです」


「じゃあ」


「ふぅー」

//主人公の耳元に吐息

//ヒロインが耳元で囁く


「ご主人さま」


「きょうもいちにち、おつかれさまでした」//しずかでやわらかい声


「あしたは、もっともぉーっといい日になりますように」


「おやすみなさい」


//ヒロインの頭が布団に落ちる音


「……」


「……」


「…………んぅ…………すぅ」


「わふぅ」//寝言


「えへへ……~~くん」//寝言


「わたし、しあわせですよ」//寝言


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