弁慶

「もっと早く逃げるんだ」


「これ以上のスピードは出ません」


「くそ、せっかく大量の人間型の機械をつれて過去の世界を支配しようと思ったのに、時空警察なんてのがいるのか」


「あ、ひとつ機械が落ちてしまいましたけど、いいんですか?」


「そんなの気にしなくていいから、全力で逃げるんだ」


平安時代


「いきなり空から落ちてきたみたいだが大丈夫だろうか...」


「とりあえず、その辺の建物に連れて行って目を覚ますまで見といてやろうか」


そう言うと、男は落ちてきた機械の男を担いで歩き始めた。


すこしすると機械の男は目を覚ました。


「ここはどこだろうか・・・」


「おお、目を覚ましたか、いきなり落ちてきたからびっくりしたぞ」


「助けてくださったのですか、ありがとうございます」


「私にできることならなんでもお返しします」


「なるほど、なら私の家来になれ、その体つきならいい護衛になってくれるだろう」


「名前はあるのか」


「いえ、ないです」


「そうか、なら今日からお前の名前は屈強なその体に恥じない弁慶という名前とする」


「わかりました、貴方様ののお名前は?」


「源義経だ」


「義経様、これからよろしくお願いします」



それから二人はたくさんの時間を過ごし、奥州までなんとかしてたどり着いて、体をようやく休めることができると思ったが、義経を迎え入れた藤原秀衡の後を継いだ、藤原泰衡は鎌倉からの圧に耐えることができず、遂にその時が来た。

かの有名な衣川の戦いである。

弁慶は義経の籠った小屋の入口を守ったが、多勢に無勢だったため流石に厳しい戦いとなった。しかもそのタイミングでまさかの事態になってしまう。

「バッテリーが切れかけています、取り替えてください」

「バッテリーが切れかけています、取り替えてください」

「まずい、このままでは義経様をお守りすることができない」

「バッテリーがなくなりました、強制的にシャットダウンします」

そうすると弁慶は動かなくなったが、そこに立ったまま義経のいる小屋に立ち尽くし義経を守り続けた。

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