第77話 うるさい

 僕は泊まっている部屋に戻り、シャワーを浴びる。それが終わると歯を磨き、ベッドに横になる。横にはなるけど、眠れない……。


鉄也

「ゴリラ……。無事でいてよ……。無事じゃなかったら……」


熊丸

「鉄也様は本当にご友人の事を大切にされていますね」


 眠れないのを察してか、熊丸が僕の横にやって来た。


鉄也

「うん。大切だよ。幼い頃から……ずっと一緒にいた……。僕とコウにとって掛け替えのない友達だよ……」


熊丸

「鉄也様。我々も力の限り、貴方と共に戦います。コンスケ、ニャンタロス、卯月、ゴスペルもその覚悟はしています」


鉄也

「……」


熊丸

「我々は貴方が大好きだから付き従うのです。だから巻き込んだとか思わないでくださいね」


鉄也

「慰めているつもり? でも、うん。ありがとう。僕もみんなが大好きだよ」


熊丸

「はい。存じております」


卯月

「コンスケッ!! 聴いたっ!? 鉄也様がっ!! 鉄也様が私の事を大好きってっ!!」


コンスケ

「ボク達みんなに言われた言葉だからね。卯月だけに言った言葉じゃないからね」


ニャンタロス

「んにゃぁ、鉄也様に言われるとにゃーは照れ臭いにゃ」


ゴスペル

「にょほほほぉ。鉄也様、オイラも大好きだにょ。鉄也様にそんな事を言われたらオイラはどんな事にも耐えられそうにょ」


亜数

「ほう……。そうかゴスペル……。そうか、そうか……。なら俺との愛し合いのレベルをもう少し上げるか」


ゴスペル

「にょっ!?」


亜数

「そうされても構わんだろう? どんな事にも耐えられるのだろう?」


ゴスペル

「うにょっ!? な、なんて事を言うにょっ!!」


亜数

「さぁっ!! 浴室に行ってっ!! 愛を確かめようじゃあないかっ!!」


ゴスペル

「今さっきまですごく良いシーンだったにょにっ!! それを全て台無しにするつもりかにょっ!? や、やめるにょっ!! もうやめるにょっ!! 考え直すにょっ!!」


『ガシッ』


ゴスペル

「にょっ!?」


亜数

「こおぉっちらのぉ世界へえぇっ!! よおおぉぉうぅこそおおおおぉぉぉぉっ!!」


ゴスペル

「んにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?」


『ズルズルズルズルズルズルズルズル』


『バタン』


『ズゴゴゴゴゴゴォォォォキュゥィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン』


『んにょおぉっ!?!? いきなりクライマックスかにょっ!?!? や、やめるにょっ!! んにょわぁわぁわぁわぁわぁわぁわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!?』


鉄也

「……毎回思うんだけど……何やっているんだろう?」


熊丸

「見てはなりません。アレは救えぬ者達でございます」


鉄也

「?」


コンスケ

「ゴスペルに魂の救済があらん事を……」


ニャンタロス

「にゃんて……酷いむごいにゃ……」


卯月

「うわぁ……ドン引きですわ……」


鉄也

「?」


 本当に何が起きているんだろうか……。ちょっとだけ覗きに行った方がいいかな?


熊丸

「っ!? 鉄也様っ!! あれは貴方様が見るようなモノではございませんっ!! そ、それにっ!! ほらっ!! ご友人を助けに朝早くから行かないとなりませんでしょうっ!! は、早くおやすみくださいっ!!」


コンスケ

「そ、そうですよっ!! あんなの見てはなりませんっ!! 鉄也様が穢れけがれてしまいますっ!! 鉄也様はいつまでもっ!! ピュアピュアでいてくださいっ!!」


ニャンタロス

「そ、そうにゃっ!! 鉄也様はあんなモノ見てはならないのにゃっ!!」


卯月

「そ、そうですっ!!」


 な、なんかみんなに止められてしまいました。仕方ないので寝る事にしました。


『ズボッギュウゥゥイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン』


『んにょほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!?!?』


 謎の音とゴスペルの断末魔を聞きながらだとうるさくて寝づらいな……。あとうるさい……。


熊丸

「うるさいっ!! 鉄也様がおやすみになられるんだぞっ!! 静かにしなさいっ!!」


『無茶言わないで……』


『ギュウィイウィイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン』


『にょわぁわぁわぁわああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!? にょわぁんにょわぁんっ!?!? にょわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!?』


熊丸

「亜数っ!! いい加減にしろっ!!」


『それは無理だなっ!! 俺の聖剣エクスカリバーはっ!! もう誰にもっ!! どうにもっ!! 止められはしないのだっ!!』


『オイラが壊れてしまうにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!?!?』


 本当にうるさい。こんな状況じゃ誰でも寝れないと思う。気が付いたら朝になっていた。


『ギュウィイウィイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン』


『にょほおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!?!?』


熊丸

「いつまでやっているつもりだろうか?」


コンスケ

「もう日が昇り始めているのにね」


鉄也

「……」





ーホテルの前ー


コウ

「その目の下のクマはどうしたんだよー?」


鉄也

「寝れなかった……」


コウ

「そっか……。まぁ……そうだよな……。エナジードリンクでも飲んでおけ」


鉄也

「うん」


 僕はホテルの近くのコンビニでエナジードリンクを購入して飲む。コウも缶コーヒーを購入して飲む。


コウ

「鉄也」


鉄也

「ん?」


コウ

「絶対ゴリラの馬鹿を助け出すぞ」


鉄也

「うんっ!!」

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