第81話 雲を貫く2人

 卯月の能力『鏡花水月』は、簡単に言ってしまえば『絆』の能力だ。


 その能力は、卯月自身と他者との間に絆ができた際に効果を発揮させる。卯月は親しくなった者の能力を他者に扱わせる事ができる。


 相手との関係が親しければ、親しいほどに卯月の能力は強くなる。


コウ

「コピー能力ってやつかー?」


鉄也

「まぁ、そんなところだけど。卯月自身は親しくなった相手の能力は扱えない」


卯月

「確かに私自身はこの能力は扱えない。今みたいに誰かに触れないとならない。けど私の能力は私が親しい相手の能力を扱うだけではないの。親しい相手であれば、あるほど力は増す。その力はオリジナルを超える事だってあるの」


コウ

「なるほどー。だからサポートかー」


鉄也

「話はここで終わり。卯月、次の能力を」


卯月

「承知致しました。『鏡花水月』っ!! 『斬刀熊丸ざんとうくままる』っ!!」


 卯月は能力で熊丸の能力『斬刀熊丸』を再現させる。


 熊丸の能力は、ありとあらゆる防御、様々な効果を無視して、触れたところに『切断した』という結果を残す。僕はその力を『銀月』に宿らせる。


怨害

「あぁんほほほぉんほおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!!!!」


 怨害は体から複数の黒い腕を出し、その腕を僕に目掛けて伸ばすっ!! 僕はその腕を一太刀で全て斬り裂くっ!!


コウ

「ヒュー。やるやんかー。こっちも負けてらんねーなー」


 コウは『神木霊剣』を地面に突き刺し、両手の平を合わせる。その姿はどこか神に祈るような姿に見えた。


コウ

「真名『神殺天槍輪廻終点しんさつてんそうりんねしゅうてん』」


 コウがそう呟いた瞬間、コウの拳はまるで降り積もった雪のように白く染まる。その拳からは何もかもを貫きそうなくらいの威圧感を放っている。


コウ

「これが俺が鉄也に追いつく為に編み出した技。能力の極致。この拳は如何なるモノも必ず貫き殺す」


亜数

「っ!? あ、アレはっ!? 『真名』だとっ!?」


熊丸

「コウさん。貴方も辿り着いたのですね。昔から貴方が努力していたのは知っていましたが……ここまで強くなっていたとは……」


怨害

「んのぉっ!? ぬぉほほぉっ!? とみいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃっ!!!!」


 怨害は地面から黒い腕を出し、身を護ろうとするっ!!


コウ

「防御は無駄だっ!! 『神殺拳槍しんさつけんそう』っ!!」


 コウの拳から白い槍状の光線が放たれ、黒い腕を突き抜け、怨害の体を貫くっ!!


怨害

「アウチッ!! イィィィィィッタァァァァイヨオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォヨオオオォォォォォンッ!!」


ゴスペル

「にょっ!? れ、霊体を貫いたにょっ!? こ、これは愛がなせる技かにょっ!! 愛が不能を可能にしたにょっ!!」


ニャンタロス

「なんか嫉妬してしまいますにゃ」


熊丸

「喋っていないで、救助作業を続けて」


ニャンタロス

「分かってるにゃ」


怨害

「さああああああああぁぁぁぁせええええええぇぇぇなああぁぁぁいぃぃぃぃっ!!!!」


 怨害は再びニャンタロス達に攻撃しようと黒い腕を出して襲い掛かるっ!! コウは『神木霊剣』をぶん投げてその腕を破壊するっ!!


怨害

「アウチッ!?」


コウ

「よそ見してんじゃーねーよー。お前の相手は俺達『黒鬼コンビ』だぜーっ!!」


鉄也

「コウが使ったんなら僕も使うかな。真名『天衣無縫龍王丸てんいむほうりゅうおうまる』っ!!」


 僕も真名を使う。そして真っ白に染まった『銀月』を振りかぶる。


鉄也

「『天威夢斬てんいむざん』っ!!」


 『天威夢斬』は斬撃を飛ばし、斬撃が触れたところを問答無用で消滅させる技だ。


 その技を怨害に目掛け放ったっ!!


怨害

「あ、ヤベッ!! ぬおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉんっ!!」


 怨害は地面から大量の黒い腕を出現させて、僕の攻撃を防ごうとするっ!! だが僕の放った技はそれすら消し去り怨害に向かって行くっ!!


怨害

「いやああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!?」


 怨害は黒い腕を2本、黒い足を2本出してスライディングしながら僕の攻撃を避けるっ!!


鉄也

「……怨害って足も出せるんだ……」


コウ

「そんな事を言ってねぇーでーっ!! 戦うぞっ!! 勝つぞおおおぉぉぉっ!!」


鉄也

「うんっ!!」


コウ

「『神殺拳槍・双撃しんさつけんそう・そうげき』っ!!」


鉄也

「『夢想無撃むそうむげき』っ!!」


 コウの2つの白い槍状の光線と僕の拒絶の力を宿した波動砲を怨害に目掛けて放つっ!!


怨害

「ぬおおおぉぉぉぉんっ!? にゅうわぁぁわあああああぁぁぁぁっ!? いやああああぁぁぁぁんっ!?」


 怨害はちょこまかと僕達の攻撃を避けるっ!!


コウ

「ちょこまかと動き回りやがってっ!!」


鉄也

「意外と素早い奴だっ!! 『天威夢斬』っ!!」


怨害

「あぁはぁんやぁんっ!?」


 怨害は僕の放った斬撃を地面を転がりながら回避するっ!!


コウ

「反撃のチャンスを与えるなっ!! ニャンタロスと熊丸の救助が終わるまで攻撃して畳み掛けるぞっ!!」


鉄也

「分かっているっ!! 『天威夢斬』っ!! 『夢想無撃』っ!!」


コウ

「『神殺拳槍・千手撃しんさつそうけん・せんじゅげき』っ!!」


怨害

「いぃぃぃぃぃかああぁぁぁぁぁげえええぇぇぇぇんにぃぃぃぃしぃぃぃぃてええええぇぇぇぇぇよおおおおぉぉぉぉほぉほぉほおおおおおおおおぉぉぉぉんっ!!!!」


 怨害はコウの数千の白い槍状の光線も僕の斬撃と波動砲もヒラヒラと避けるっ!!


コウ

「気が抜けるような叫び声を出しやがってっ!!」


鉄也

「コウッ!!」


 僕は白く染まった『銀月』をコウに投げて渡すっ!! 


コウ

「分かったっ!! オラアアアァァァッ!!」


 『銀月』を受け取ったコウは怨害に目掛け『銀月』を投げ飛ばすっ!!


怨害

「ああぁぁぁぁぁぁんっ!!」


 怨害は『銀月』をジャンプして避けるっ!! 


鉄也

「『夢想無撃』っ!!」


 僕はそのタイミングを見計らい、空中にいる奴に目掛け波動砲を放つっ!!


怨害

「アァァウッッチィッッ!?!?」


 怨害は僕の波動砲に直撃し、左半身が消し飛ばされたっ!! まだ倒し切るには傷が浅いかっ!!


コウ

「まだまだ終わりじゃねぇぞっ!! オラアアアァァァッ!!」


 コウは『神木霊剣』を拾い上げ、怨害に目掛けて投げ付けるっ!!


 『ズブッ』


 『神木霊剣』は怨害の下半身に突き刺さるっ!!


怨害

「ぬわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!? おおおおぉぉぉしいいいいぃぃぃぃりいいいぃぃぃぃぃがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!?」


亜数

「アレは痛いな」


ゴスペル

「にょ。アレは痛いにょ」


コウ

「このまま畳み掛けるぞっ!!」


鉄也

「うんっ!!」


 僕は『銀月』を呼び戻すっ!! そして柄を握り怨害に向かって駆け出すっ!! コウも拳を握り締め駆け出すっ!!


鉄也・コウ

「「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」


怨害

「ぬわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


 怨害は地面から黒い腕を複数出して身を護ろうとするっ!!


コウ

「俺が奴までの道を切り開くっ!! 『神殺拳槍・除災薙払いしんさつけんそう・じょさいなぎばらい』っ!!」


 コウの右フックが怨害の黒い腕を全て薙ぎ払うっ!!


怨害

「ふぁっ!?!?」


コウ

「鉄也っ!! 今だっ!!」


鉄也

「『天威夢斬』ッ!!」


 僕は無防備になった怨害に向かって消滅させる斬撃を放ったっ!!


怨害

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?」




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