第16話 宮子、禁断の一手(エロ表現注意♡)


 俺の自転車に乗る宮子の胸はあの美波よりもボリューミーでたゆんとしてて柔らかい。

 ん? どうしてそんな揉んだ時みたいな感想が出るかって? 

 そりゃ……例のように当たってるからだよ。


 自転車を押すにはどうしても両ハンドルを持つ必要があるため、遠い方のハンドルに手を伸ばすと、サドルに座ってる宮子の無駄にデカい胸が、肘に当たってしまう。


 そりゃグラドルの爆乳と考えれば聞こえはいいが、俺にとっては幼馴染のイジメっ子の胸。

 こ、興奮とかしてねぇから。本当に。


「もぉ〜えっちだなぁ、雄一くん♡」

「……何の話だ?」

「さっきからぁ〜、わざとわたしのおっぱいに腕当ててきてるくせに?」

「あ、当ててないし、これは不可抗力だからな!」

「ふーん」


 これは余談だが、遥の時は全く腕に当たらなかったような気がする。

 三つ子の姉妹なのに、これほどまでに差が出ることあんのか?

 そんなことを考えていると、高校の帰り道にある例の砂浜が見えてきた。


「到着っ! 本当にここまで運んでくれるなんて、雄一くんも男の子らしくなったね?」

「……お前、三姉妹で一番重かったぞ」

「もお! 雄一くんノンデリー! そこはその巨乳おっぱいが重たくて大変だね? って言ってよー」


 俺は無視しながら、海岸へと繋がる階段の隣に自転車を停める。

 すると宮子は「さんきゅっ♡」と言って自転車から降りた。


「じゃあちょっと砂浜を歩こうか? 昔みたいにね」


 宮子はそう言って俺の手を取ると、階段を降りて砂浜まで出る。

 砂浜まで来たのはかなり久しぶりだ。

 宮子と砂浜を歩いた、あの日、以来……だな。

 寄せては返す波と水平線の彼方で燃える夕日。

 茜色の陽光が、宮子の明るい髪を赤く染めた。


「昔に戻ったみたいだよね、雄一くん?」

「昔……か」

「?」


 俺は宮子の手を振り払い、足を止める。


「俺はまだ、お前からされた嫌がらせをずっと忘れてないからな」

「嫌がらせ?」

「昔のイジメのことだよ。俺にランドセル持たせたり、手繋ぎとか、他にも恥ずかしいことさせて……」

「……それ、イジメじゃないよ」

「イジメじゃ、ない?」

「だってわたしたち、勝負に勝ったから命令してるだけだったじゃん。そもそも負ける雄一くんが悪いよね?」

「は、はあ⁈」

「そうそう。勝負で負けるキミが悪いし、嫌なら勝負を断ったり無視すれば良かっただけ。だから雄一くんが悪いじゃん」


 お、俺が……悪い、だと?


「ふ、ふざけんなよ! 昔の俺が文句とか言える性格じゃないのを知った上でお前らが執拗に俺をイジメたんじゃないか! お前らが絡んで来なけりゃ、俺は今頃地元の友達と上手くやって」


「本当に——そうかな?」


「え……?」


「あの頃の雄一くん、今みたいに喋る子じゃなかったよね?」


 宮子はキャラ作りのあざとい声から、急に落ち着いた声色になる。

 夕日に背を向けて振り向き、俺の顔を見つめた。


「わたしたちに絡まれる前までの雄一くんって、公園でいつも一人遊びしてたし、小学校の遠足の時も、いつも一人でお弁当食べてたじゃん」

「そ……それは」

「あとクラスでも本ばっか読んでたし、ゲームも一人用のゲームばっかり遊んでて」

「……っ」


 反論、できない。

 宮子の言っていることは……事実だった。

 あの頃の俺は、弱気で一人でいる事が多かったし、友達も……いなかった。

 それに関しては本当だが、俺は——っ。


「で、でも……お前らに絡まれなければ、俺も上手いことやってたかもしれないし!」

「そうやって人のせいにして、自分を肯定するの?」

「人のせいになんか!」

「雄一くん……あんまり言いたくないけど、多分雄一くんって、わたしたちが遊んであげてなかったら、雄一くんは万年ぼっちだったよ」

「……っ」


 違う。

 そんなのおかしい。

 お、俺はイジメられてたんだ。

 イジメられてたから、だから友達もいなかったんだ。

 あの三姉妹が悪いんだ。


「お、俺は……俺は悪くない! お前らが悪いに決まって!」

「いつまでも昔のこと引きずってるなんて、男の子らしくないよ雄一くん」

「関係ない! と、とにかく俺は、お前らに恥ずかしいことをさせられて、悔しくて堪らなかったんだ!」


 そうだ。ぼっちがどうとか今はどうでもいい。

 こいつらは俺に嫌がらせをした。

 その事実は変わらない。


「じゃあさ……昔イジメちゃったお詫びに、わたしの身体で好きなことしていいよ?」

「は?」


 宮子はゆっくりと俺との距離を詰めて、真っ正面から俺に抱きついてきた。

 宮子のデカ乳がクッションになり、俺の上半身に押し付けられる。


「お詫びなんだし、雄一くんはわたしの身体を好き放題に●してくれて構わないの。この大きなおっぱいも、雄一くんならチュパチュパしていいよ? あと、雄一くんの童貞も貰ってあげるし、わたしの処女もあげる♡ あそこの岩陰なら誰にも見られないから日が暮れるまで何回でもしてもいいよ?」


 宮子は本気の目を俺に向けた。

 その目は夕日よりも赤く、どこか暗い。


「お前、自分が何言ってるのか分かってるのか?」

「もちろんっ! グラドルの処女ハジメテ、欲しくない? それにぃ……強引に制服を脱がせて、パンパンってしたら、すっごく気持ちいいよ?」


 宮子のこの身体を……好き放題、できる。


 俺は脳内で、今押し当てられている宮子のこの胸を容赦なくしゃぶりつくすのを想像した。

 グラドルの宮子の胸を……思いっきり。

 俺は生唾を飲む。


「ほらほらっ、イジメっ子に復讐しなよ雄一くん。思いっきりこれまでのストレスを性欲と一緒に、わたしにぶつけちゃっていいんだよ?」


 これまでの恨みを……っ。


「……や、やってやる」

「あっ♡」


 俺は宮子を砂浜に押し倒して、宮子に跨った。

 こうなったら、はぁはぁ……。

 昔の全部のストレスを宮子にぶつけてやる。


「俺は……俺はっ!」


 砂がふわっと舞い、俺が強引に宮子の身体を抑えながら胸元のボタンに手をかけた……その時——。


「ダメよ雄一!」


 ガシッと、その手が横から伸びて来た真っ白な手によって止められる。

 俺は咄嗟にその手の方を見た。


 潮風に揺れる金髪ツインテール。

 走って来たのか、その髪は崩れ気味で息も荒かった。


「は、遥……?」

「雄一、アンタ……騙されてる」

「騙されてるってなんだよ」

「……宮子は、アンタとヤッたのを写真に収めて、アンタのこと一生脅すつもりだから」

「な、なんだと?」


 俺は下にいる宮子の方を見た。

 宮子はキョトンとした顔で俺を見ている。


「昔から宮子は性格が歪んでるの。アンタの着替え盗撮してコレクションしてたし、アンタのリコーダーも」


 遥が何かを言いかけた瞬間、俺の下にいた宮子が、目潰しのように手に砂を握って遥の方にぶん投げた。


「きゃっ! な、何すんの宮子!」

「ちっぱいで人権ゼロの遥ちゃん? それ以上、喋るならその胸板でキャベツ千切りするわよ?」

「うっさいわよ無駄乳デブ女。東京で体臭のキッツイカメラマンにエロい目で写真撮られてるくせに。あーくっさー」


 俺を蚊帳の外にして姉妹喧嘩が始まった。

 俺はとりあえず正気に戻り、宮子の上から起き上がると制服についた砂を払う。


 それにしても、さっき遥が言ってたこと。


 昔の宮子が俺を盗撮……?

 それにリコーダー?

 どういうことだ?


「遥、言っとくけど脅すとか考えすぎ。わたしはただ、単純に雄一くんと濃厚なエッチを」

「何が単純よ。とぼけても無駄よ宮子」

「ほ、本当にわたしは雄一くんとS●●したかっただけなの!」

「そもそもこんな公共の場で●●Xとか、やっぱりおかしいわよ!」

「ちがっ! わたしは岩陰って言ったのに雄一くんがギンギンで押し倒してくるから!」


 俺に押し倒されて寝たままの宮子がそう言うと、遥が今にも殺すような目で見てくる。

 ……お、おいおい、なんか俺が悪いみたいになってないか?


「……どうなのよ、雄一」

「そ、それは……」


「そうだ二人とも! 今から3●しましょうよ! それで万事解けっ」


 遥は容赦なく砂浜に寝ていた宮子の顔に、両手いっぱいの砂を上からぶっかけた。


「ぶぉぉおへぇぇっっ!」


 宮子から聞いたこともないような悲鳴が聞こえる。


「雄一、こんなイカれ女は砂浜に捨てて行くわよ」


 遥は俺の手を引っ張って砂浜を後にする。

 残された宮子は顔にかかった砂を「おぇぇっ」と吐きながら、嗚咽を漏らしていた。


「お、おい、宮子を置いてっていいのか?」

「……いいのよ。宮子は金あるし、タクシー呼べるから」


 そう言って遥は当たり前のようにサドルに座る。


「助けてあげたんだから、アンタ、自転車押しなさいよ」

「……お、おう」


 ウザいと思ったけど、よく考えたら遥には助けられた。

 あのまま怒りに任せていたら、間違いなく俺と宮子はヤッていたし。


「その……あ、ありがとな」

「バカね。礼なんか言ってどうせあたしが止めなければ、「宮子とエッチできたのに〜」って思ってるんでしょ?」

「いや本当に、お前のおかげで目が覚めた。だからありがとう……遥」

「……もぉ、ばか」


 遥は俺の肩に頭をコツンとぶつけてきた。

 昔みたいなイジワルな頭突きではなく、照れ隠しのように、優しく……。


「あ、アンタのせいで、宮子と仲悪くなっちゃったから、マンションに帰れないんだけど?」

「見たところ仲悪いのは元からのように思えたんだが……」

「とっ! とにかく今日は帰れない! だから……その」

「?」


「アンタの家、泊めてよ」

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