第58話 御用改めである

 銀行強盗達が女の子を人質に車で逃亡。


 僕とコウは逃走中の銀行強盗達を追いかけていた。


 途中ゴリラが車に飛び乗るハプニングもあった。


 まぁ、いろいろあって銀行強盗達の車は自分達のアジトに突っ込んだ。


 ついでに車の上に飛び乗ったゴリラは落っこちた。


コウ

「ゴリラの奴は大丈夫かー?」


鉄也

「大丈夫。ゴリラはタフさだけなら最強クラスだから」


ゴリラ

「いててぇ……。まったく無茶な運転する野郎共だぜ」


鉄也

「ほらね。それより人質にされた女の子が心配だ」


コウ

「そーだなー……」


ゴリラ

「詳しい事情は分からんけど……まぁ、頑張れよ」


鉄也

「うん」


コウ

「ちょっくら行ってくるかー」


 そして僕等もアジトに乗り込んだのだった。



ー銀行強盗のアジト内ー


男1

「な、なんだなんだっ!?」


男2

「おいおい……アジト壊すなよ……。壊れた壁やら直すのも金がかかるんだぞ……。ただでさえ、俺達は指名手配されている奴が多いからちゃんとした業者には頼めねぇんだから壊すなよ」


チビの銀行強盗

「そんな事を言っている場合じゃねぇよっ!! 敵襲だっ!!」


男3

「な、なんだとっ!?」


男4

「ファットゥッ!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「人手を集めてボスにも報告しろっ!! 手強いぞっ!!」


男5

「相手はっ!? 数はっ!?」


チビの銀行強盗

「あ、相手はっ!! 黒帝と泡沫の鬼神っ!! 『黒鬼コンビ』だっ!!」


 僕とコウは壊れた壁から乗り込むっ!!


コウ

「ここが『アポー』だか『パイナポー』だかいう組織のアジトかー?」


鉄也

「そこそこな人数いるね……。ざっと60人くらいかな? アジトというか大きめの倉庫みたいだね」


コウ

「もしかしてなんかの取り引きで使う予定だった倉庫かー?」


男6

「黒い鬼の面っ!? 黒いコートっ!? こ、コイツっ!? 『メタリックハンド』っ!?」


コウ

「おい、今なんて言った?」


男7

「『メタリックハンド』っていやぁっ!! 若くして『帝』の称号を手にした男じゃねぇかっ!? 今じゃ『黒帝』とか言われてる最強の一角っ!!」


男8

「隣の奴っ!? 銀色のコートに般若の面っ!? もしかしてっ!? 『魔王軍』って世界最強のテロ組織をたった一夜で壊滅させたって伝説の『泡沫の鬼神』かっ!?」


男9

「う、嘘だろうっ!? 天女の如く天空を舞い、鬼神の如く敵を斬り伏せるっ!! 『水帝』の最強の番犬っ!! 『泡沫の鬼神』だとっ!?」


男10

「『水帝』以外には誰にも縛られず、何者からの圧力にも屈せず、ただただ敵と認識した者を滅ぼすっ!! 伝説の鬼神までっ!?」


男11

「チッ!! ここが我が組織『パイナポー』のアジトって事を突き止めやがったのかっ!? こんなところでっ!! 俺達の野望を潰されるワケにはいかねぇっ!! 野郎共っ!! あの2人をぶち殺せっ!!」


男達

「「「「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」


 なんか男達は銃火器や刀剣、棍棒、槍などの武器を構える。


 僕は能力で『銀月』を作り出して、構える。コウも両拳を硬化させ、右拳を奴等に向ける。


鉄也

「やる気満々だね」


コウ

「数だけ揃えたところで俺達に勝てるとか思ってんじゃねぇーかー?」


男1

「泡沫の鬼神っ!! その命っ!! 燃やしてやるよっ!! 『フレイム・キャノン』っ!!」


男2

「『メタリックハンド』っ!! お前もぶっ殺すっ!! ダッサイネーミングセンスを嘆きながらくたばれっ!! 『サウザンド・アイスランス』っ!!」


男3

「俺の弾丸はどこまでも追尾するっ!! 『デス・ストーカー』っ!!」


 敵達から火炎放射やら複数の氷の槍、弾丸が飛んで来る。


鉄也

「『銀月・満ち月』」


 僕は『銀月』を自分の前方で右回しに振り、流動力の斬撃を円状に出し、全ての攻撃を防ぐ。


コウ

「ナイスー。その技さー、本当に便利だなー」


鉄也

「思ったより威力はなかった。これなら普通に刀を振っただけでも防げたかも」


コウ

「念には念を入れといて損はねぇだろー。アイツ等は能力者だからなー」


鉄也

「そうだね」


男1

「っ!? お、俺達の攻撃をっ!? 防いだだとっ!?」


男2

「こ、これがっ!? 『黒鬼コンビ』の実力っ!?」


男3

「ま、マジかよぉっ!?」


鉄也

「騒がしいね」


コウ

「おー? ビビってるのかー?」


鉄也

「まさか。この程度の攻撃を防いだだけで同様する奴等、怖くないよ。それに僕の隣にはコウがいるからね。2人でいれば、どんな事だって怖くないよ」


コウ

「フッ……嬉しい事を言ってくれるじゃねーかー。そんじゃー、一丁やってやりますかー」


鉄也

「うん」


男1

「な、舐めんじゃねぇっ!!」


男2

「全員で囲んで嬲り殺せええぇぇっ!!」


男3

「超至近距離から弾丸ぶち込んでやるぜぇっ!!」


男4

「俺の槍で串刺しにしてやんよぉっ!!」


男5

「俺の愛刀『死理月しりつき』の錆にしてやるよっ!!」


鉄也

「行くよっ!! コウッ!!」


コウ

「おーっ!!」


 僕とコウは敵達目掛けて走り出すっ!! 


鉄也

「ウラアアアアアアァァァァァァッ!!!!」


コウ

「オラアアアアアアァァァァァァッ!!!!」


 コウは右拳を振り上げ、僕は左足を蹴り上げ敵を吹っ飛ばすっ!!


男達

「「「「「ぎぃやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」」」」」


男6

「っ!? は、速いっ!?」


男7

「ひ、怯むなっ!! 数はこっちの方が多いっ!! 全員でかかれええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


コウ

「ほー、威勢がいいなー。お前ー」


男7

「えっ!? い、いつの間にっ!? お、俺の後ろにっ!?」


 コウは叫んでいた男の首根っこを掴む。


コウ

「そんなに叫ぶと弱く見えちまうぞーっ!!」


 コウはそのまま男を持ち上げ、他の奴等に目掛けて投げつけるっ!! 


男達

「「「ぐべぇっ!?!?」」」


男8

「な、なんて腕力だよっ!?」


鉄也

「後ろ、ガラ空きですよっ!! ウラアアアアアアァァァッ!!」


 僕はコウを見て後ろがガラ空きの男に回し蹴りを叩き込むっ!!


男8

「ぐっはっ!?!?」


鉄也

「コウのパワーに見惚れちゃうのは分かるけど、敵に背を向けちゃうのはダメだよ」


男9

「くっ!? こ、こっちも強いぞっ!!」


男10

「退けっ!! 俺がやるっ!! 俺の『ポイズン・ハグ』でっ!!」


鉄也

「ふんっ!!」


 僕は襲い掛かってきた男の股間を蹴り上げるっ!!


『バキイイイイイイィィィィィ』


男10

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?!? 俺のお稲荷さんがああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」


男12

「な、なんなんだよっ!? コイツ等っ!?」


コウ

「オラオラーっ!! よそ見していたらよーっ!! ぶっ飛ばすぞーっ!!」


男達

「「「「「ぐわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」」」」」


 コウの連続蹴りが炸裂し、敵を吹き飛ばしていくっ!!


コウ

「鉄也ーっ!! アレをやるぞーっ!!」


鉄也

「分かった。アレね。『銀月・満ち月』」


 僕は『銀月』を自分の前方で右回しに振り、流動力の斬撃を円状に出す。コウは円状にした流動力の斬撃を硬化した右手で掴む。円状の斬撃を硬化させ、硬度を高める。


コウ

「『共闘技きょうとうわざ・フリスビー・ムーンブレイド』っ!!」


 コウは円状にした流動力の斬撃を男達目掛けて投げ付けるっ!!


男13

「な、なんか飛んで来たっ!?」


男14

「安心しろっ!! 俺の能力は『バリア』っ!! どんな攻撃も防いでやるっ!!」


男15

「判断遅いぞっ!! 間に合わないぞっ!!」


男14

「えっ!?」


男達

「「「「「グゥギィヤァアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッ!?!?」」」」」


 男達は投げ付けた攻撃を防ぐのが間に合わず吹っ飛ばされるっ!!


コウ

「よっしゃーっ!!」


鉄也

「……コウ、やっぱり技名変えない? 少しダサいよ……」


コウ

「そーかー? この技名はカッコイイだろー」


男15

「……噂に違わぬ強さ……。見事だ……。どれ、ならばそれがしが出よう……」


 日本刀を腰に携え、浴衣を着た初老の男がコウの方へ歩み寄る。あの初老の男……そこそこ強そうだな……。


コウ

「おー? 多少は骨がありそうな奴が出てきたなー。鉄也ー」


鉄也

「オッケィ。分かっているよ。手は出さないし、他の奴等に邪魔させないよ」


男15

「さぁ、『メタリックハンド』……」


コウ

「『黒帝』だー。もしくは『黒鉄の拳聖』って呼べよー」


男15

「それは失礼した。ならば『黒帝』。構えたまえ」


 コウは両足を少し開き、左足を前に出す。つま先を少しだけ立てる。姿勢も少しだけ前傾になり、腰は少し落とす。顎を少し引き、硬化して漆黒に染まった両拳を顔の前に構える。


 アレはコウのファイティングポーズ。1対1の戦いをする時の構えだ。

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