第7話 友情

 ピエロ男が投げ付けた爆弾を咄嗟に左足の蹴りで防いでしまった。


 爆風で僕は地面に転げ回る。


 爆破の威力で左足の骨が折れて動かない。


鉄也

「……いったた……」


 僕は折れていない右足に力を入れてなんとか立ち上がる。


テン・バイヤア

「ほぉう。今の爆発で死なないのか。まさかその程度の傷で済むとはなぁ。だが、その左足ではもう素早く動き回れんだろうなぁ」


鉄也

「……」


 僕の折れた左足を見ながら奴はニヤリと笑う。


鉄也

「くっ!! 牛乳さえあればっ!! 骨折なんてすぐに治るのにっ!!」


テン・バイヤア

「……お前、本当にどんな身体してるの?」


 くっ!! こんな時に限って牛乳を持ってこないとかっ!! 不覚っ!!


テン・バイヤア

「さぁて、お前をどう殺してやろうか?」


鉄也

「確かに素早く、正確な動きはできないかもね……」


 僕は地面を叩いて、その威力で奴の方へ吹っ飛ぶっ!!


テン・バイヤア

「な、何ぃっ!?」


鉄也

「ウラララアアアァァァッ!!」


 僕はそのまま奴の頭を掴んで、宙に浮いたまま右膝蹴りを3発連続で叩き込むっ!!


テン・バイヤア

「ヴゥッブゥッ!?!? ヴゥッブゥッ!?!? アァヴゥッッ!?!?」


鉄也

「ウゥゥラアアアアアアァァァァッッ!!!!」


 そして右手の平手打ちを奴の左頬へ叩き込み吹っ飛ばすっ!!


鉄也

「ウラアアアアアアァァァァッッ!!」


 そして壊れた社の戸を持ち上げ投げ付けるっ!!


 ピエロ男は『あ、やべっ!!』と言い後ろに飛んで躱わすかわすっ!!


 僕は右足で跳ねて投げた戸を再び掴み奴に殴り付けるっ!!


 ピエロ男は高くジャンプして僕の攻撃を避けるっ!!


鉄也

「逃すかああああああぁぁぁぁぁっ!!!!」


 僕は持っていた戸を奴に目掛け投げ付けるっ!!


テン・バイヤア

「舐めるなっ!! このクソガキがああぁぁっ!!」


 ピエロ男は薄桃色の球体を作り出して、僕の投げ付けた戸を爆破で壊すっ!! 


テン・バイヤア

「ぶっ殺すっ!!」


 ピエロ男は薄桃色の球体を10個ほど作り出すと僕の真上からそれを落とすっ!!


 僕は近くにあったもう1つの石の台座の根本を殴って壊し、その台座を右手で持ち上げ投げ付け、爆発によるダメージを防ぐっ!!


 そして落下してくる台座の瓦礫を足場に奴に近付くっ!!


テン・バイヤア

「っ!? な、何っ!?」


 奴はナイフを振りかぶり刺そうとするっ!! 僕は左手でナイフを防ぐっ!! 左掌を貫通し甲まで刺さるっ!! だがそれでいいっ!! 僕はそのまま奴の手を握るっ!!


テン・バイヤア

「こ、このガキィっ!! ナイフが刺さっているのにっ!! 全く動じないだとっ!?」


 そして僕は奴の顔面を何度も何度も殴るっ!!


鉄也

「ウラララララララララララララララララララララアアアアァァァァッッ!!!!」


 殴る手を止めるなっ!! 反撃の隙を与えるなっ!! 奴の意識がっ!! 奴が死ぬまで殴る手を止めるワケにはいかないっ!! 


 これはチャンスだっ!! 今しかないんだっ!! この気を逃したらもう奴にはこれ以上接近できないっ!! 左足が折れている以上、もうここまで接近できるチャンスはないっ!!


 ゴリラが馬鹿やっていたおかげで奴に先手を取れたっ!! 内臓にダメージを与えられたっ!! 弱らせる事が出来たっ!!


 ゴリラが作ってくれたチャンスを逃すワケにはいかないっ!! 


鉄也

「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


テン・バイヤア

「調子に乗ってんじゃねぇっ!!!!」


 奴は左手で薄桃色の球体を作り僕のお腹に叩き込むっ!! 球体は爆発して僕は地面に叩き付けられるっ!!


鉄也

「ぐっ!?」


 うまく受け身がとれなかったっ!!


 奴は着地すると『いてぇなぁ』と僕を睨み付ける。


テン・バイヤア

「俺様の美しい顔面の骨が折れるかと思ったわ……。折れてないよね?」


鉄也

「ぐっ!? がっ!?」


 痛いっ!! お腹がっ!?


テン・バイヤア

「いい腹筋してるな。今の爆発、ただの人間なら内臓ぶち撒けているくらいの破壊力のはずだったんだがなぁ。腹を少し抉る程度とは……」


鉄也

「ぐっ!? 反撃……されない……くらい……思いっきり……殴った……つもりだったん……だけど……な……」


テン・バイヤア

「ちょっ!? そ、それっ!! 俺の顔面変形してないよねぇっ!?」


 僕は右足に力を入れてなんとか立ち上がるが……体がふらつく……。


テン・バイヤア

「もう、体は限界そうだな」


 ピエロ男は僕にゆっくり近付きナイフを振り上げる。


 もう、体が……。ここまでか……。


 コウ、ゴリラ……。うまく逃げ切ってくれよ……。コウ……約束……守れなくて……ごめん……。


コウ

「やらせるかああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 コウが茂みから飛び出すっ!! コウは持っていた木の棒でピエロ男の左脛をぶっ叩くっ!! 


テン・バイヤア

「ぶえぇっふぇっふぇっ!?!?」


鉄也

「っ!? こ、コウっ!? な、なんでっ!?」


コウ

「友達を置いて行くなんてっ!! 俺には出来ないっ!!」


テン・バイヤア

「こ、このぉっ!! クソガキがああああああぁぁぁっ!!!!」


ゴリラ

「俺もいる事っ!! 忘れんじゃあねぇぜっ!!」


『ブウゥゥスウゥゥッッ!!!!』


 茂みから今度はゴリラが現れ、ピエロ男の尻に木の棒を突き刺すっ!!!!


テン・バイヤア

「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?!? し、尻がああああああああぁぁぁぁぁっ!?!?」


 その後、ゴリラが僕に駆け寄るっ!!


ゴリラ

「よぉっ!! 鉄也っ!! 生きてるなっ!!」


鉄也

「ご、ゴリラっ!? な、なんでっ!? お、お前までっ!?」


ゴリラ

「へっへっへっ!! やっぱりお前を置いて行くなんて出来ないぜっ!!」


 ゴリラが僕を背に木の棒を構える。


鉄也

「っ!? ご、ゴリラっ!?」


ゴリラ

「これ以上、お前に無理はさせねぇ」


コウ

「後は俺達に任せな」


鉄也

「っ!? ご、ゴリラっ!?」


ゴリラ

「鉄也? どうした? 今にも泣きそうな顔して」


鉄也

「だって……ゴリラ……尻があぁっ!!」


 ゴリラの尻には太い木の枝が刺さっていた。


ゴリラ

「安いもんさ。ケツの1つや2つ。お前の為ならな」


鉄也

「ぼ、僕を護る為に……そ、そんな怪我をして……」


テン・バイヤア

「いやっ!! それお前がやったからなっ!!」


ゴリラ

「よっしゃっ!! 尻の仇をとってやるっ!! お前にやられた尻がジンジン響くんでなぁっ!!」


テン・バイヤア

「いやっ!! それ俺様がやったワケじゃないからねぇっ!!」


コウ

「鉄也を痛めつけた分っ!! お前をぶっ飛ばすっ!!」


テン・バイヤア

「舐めやがってっ!! このクソガキがああぁぁっ!! 全員まとめてぶっ飛ばしてやるぜぇっ!!」


 ピエロ男は左手に巨大な薄桃色の球体を作り出すっ!! お、大きいっ!! 直径2mはあるぞっ!! そして、なんかさっきまで出していた野球ボールサイズの球体よりヤバい感じがするっ!!


テン・バイヤア

「死ねえええぇぇぇっ!!!!」


 その巨大な球体を僕等に目掛けて投げつけるっ!!


 僕はコウ達の前に出て球体を掴んで思いっきり左側にジャンプするっ!! 


 そして爆発したっ!!


鉄也

「がっ!? ぐっ!? ぎぃっ!?」


コウ

「っ!? て、鉄也っ!? お、おいっ!!」


ゴリラ

「て、鉄也っ!!」


 くっそっ……い、意識が……

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