第82話 キモッ!!

怨害

「おぉうぅ……きぃもぉちぃ……ええぇ……」


 僕の放った『天威夢斬』に直撃した怨害はチリとなり、消滅していった……。


鉄也

「終わったね……」


コウ

「ああ。そうだな……」


 僕とコウは『真名』を解除した。


ニャンタロス

「鉄也様、あのゴリラ顔の人以外の人の救助は完了したにゃ」


鉄也

「ゴリラッ!!」


 僕はゴリラの所へ行く。そしてゴリラが捕らえているピンクの球体を拳で割る。


鉄也

「ゴリラッ!!」


ゴリラ

「うぅん……むにゃむにゃ……」


 良かった……。しっかり息をしている……。生きている……。ただ眠っているだけのようだ……。


鉄也

「良かった……。良かった……生きていて……」


ゴリラ

「うぅん……鉄也……。ダメだって……むにゃむにゃ……みんなが見ている……むにゃむにゃ……。あぁん……そこはぁ……だめぇん……むにゃむにゃ……」


鉄也

「……」


コウ

「……」


ゴリラ

「あぁん……だめぇん……やめちゃ……だめぇん……むにゃむにゃ……。あぁん……も、もっと……強くぅ……むにゃむにゃ……。ぬおぉん……鉄也……そ、そんな事を……されたら……むにゃむにゃ……。だめなのぉん……むにゃむにゃ……。俺……我慢できなく……なっちゃうのぉん……むにゃむにゃ……」


亜数

「……」


ゴスペル

「……」


ゴリラ

「むにゃむにゃ……え? 赤ちゃんプレイ? 鉄也にそんな趣味が……むにゃむにゃ……。分かった、全力で赤ちゃんやる……むにゃむにゃ……。ばぶぅ、鉄也ママ……俺をもっと……むにゃむにゃ……」


ニャンタロス

「……これ、助けない方が鉄也様の為じゃないかにゃ?」


熊丸

「こんな煩悩塗れな人間……今までに見た事がない。いや、彼が煩悩に塗れた人間であるのは知っていたが……いや、しかし……」


卯月

「キッショ……」


ゴリラ

「え? ミルクッ!? ミルクまで飲ませてくれるのかっ!? こんなの本当にバブちゃんになっちまうよっ!? ひぃやぁっほおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!! むにゃむにゃ……」


鉄也

「……コウ……」


コウ

「……諦めろ……。俺達の親友は……ガチで気持ち悪い奴だ……。泣きそうな顔をするんじゃあねぇ……」


亜数

「なんで怨害があんな変な叫びをしていたのか……。ずっと謎だった……。だが、このゴリラ顔の奴を見て……ようやく分かった……。このゴリラ顔の奴の流動力を吸い取る時に……コイツの影響を受けちまったんだな……。だからあんな気持ち悪い叫び声を出していたのか……」


ゴリラ

「はいっ!! 鉄也ママっ!! 僕は情けなく鉄也ママに踏まれているバブちゃんでちゅうっ!! あぁんっ!! そんな目で見下さないでほしいでちゅうっ!! ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!? そんなところっ!! らめえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!? はっ!?」


 あ、ゴリラが起きた。


鉄也

「ゴリラ……無事だったんだね……」


ゴリラ

「……続きは?」


鉄也

「なんの?」


ゴリラ

「ナニのっ!!」


コウ

「何言ってんだ? コイツ……」


 そんな事、僕が1番聞きたいんだけど……。


ゴリラ

「お? コウもいたのかよ。一緒に赤ちゃんプレイと洒落込もうぜっ!!」


コウ

「……俺達……こんな奴の為に命張ったのかよ……」


鉄也

「はいはい。ゴリラの赤ちゃんはここから出たら病院行きまちゅよ」


ゴリラ

「ばぶぅっ!!」


コウ

「おい、ゴリラ。鉄也、怒っているぞ」


亜数

「なんにしても一件落着だな」


『ピキ……ピキピキピキピキピキピキピキピキピキピキピキィィィィィ』


 ん? なんの音?


『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォ』


亜数

「っ!? 『異界』が壊れ始めたのかっ!? 馬鹿なっ!? あと1時間くらいは保っていいはずだろうがっ!!」


 周囲を見渡すと僕が技を放った場所の空間に亀裂が入っていた。あ、やっば……『異界』ごと壊しちゃったっぽい……。やっちまったぜっ!!


コウ

「おいっ!! 鉄也っ!! コレお前の仕業かっ!? 今『やっちまったぜっ!!』みたいな顔をしていたもんなっ!!」


鉄也

「いやぁ……力加減……間違えたっぽい……。……やっちまったぜっ!!」


コウ

「『やっちまったぜっ!!』じゃねぇんだよっ!! 力加減をする事を覚えろとあれほど言っただろうがっ!! お前って奴はブチギレていると後先考えねぇでっ!! 強力な技を連発するんだからっ!! 後始末するこっちの身にもなれよっ!!」


鉄也

「コウだってキレたら手がつけられなくなるじゃんっ!!」


コウ

「ちげーねー」


鉄也・コウ

「「はっはっはっはっ」」


ゴスペル

「いやっ!! 笑い事じゃないにょっ!! 鉄也様っ!! 早くここから脱出するにょっ!!」


亜数

「ニャンタロスッ!! お前の能力でここから脱出するぞっ!!」


ニャンタロス

「あ、もう間に合わなさそうにゃ」


亜数

「え?」


『ドッッッカアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァン』


 僕達は『異界』が破壊されて消滅する際に発生する爆発に巻き込まれたのだった……。


 その際に僕はどこかに飛ばされるような感覚がした……。

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