第57話 歩行

ーチビの銀行強盗目線ー


 俺達は世界的に有名な能力犯罪組織『パイナポー』の資金集めの為、銀行強盗をしていたっ!!


 だが、そこで運悪く『黒鬼コンビ』と交戦しちまったっ!!


 デブは右拳が粉砕骨折しているしっ!! 兄貴は泡を吐いたまま意識が戻らねぇっ!!


 だが、まだ運は尽きちゃいなかったっ!! ガキを人質にしてっ!! なんとか逃亡する事に成功したっ!!


女の子

「離してよっ!! 痛いよっ!! ママッ!! ママァァァッ!!」


チビの銀行強盗

「騒ぐんじゃねぇよっ!! ぶっ殺すぞっ!!」


デブの銀行強盗

「そ、そうなんだなっ!! お、お兄さんとた、楽しい事をしようなんだなっ!!」


コウ

「そこの車ーっ!! 止まりなさいーっ!! 時速何キロで走っているんだーっ!!」


 こ、この声はっ!? バックミラーを確認すると後ろから黒帝が走って追っ掛けて来ただとおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!?!? ば、馬鹿なっ!? 120キロ出してんだよっ!?


『コンコンコン』


 ノック音がした真横を見ると泡沫の鬼神が早足で真横にいるんだけどおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?


鉄也

「そこの車。止まりなさい。何キロで走っていると思っているんですか?」


チビの銀行強盗

「いやっ!! お前こそっ!! 時速何キロで歩行してんだよっ!?」


鉄也

「散歩しているくらいの速度だから120キロくらいかな?」


チビの銀行強盗

「正解だよっ!! メーターが120キロになっているもんっ!! いつもっ!! どんな速度で散歩しているんだよっ!?」


鉄也

「いつもこんなもんだよ。あ、そういえば……僕の家の近所の話なんだけど……時速120キロで歩く未確認生物がいるって聞いた事あるなぁ……」


チビの銀行強盗

「それ絶対君の事だよねぇっ!? ねぇっ!!」


鉄也

「やだなぁ。僕はただの高校生だよ」


チビの銀行強盗

「普通の高校生はそんな速度で散歩しねぇんだよっ!!」


鉄也

「え? コウと散歩する時、こんなもんだよ」


チビの銀行強盗

「そのコウくんって子も異常だよねぇっ!? 誰なのそんな危険物はっ!?」


鉄也

「え? 後ろから追いかけて来てるじゃん」


コウ

「本名バラすなよー。個人情報って知ってるー?」


鉄也

「コウだって、この間潰した組織の敵の前で僕の本名言ったじゃん」


コウ

「ちげぇねぇー」


鉄也・コウ

「「はっはっはっ」」


チビの銀行強盗

「笑い事じゃねぇんだよっ!! オジサンッ!! 君達の将来がすごく心配なんだけどっ!?」


鉄也

「銀行強盗しているくせにそれ言う?」


コウ

「人質までとってるくせにそれ言うー?」


チビの銀行強盗

「ちげぇねぇっ!!」


チビの銀行強盗・鉄也・コウ

「「「はっはっはっはっはっはっ」」」


ヒョロガリの銀行強盗

「笑い事じゃねぇんだよっ!?!?」


 あ、兄貴が起きたっ!?


チビの銀行強盗

「あ、兄貴っ!? 大丈夫ですかいっ!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「いやっ!! 楽しそうな笑い声がしたからさぁっ!! 起きたらさぁっ!! 何、敵と楽しそうに談笑しているわけぇっ!?」


鉄也

「うわぁ、すごい。首の骨、折るつもりでラリアットしたのにねぇ」


コウ

「ねー」


ヒョロガリの銀行強盗

「えっ!? 首の骨っ!! 折れてないっ!? 俺の首っ!! 大丈夫だよねぇっ!?」


 いや、兄貴。むしろ『黒鬼コンビ』のラリアットをマトモに受けて首が吹っ飛ばない兄貴の耐久性が異常なだけですよ。


鉄也

「次は首が切れるくらい思いっきりやろうっ!!」


コウ

「おーっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「『おーっ!!』じゃねぇんだよっ!! 殺す気かっ!?」


コウ

「敵に情けはかけなーいー。敵はみんな首チョンパー」


デブの銀行強盗

「あ、兄貴をい、労わって、ほ、ほしいんだなぁ」


鉄也

「でも僕等からしたら関係ないからね」


コウ

「ねー。幼女を亀甲縛りする奴に容赦できねーよなー。幼女からしたらトラウマもんだよなー」


女の子

「お、オバケが……い、いっぱい……追いかけて来る……」


ヒョロガリの銀行強盗

「ほらっ!! いつの間にか乗っていた女の子も怖がってんじゃねぇかっ!?」


鉄也

「か、可哀想にっ!! なんて事をしやがるっ!!」


チビの銀行強盗

「その発端っ!! 君等の所為でもあるからねっ!! 時速120キロで走っている車を追いかけて来たら普通にホラーだからねっ!! 特に車の横で早歩きしている君っ!! 君が1番怖いからねっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「ほらっ!! 怖くないからねっ!!」


女の子

「ぎゃあああぁぁぁぁっ!?!? 覆面オバケエエエェェェッ!!!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「覆面が怖いのかなっ!? オジサンッ!! 覆面取るからねっ!! ほらっ!! 覆面取ったよっ!!」


女の子

「オジサン、クマさんみたいで怖いぃぃぃぃっ!!」


鉄也

「いたいけな女の子を怖がらせがって……覚悟はいいかっ!? このクソ野郎共っ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「君等の所為でもあるからねぇっ!! そんな速度で横にへばり付いていたら普通に怖いからねっ!! しかもその般若の面とか怖いからねっ!? 分かっているのかっ!?」


鉄也

「あ、ヒョロガリの人……クマみたいで可愛い……」


ヒョロガリの銀行強盗

「そ、そうか? あ、ありがとう……」


『ダアアアアァァァァン』


ヒョロガリの銀行強盗

「な、なんだっ!? なんか車の上になんか乗ったぞっ!?」


ゴリラ

「鉄也とラブコメするんじゃあねぇっ!! 鉄也とラブコメするのはこのゴリラだっ!!」


チビの銀行強盗

「車の上にっ!? ど、どうやってっ!? 誰がっ!? どうやってっ!?」


ゴリラ

「なぁに……大した事はしてねぇ。時速120キロで散歩をしている鉄也の匂いがしてなぁ……タイミング良くビルの屋上から飛び降りただけだ」


デブの銀行強盗

「ど、どういう事なんだなぁっ!?」


女の子

「ぎゃあああぁぁぁぁっ!?!? 新しいオバケエエエェェェッ!?!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「こ、子供が怯えているっ!? う、撃てぇっ!! 上の奴だけでも撃ち落とせぇっ!!」


 兄貴とデブが拳銃を取り出して、車の天井に発砲するっ!!


『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』

『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』


ゴリラ

「効かねぇなっ!! 俺は馬鹿だからなっ!! どんな攻撃をされても直ぐに治るっ!!」


コウ

「おーっ!! ゴリラーッ!! お前も来たのかーっ!! 銃弾効かないとか流石だわーっ!!」


ゴリラ

「フッ!! 補習の常連舐めんなよっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「君達っ!! クラスメイトっ!? 君達の学校どうなっているのっ!?」


ゴリラ

「てか、鉄也もコウもどうしたんだよ? 鬼の面なんてつけちまって? 仮装しながらマラソン大会か?」


鉄也

「銀行強盗追いかけているんだよ」


コウ

「見て分かれよー」


ゴリラ

「そうなのかぁ」


ヒョロガリの銀行強盗

「しまったっ!? もうじきっ!! アジトじゃねぇかっ!?」


チビの銀行強盗

「兄貴っ!! アジトに突っ込みますっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「ちょっと待てっ!! この女の子の亀甲縛りだけでも解くからっ!!」


チビの銀行強盗

「もうダメですっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「野郎共っ!! しっかり捕まれっ!! 女の子だけでも護れええぇぇぇっ!!!!」


『ガッシャアアアァァァァァァン』


『ガンッ』


ゴリラ

「いったあああああいっ!?!?」


 ゴリラが車の上から落っこちた。ああ、上に乗っていたのはゴリラだったのか。俺達、ゴリラを乗せて走っていたのか。あのゴリラは大丈夫だろうか。


ーチビの銀行強盗目線終了ー

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