第59話 『泡沫の鬼神』の隣に立つと決めた男の拳

男15

「……さすが……『国の盾』の最強戦力である『帝』の称号を持つだけの事はある……。面構えが違う……」


 初老の男は鞘から刀を抜き、両手で握る。その刀身の切っ先をコウの方へと向ける。


男15

「……さぁ、そろそろ戦おう……」


 初老の男はコウの喉を目掛け突き刺そうとするっ!! コウは右側に体を傾け切っ先を避けるっ!! だが次の瞬間っ!! 横薙ぎを繰り出すっ!! コウは後ろに跳んで鋭い一撃を回避するっ!!


コウ

「おー。オッサン、なかなかいい攻撃をするじゃんかー」


男15

「そちらも……なかなか素早い……」


鉄也

「あの人、なかなか強いね」


男16

「よそ見してんじゃねぇっ!!」


男17

「今だっ!! かかれっ!! かかれっ!!」


男18

「アチョウゥゥゥゥッ!!」


男20

「ぶっ殺せえぇっ!!」


 僕がコウの戦闘を見ていると背後から男達が襲い掛かってきた。僕は『銀月』を床に突き刺し、襲い掛かって奴等に向かって走る。


鉄也

「ウラララララララララアアアァァァァァァッ!!!! ウゥゥラアアアアアアアァァァァァァッ!!!!」


 僕は襲い掛かってきた奴等に両拳の連打を叩き込むっ!!


男達

「「「「グギィヤアアアアァァァァァァッ!?!?」」」」


 男達は吹っ飛んで壁にめり込む。


男21

「ひ、ひえぇぇ……」


男22

「怖っ!! い、今の攻撃っ!! み、見えなかったぞっ!! お、おいっ!? こ、これが世界最強クラスの実力かよっ!?」


男23

「れ、レベルが違いすぎるっ!!」


鉄也

「コウ。雑魚に邪魔させないからそっちは任せたよ」


コウ

「おーっ!! サンキューっ!! 今度はこっちから攻め込むぞーっ!!」


 コウは初老の男に接近するっ!! 初老の男は咄嗟に真一文字に斬り掛かるっ!! コウは素早くしゃがんで斬撃を避けるっ!!


 すると初老の男は刀を振り上げ、素早く振り下ろすっ!! コウは立ち上がりながら左の拳の甲で刀身を殴って軌道を逸らすっ!!


男15

「むっ!?」


 初老の男は後ろに跳んで距離を取ろうとするっ!! だがコウはそのまま初老の男に駆けるっ!! 


男15

「『寒冬・氷柱伊吹かんとう・つららいぶき』っ!!」


 接近するコウに対して初老の男は刀による乱れ突きを繰り出すっ!! コウはその全ての突きを硬化した拳で殴り軌道を逸らすっ!!


男15

「っ!? それがしの攻撃をっ!? くっ!! 『初夏・熱風両断しょか・ねっぷうりょうだん』っ!!」


 初老の男は素早く刀を鞘に納め、凄まじい速さで抜刀してコウに斬り掛かるっ!!


 コウはその攻撃を右回転しながら右の裏拳を繰り出して攻撃を防ぐっ!! そして後ろに跳んで距離を取り、勢いよく初老の男に接近するっ!!


 初老の男も負けずに刀を振り上げ、素早く降り下ろすっ!! だがコウは左の裏拳を繰り出し刀身を殴って斬撃を防ぐっ!!


コウ

「オッサン。なかなか強いじゃねーかー」


男15

「いとも容易くそれがしの攻撃を防いでいるくせにっ!! よくそんな事をっ!?」


コウ

「ただよーっ!! 俺の方がもっと強いぜーっ!!」


 初老の男は素早く構えて斬り掛かろうとするがコウの方が速いっ!!


コウ

「『メタリックハンド』ッ!!!!」


 コウはそのまま初老の男の鳩尾目掛けて拳を叩き込むっ!!


 初老の男の体から『バキイイイイイイィィィィィ』と音が響くっ!! そして部屋の奥の壁まで吹っ飛び壁にめり込むっ!!


男15

「ゴフッ!?!?」


コウ

「なかなか強くて楽しめたぜー。オッサン」


鉄也

「いいなぁ、僕も戦ってみたかったよ……」


コウ

「ご指名は俺だったからなー」


チビの銀行強盗

「な、なんなんだよっ!? 数はこっちの方が多いのにっ!! 手も足も出ないってっ!?」


デブの銀行強盗

「こ、これは、ま、マズイんだなっ!! まったく勝てる気がしないんだなっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「ま、マジかよ……。じ、次元が……違い過ぎる……」


女の子

「マアアアアアアァァァァァァマアアアァァァァァァッ!!!! 怖いよおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」


鉄也

「コウッ!! 女の子が泣き出したぞっ!?」


コウ

「お嬢ちゃん待ってろよーっ!! 今助けるからよーっ!!」


鉄也

「もう大丈夫だよっ!! お兄ちゃん達が悪い奴等を皆殺しにするからっ!!」


女の子

「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!? 鬼のオバケが話しかけてきたああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!? 怖いよおおおおぉぉぉぉっ!!!!」


鉄也

「ち、小さな女の子を怖がらせて……恥はないのかっ!? 貴方達はっ!?」


チビの銀行強盗

「いやっ!! 怖がっている原因っ!! 半分くらいお前達だからなっ!! 分かってんのかっ!? この野郎っ!?」


鉄也

「ひ、人の所為にしたぞっ!?」


コウ

「なんて奴等だーっ!! 子供を攫いさらい、人質に取り、怖がらせた挙句にそれを人の所為にするとかお前等に人の心はないのかーっ!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「いやっ!! 君等に言われたくないんだけどおおぉぉっ!?」


ボスっぽい男

「んんん? これはなんの騒ぎだ? 敵襲か?」


 部屋の奥から大柄の男が現れた。身長は2メートルってところか……。金髪のオールバックに金色の瞳。肌は白く、右の頬にはドクロのタトゥーがある。豹柄の羽織に紺色のジーパン姿。左の腰には短刀、脇差、日本刀を携えている。


ヒョロガリの銀行強盗

「ぼ、ボスっ!! 敵襲ですっ!! ボスの力を見せちゃってくださいよっ!!」


鉄也

「へぇ、あの人がボスか……」


コウ

「あー、アイツは知ってるぞー。有名な能力犯罪者だわー。確か、名前は『レガナ・オクトパス』だわー」


鉄也

「どんな人なの?」


コウ

「能力を悪用して、強盗殺人、強姦殺人を繰り返しているクソ野郎だぞー。最近日本に入ってきそうって噂は聞いていたけどよー。まさかこんな所で出会うとはなー」


鉄也

「……僕等の住んでる町……物騒じゃない?」


コウ

「探偵小僧の出てくるアニメよりかはマシじゃねぇーかー?」


鉄也

「歩いていたら銀行強盗が出てきて、女の子を人質にして逃げたから追いかけたら、能力犯罪者と鉢合うのはいかがなものかと……」


コウ

「……まー、毎回事件に巻き込まれないだけマシだろー?」

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