第35話 コ●ドー●を買う美波
自転車であの3姉妹が住んでるマンションへと向かう。
あいつらの住んでるマンションは最近完成したばかりの築数年の新築マンションで、2LDKの部屋に3人で住んでいるらしい。
高校生3人だけで2LDKに住むだなんて、ちょっぴり羨ましく思えてしまうが、美波が前に「母親から離れるために3人で東京からこっちに引っ越して来た」と言っていたし、3人暮らしをしているのも色々と訳アリなんだろう。
しかし、それならあいつらは金銭面をどうしているのだろうか。
……まあ、普通に考えたらあの中で収入があるのはグラドルやってる宮子だし、長女のあいつが2人のこと養ってそうだが。
「あ、ユウ」
俺がマンションの駐輪場に自転車を停めていると、コンビニの袋を片手に持った美波が俺に声をかけてきた。
胸が大きすぎて胸元だけパツパツのTシャツに太ももがパツパツのホットパンツという、男の股間を刺激する格好をした美波は、徐に買い物袋の中にあった棒アイスを取り出すとペロペロ舐め始めた。
「……ユウ、私の身体見過ぎ。ヘンタイ」
「ヘンタイはお前だ。そんな痴女みたいに太もも見せびらかせてる時点で職質モノだろ。それにお前、映画の時もホットパンツだったろ。太ももパツパツになるからやめろよ」
「だって……私、あんまり服持ってない」
「持ってない……?」
「うん」
そうか、こいつらってやっぱり意外と貧しい暮らしをして……。
「服を買うお金があったらオンラインゲームに課金するし」
「……か、課金?」
「オンラインゲームに課金。服のお金なんかあったら自分の装備に課金する」
「……はあ?」
一瞬でもこいつに同情した俺を殴りたい。
やっぱりこの三姉妹に同情なんて不要だ。
「ユウ、早く部屋行こ」
「お、おう」
美波はアイスを食べながら反対の買い物袋を持った手で俺の服をクイっと引っ張った。
「そういえば俺が今日マンションに来ること、宮子から聞いてたのか?」
「うん。遊びに来るって聞いた」
意外だな。宮子のことだから2人には内緒にしてそうなものだと思ったのだが……。
「今コンビニに行ってきたのも、宮子姉さんが今日は朝まで4人で4●(ぴー)するからコンドー●が欲しいって言われて、それでお遣い」
「は……はあ!?」
美波は袋から昼にはふさわしく無い黒色の0.01ミリの箱を取り出す。
「今すぐ返品してこい! それか捨てろ! 金は俺がやるから」
「……嫌」
「お前はこれの意味分かってんのか?」
「こ、これは……ユウのおち●ち●に着けるやつ」
「着けねえよ!」
美波はアイスをペロペロ舐めながら恥ずかしそうに顔を赤くして言う。
ったく、美波は何考えてんだ。
「とにかく没収だ」
俺は美波からコンドー●を取り上げるとポケットにしまう。
ま、まあ、捨てるのは勿体無いし、これは俺が家で使うとして……とにかく問題は宮子だ。
色々と罠があると思っていたが、案の定、罠だらけみたいだ。
とりあえず出される飲み物や食べ物には口をつけないようにしないとな。
「ユウの、ばか」
「なんでコンドー●取り上げられて拗ねてるんだよ。お前は俺とエッチとかする気ないだろ」
「うん。ない」
「ならなんで拗ねてんだ」
「……ひゃ、100歩譲って、ユウが私とシたいって土下座するなら、してもいいかなって」
「し、しねーよ! 恥ずかしいこと言うな」
俺は美波から顔を逸らしてエレベーターに乗る。
「……ユウのばか」
「まだ言ってんのか」
美波……もしかして本当に俺と、シたかったりする、のか?
でも本当に嫌なら宮子の命令を無視してコンドー●なんか買いに行かないよな。
……い、いやいや。そもそもの話、順序がおかしいだろ。
なんで付き合っても無い女子と、エロいこと……。
付き合う……か。
エレベーターの中で隣に並ぶ美波を横目で見る。
「コンドー●の一件は宮子姉さんのジョークだと思う。だって宮子姉さん、夜遅くまでユウと何で遊ぶかずっと考えてたみたいだったから」
「どうだか」
どうせ宮子は碌なこと考えてないだろう。
「……宮子姉さんは不思議。4●のこともそうだし、ユウのこと好きなのにいつも独り占めしようとしない」
「独り占めって……まぁ、確かにそうだな」
前に砂浜で襲われた時も、遥が止めに入ったらすぐに3●の話を持ちかけていた。
もしかしたら宮子は単に下ネタを言いたいだけで、本当は俺のことをおもちゃみたいにしか思ってないのかもしれないが……。
じゃあ美波は……俺のこと、どう思ってんのかな。
「ユウは友達」
「は? お前、急に何を」
「私はユウの友達だから、私だって宮子姉さんと同じでユウとセックスするなんて本気で思ってない。まあ? 三姉妹でユウのことガチ恋なのは遥姉さんだけだろうし」
「……そ、そう、だよな」
急に俺の聞きたいことと回答が重なったからびっくりしたが、さっきの会話の続きだったみたいだ。
美波は友達になりたいだけであって、俺のことそういう目で見るわけないよな。
「最初からジョークのつもりだったなら、なおさらコンドー●買うなよ」
「それは……ただ、興味があっただけ」
美波はそう言うと、部屋に着くまでずっと顔が赤かった。
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