第56話 銀行強盗

 下校中、コウとコンビニでアイスとジュースを買い、食べながら歩いていた。


鉄也

「やっぱりビーフシチュー味のアイスは意外性があっていいよね」


コウ

「……飽きないなぁー。ここ最近毎日食ってんじゃねーかー」


鉄也

「ん?」


 平日なのに銀行が閉まっている? なんかあるのかな?


コウ

「どうしたー?」


鉄也

「いや、あの銀行。平日なのに閉まっているから。あそこの銀行って祝日以外はやってるのに……」


『ドカアアアァァァァン』


 いきなり銀行の入り口が爆発した。


コウ

「鉄也ーっ!! 行くぞーっ!!」


鉄也

「おうっ!!」


 コウは黒い鬼の面をつけ、カバンから黒いコートを取り出すっ!!


 僕はミナモさんからパクった般若の面をつけて、能力で銀色のコートを作り出して羽織るっ!!


 僕とコウは急いで爆発した銀行へ駆け出すっ!!


 銀行から3人の男達が出てきたっ!!


チビの銀行強盗

「兄貴っ!! 今日は大量ですねっ!!」


デブの銀行強盗

「そうなんだなっ!! 今日は焼肉に行きたいんだなっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「テメェ等っ!! 早く車に乗り込めっ!! 早くしねぇと『国の盾』が来ちまうぞっ!!」


コウ

「そこまでだーっ!! 御用改めであるーっ!! 『国の盾』の『黒帝』参上ーっ!!」


鉄也

「ちゃららら、ちゃららら、ちゃらららら、ちゃららら、ちゃんちゃらら、ちゃんちゃららら、ちゃあああぁぁぁん、ちゃあぁん。どうも『黒鬼コンビ』の『鬼』担当の『泡沫の鬼神』です」


チビの銀行強盗

「あ、兄貴ぃぃぃぃっ!?!? なんかヤベェの来ましたよっ!! 登場音声を口で言いながら現れたんですけどっ!? ちっこい奴はなんか両手上げながら左足を上げて変なポーズとっているんですけどおおおぉぉぉっ!?!?」


鉄也

「……コウ。やっぱり和まないみたいだね……」


コウ

「うーむー……次から『デデドン』って言ってから右手と左手伸ばして登場してみるかー」


ヒョロガリの銀行強盗

「いや違うからねっ!! 和むとか和まないとか、そういう問題じゃないからねっ!! てかなんで変なポーズとかっ!! あぁっ!! もうっ!! ツッコミ切れねぇっ!!」


デブの銀行強盗

「あ、兄貴ぃっ!! 落ち着くんだなっ!!」


鉄也

「コウ。このポーズでの登場で初めてツッコミもらったよ」


コウ

「やったなーっ!!」


ヒョロガリの銀行強盗

「いやっ!! 『やったなー』っじゃねぇんだよっ!? 何がどうなってんのっ!? えっ!? 漫才でもしに来たのっ!?」


チビの銀行強盗

「あ、兄貴。こ、コイツ等……もしかして『黒鬼コンビ』じゃねぇですかっ!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「あぁ? 『黒鬼コンビ』?」


チビの銀行強盗

「知らねぇんですかっ!? 黒い鬼の面をつけ、かつて『国の盾』で『メタリックハンド』とかふざけた二つ名を持っていた強者『黒帝こくてい』。そして『魔王軍』っていう世界最強のテロ組織を一夜で壊滅させた子供。その子供は低身長、女のような声をした『泡沫の鬼神うたかたのきしん』。2人合わせて『黒鬼コンビ』。2人揃うと世界最強って噂ですよっ!! 各国の悪行積んだ組織もアイツ等に潰されちまったって能力犯罪者の間じゃ有名な話ですよっ!!」


コウ

「おい。誰だ? 『メタリックハンド』って言った奴はよ?」


チビの銀行強盗

「ひいぃぃぃぃっ!?!?」


コウ

「言い直せよ。今の言葉。『黒鉄の拳聖』って言い直せよ。あと『メタリックハンド』はイカした二つ名だろうが」


 あ。コウが真顔で怒った。


チビの銀行強盗

「いや、『メタリックハンド』はふざけた二つ名でしょ」


『グサッ』


デブの銀行強盗

「きっと若かりし頃に決めた二つ名で、今ではどうにもならなくなっちゃったんだな」


『グサッ グサッ』


ヒョロガリの銀行強盗

「う、うわぁ……それで黒歴史が世界中に広まっちまったのか……可哀想だなぁ……」


『ズドオオオォォォン』


鉄也

「コウッ!! 大丈夫っ!? 大ダメージじゃないかっ!!」


コウ

「はーいっ!! 怒りましたーっ!! もう絶対手加減しねーからなーっ!!」


鉄也

「しかし、僕等も有名人になったもんだね」


コウ

「まー、そんなワケだからよー。とっとと捕まれー」


ヒョロガリの銀行強盗

「『黒鬼コンビ』だか『黒帯コンビニ』だか知らねぇがっ!! 俺達が勝っちまえばっ!! 俺達が『最強』って事だろうっ!? 野郎共っ!! やっちまえっ!!」


 小柄な銀行強盗は懐からナイフを5本取り出し、僕等に投げ付けてきたっ!! 僕は右に、コウは左にそれぞれ避けるっ!!


チビの銀行強盗

「逃げても無駄だぜぇっ!! 俺の能力『ラブゲッチュ』で操っているナイフはどこまでも追いかけてくるぜぇっ!!」


 僕に2本、コウに3本。それぞれナイフが追尾してくるっ!! コウは拳を硬化させて3本のナイフをぶち壊すっ!! 僕は右手でチョップして刀身をへし折るっ!!


デブの銀行強盗

「お、オイラの、こ、拳は、す、全てを壊すんだなっ!!」


 太った銀行強盗は僕に目掛けて殴り掛かってきたっ!! 僕は彼の拳を蹴り上げて吹っ飛ばすっ!!


デブの銀行強盗

「んのおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!?!?」


鉄也

「その程度で『全てを壊す』? 舐め過ぎじゃない?」


チビの銀行強盗

「で、デブッ!? クッソッ!! デブの仇っ!!」


 小柄な銀行強盗は懐からギザギザの刃をしたナイフを取り出し、僕に目掛けて投げ付けるっ!! そのナイフはグルグルとまるでドリルのような回転をしながら飛んで来たっ!!


チビの銀行強盗

「くらえっ!! 『ピンク・ラブ・チュッチュッ・トルネード』っ!!」


コウ

「お前の方が技名ふざけ過ぎだろうーがーっ!!」


 飛んで来たナイフを僕が蹴り壊した時にコウはそう叫んでいたが……僕からしたらどっちもどっちな気がする。


チビの銀行強盗

「お、俺のひ、必殺技がっ!? あ、アッサリとっ!?」


ヒョロガリの銀行強盗

「て、テメェ等っ!! 俺達のバックに誰がいるか分かっているのかっ!? 世界最強の能力犯罪組織『パイナポー』なんだぞっ!!」


鉄也

「コウ、『パイナポー』って組織知ってる?」


コウ

「知らねー。世界最強の能力犯罪者っていったら『由多 志木』だがなー。アイツは組織とか作ったって話は聞いた事ねーけどなー」


ヒョロガリの銀行強盗

「なっ!? 『パイナポー』を知らないだとっ!?」


鉄也

「知らない」


コウ

「どうせ、雑魚だろー?」


ヒョロガリの銀行強盗

「くっ!! 俺達『パイナポー』の怖さっ!! その身に教え込んでやるっ!! くらえっ!! 『インフェルノ・ボンバー』っ!!」


 銀行強盗のボスっぽい男が右拳に炎をまとわせ殴り掛かってきたっ!!


 僕は奴の右側、コウは左側に回り込むっ!!


鉄也・コウ

「「ラリアットオオオォォォッ!!」」


 僕達のラリアットを奴の首に叩き込むっ!!


 奴は口から泡を吐いて気絶した。


鉄也

「さて、残ったのは君だけだ」


チビの銀行強盗

「ひ、ヒィッ!?」


コウ

「さーてー、さっきはよくも俺のネーミングセンスを馬鹿にしてくれたなー」


チビの銀行強盗

「クッソッタレェッ!!」


 小柄な銀行強盗は懐からナイフを2本僕等に投げ付けるっ!!


 僕は右手で掴んで止め、コウは左手で掴んで止める。


チビの銀行強盗

「『マジカル・ラブラブ・ロープ』っ!!」


 小柄な銀行強盗はポケットからロープを出して、銀行に向かって投げ付けると幼い女の子が亀甲縛りした状態で出てきたっ!?


女の子

「痛い痛い痛いっ!! 離してよっ!! ママァァァッ!!」


チビの銀行強盗

「テメェ等ッ!! 動くじゃあねぇぞっ!! この女の子のなぁっ!! 柔肌がズタズタになっちまうぞっ!!」


 お、幼い女の子を人質にっ!! なんて野郎だっ!!


チビの銀行強盗

「デブッ!! 早く兄貴と金を車に積み込めっ!!」


デブの銀行強盗

「もう積み込んだんだなっ!!」


 あの太った奴……。殺さないように手加減して蹴ったとはいえまだ動けたのか……。


 銀行強盗達は車に乗り込み、走り出すっ!!


コウ

「追いかけるぞーっ!! 高速移動ーっ!!」


鉄也

「おうっ!!」


 僕達は走って、去った車を追いかけたっ!!



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