第14話 城田宮子03(エロ表現注意♡)


「ゆーびきーりげんまん。嘘ついたらハリセンボンのーます」

「おい。針千本のイントネーションおかしかったんだが」

「……針千本よりハリセンボンの方が現実味ある」

「ねーだろ」


 美波は「ゆびきった」と言って、満足そうにフンスッと鼻息を荒くした。

 こんな子供じみた約束に付き合ってる俺もどうかしてるよな。


「美波、さっさと小指離せよ」


 美波の小指はガシッと俺の小指にキツく絡まれていて、俺から離そうとしても、全く離れる様子はない。

 こ、こいつ……っ。


「……ユウ」

「あ?」

「ゆびきりしたまま……授業受けちゃだめ?」


 何言ってんだこいつ。

 小指絡めたままじゃ、お互いに不自由だろ。


「さっさと離せ」


 俺は強引に手をブンブン振りまわし、美波の小指が若干緩くなった隙をついて完全に美波の小指を振り払った。


「ユウの……ケチンボ」

「どこがケチなんだよ。こんな小指絡めたまま授業を受けるとはバカじゃないか?」

「……この短小チン●」

「おいっ! 今とんでもない下ネタ言っただろ!」


 ケチンボと短小チ●ポで韻を踏んだつもりなのかもされないが、おふざけにしても色々とアウトすぎる。


「でもさ、ユウの……本当に小さいもん」

「ど! どうして俺の、ブツを見たことがあるていなんだよ」

「だって昔、水泳の授業で着替えしてる時……チラッと見えた。枝豆の鞘みたいにミニマムで細々だった」


 なっ……!

 男としてはこれ以上ないほどに屈辱的な事を言われてしまい、さすがの俺もショックを隠しきれない。


「人のブツを見た上にバカにしてくるとか……こ、この! 変態がっ!」

「えへへ……だいたいこれくらいの大きさだったかな?」


 美波はゆでだこみたいに顔を真っ赤にしながら、俺のアレのサイズを指で作っていた。

 ウザすぎる。やっぱりこの姉妹のことは信用できないし、仲良くしたいとも思えない。


「そ、そんなもん! もう昔の話なんだよ! 今は……そこそこ成長してんだ!」

「……どれくらい?」


 どれくらい? と言われても見せるわけにもいかないし、証明のしようがない。

 と、とにかくここは……。


「そうだな。お前のペンケースに刺さってる定規くらいはあるし」


 一応、俺にも男としてのプライドがあるので、見栄を張って言ったが、それを聞いた美波は机の上にある自分のペンケースから俺が指差した定規を取り出し、自分の腹部のヘソあたりに当てると、何やらモゾモゾやっている。


「な、なにしてんだ?」

「うん……大丈夫そう」

「何がだよ!」


 美波は相変わらず不思議っ子だ。

 何を言ってるのか分からないし、意味の分からないことばかりしている。

 こんな調子で本当に俺のこと守ってくれんのか?

 俺は不安を覚えながら、朝のHRを聞き流した。


 ✳︎✳︎


 ——そして迎えた放課後。

 俺と美波と樋口は、3人で下駄箱の前まで来ていた。


「美波ちゃーん! 今日も女バス来てくれるよね?」

「今日はユウの護衛があるから女バスの練習には行かない」

「ええー?」


 昨日と同じように樋口から女バスの練習に誘われた美波だったが、今日は俺を守るのを理由に断っていた。

 こいつ……俺のこと守護まもるとか言っておいて、本当は樋口の誘いを断るのが目的だったんじゃないのか?

 美波はズル賢い所があるから、きっとそうに違いない。


「ねえ田邊っち、護衛ってどゆこと?」


 樋口にそれを聞かれると答えるのに少し困るな。

 幼馴染の3姉妹のダル絡みがウザすぎるから、とでも言っておこうかと思ったが、美波の前でそんなこと言ったら俺のち●ぽの話をされそうだったので、辞めておこう。


「……まあ、色々な」

「もー! 二人ともなんか怪しい!」

「怪しいって、何がだよ」


 樋口は「むぅ」と頬を膨らませながら、ムスッと「じゃあね!」と言って体育館の方へと行ってしまった。

 怪しいって……変な誤解をされていなければいいが。


「ユウは……私が守るの」


 美波は真顔で下駄箱からローファーを取り出すと、臨戦体制とも言えるくらい身構えながら昇降口を出ていく。

 俺はそんな美波の後ろをついていくように革靴を履いて外に出た。


「さっき宮子姉さんの下駄箱見たけど、中に靴なかった」

「なら先に帰ったんだろうな」

「……違う。私たち三姉妹はお互いの思考が読める」

「は?」

「多分……宮子姉さんはあそこにいる。ついてきて」


 言われるがまま美波と一緒に自転車置き場に行くと、その言葉の意味が痛いほど分かった。

 な、なるほど……こういう。


 静閑とした自転車置き場。

 ざっと30台くらいの自転車が並んでいるのに、その中にある俺の自転車にピンポイントで座っていた、明るいロングヘアでタレ目の爆乳美少女。


「あはっ♡ 待ってたよ〜、雄一くーん♡」


 美波や遥の時と違い、サドルではなく荷台に座って、前屈みになりながらそのデカパイでサドルをズリズリしている宮子がそこにいた。


 もちもちっとした胸をサドルにズリズリしながら、サドルの先端を今にも舐めそうなほど顔を近づけており、それはまるでパイズ……ま、待て。何を冷静に解説してるんだ俺は。


「お、おまえ! やめろよ!」

「このサドルくん。雄一くんのくっさい股間の匂いがたぁっぷり染み込んでるね♡」


 なるほど……これはちょっと、いや、ヤバいかもしれない。

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