第2話 出会い
その後、気品のある服を着た人達、奴隷商人と呼ばれた人達は、褌を脱ぎ捨てた変態ヒョロガリ男とスーツ姿の人達に連行されて行った。
そして、鬼の面をつけた女性は僕に近寄ると彼女は鬼の面を外し顔を僕に見せる。
降り注ぐ光に照らされ彼女の凛とした美しい顔が僕の目の前に来る。
彼女はしゃがみ、僕の顔を見ながら話し掛ける。
女性
「君は……男の子かな? 名前は?」
僕は『分からない』と答えた。
僕はこの時、自分が何者なのか、何故ここにいるのか、自分の名前さえも分からなかった……。
女性
「困ったなぁ……。裸鬼、この子の情報は何かあったのか?」
変な人
「たいちょー。その事っすけどね……。『国の盾』の情報網も使ったっすけど……この子だけ情報がないっすよ。この子をエジプトで捕まえたと奴隷商人がゲロったんすけどねぇ……。どう見ても日本人っすよね? 奴隷商人の話によるとその子、言葉を話したり、計算したりはできるらしいっすけど……他の事はなんも覚えてねぇみたいっすよ」
女性
「つまり……この子は……」
女性は少し悩んだ後、僕の目を見て聞いてきた。
女性
「君、お姉さんと暮らしてみる気はないかい?」
変な人
「な、何ぃっ!? おいっ!! ガキィッ!! そのポジション代われぇっ!! 俺がたいちょーと暮らすっ!!」
女性
「アンタは黙っとれいっ!!」
変な人
「どけぇいっ!! 俺がたいちょーの愛人だっ!!」
女性
「嘘を言うなっ!! そもそもアンタは私のタイプじゃないっ!!」
女性は変な人に一喝すると咳払いをして、再び優しい声で僕に尋ねる。
女性
「で? どうかな?」
僕が『帰る場所が分からない』と言うと彼女は微笑みながら『じゃあ、決まりね』と言い僕の手を取り歩き出す。
女性
「そういえば……君、自分の名前が分からないんだっけ? 名前が無いのは困るよね……。うーん……。あ、そうだ。『
僕は『じゃあ、それで』と言うと彼女はニィッと笑い『これからよろしくね。鉄也』と言う。
これが彼女『
変な人
「ぐうぅぅぅぬぬぬぬうううぅぅぅ……。う、羨ましいぃ……。羨まし過ぎるぅ……」
スーツ姿の人A
「副隊長……。いい加減、褌を着けてくださいよ……」
スーツ姿の人B
「てか服着ろっ!! 服っ!!」
スーツ姿の人C
「恥を知れっ!! 副隊長っ!!」
変な人
「お、お前らっ!! な、なんだその態度っ!! 俺、副隊長だぞっ!!」
スーツ姿の人A
「その前にアンタはただの変態なんだよっ!! なんで戦う時は全裸になるんだよっ!!」
彼女との生活が始まる前、僕の体に異常がないか調べたが、異常はなかった。
分かったことは僕の年齢だ。僕はどうやら8歳だったらしい。
ちなみにミナモさんは僕を引き取った時、18歳であった。僕とは10歳もの歳の差があった。
こうして僕とミナモさんとの平和な日常が始まるのであった。
ミナモさんは『国の盾』と呼ばれる組織に所属し、一番隊隊長を務めている為、毎日忙しそうだったが、僕の為に時間を割いて勉強を教えてくれたり、遊ぶ時間などを作ってくれた。
僕はそんな彼女の事がいつしか大好きになっていった。
そして僕の事を助けてくれた彼女にいつか恩を返したいと思うようになっていた。
ミナモさんが所属している『国の盾』は、国を裏側から支え、護る為の組織で、救いを求めている人達を助ける事が仕事らしい。
ミナモさんは組織で『
ミナモさんの紹介で僕は『国の盾』が経営している小学校へ通う事になった。
そこでゴリラ顔の男の子『
三人で近所の神社内を探検したり、お金持ちのゴリラの家に集まりゲームをしたり、漫画好きのコウの家に集まり漫画を読み次の展開を予想するゲームなどをしたりして遊んだ。
気が付けば僕らは10歳になっていた。
このまま何事もなく、平和な日常が過ごせると心の底から信じて疑わなかった……。
10歳の夏、下校前に担任から『最近、行方不明事件が増えているから皆さん気をつけてください』なんて話があった。その後、ゴリラが教室内でとある話を持ち掛けてきた。
ゴリラ
「町外れに廃神社があるの知ってるかっ!?」
鉄也
「え? そうなの?」
コウ
「ん? ああ。俺は知ってるぜ。なんて名前の神社だったか忘れたけど……。確か林の中にある神社で薄気味悪い所だったよな……。それがどうしたんだ?」
ゴリラ
「なんでもそこにピエロのオバケが出るらしいんだよっ!! 夕方みんなで集まってその廃神社に行ってみないかっ!? 今日は肝試しパーティーだっ!!」
コウ
「肝試しパーティーって……。どんなパーティーだよ……。でも肝試しか……。最近暑くなってきたし、ちょうどいいかもな」
ゴリラ
「よっしゃっ!! じゃあ、決まりなっ!! みんな家族に言うなよっ!! 俺達だけの秘密だぜっ!!」
これが僕の運命を動かすキッカケとなった……。
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