第14話 二人ぼっちの牢獄
灰色の壁と、灰色の天井。堅いベッドに座りながら、
「……ああ、
どうしてこうなったのかと過去を振り返る。ここ二カ月の間だけで、たくさんのことがあった。帝都の生活は、田舎とは違って本当に慌ただしくて、ついて行くのが精いっぱい。思い出を整理しているうちに、最初の記憶に辿り着く。
「言われた通り、さっさと帰れば良かった」
結果として、球場一つ分の広さを、全焼または半焼させたとの被害報告がなされることとなった事件。事件の発端としては、〈新生・
渦中にいた
――あらゆる物を
それゆえに、人々からは恐れられ、実際に千年前には都が滅ぼされている。そして千年前の場合は、
だが、
だから、会いたいと思ったのは――
「憧れなんかじゃなかった……」
会いたいと願う心。
その正体は――
「――殺意だ」
口にすれば、ドクンと心臓が脈打った。身体の奥から、自分ではないものが、赤黒い血とともに込み上げてくる。駄目だ! こんなこと考えちゃだめだ! そうやって必死に抑えようとしたが、溢れ出せば止まらなかった。揺らめく
「嫌だ! 違う! こんなの私じゃない! 消えて!」
「ならば、貴様は誰だ?」
「……ッ!」
「
では、貴様が自分の意志で
「
「やめて!」
「なぜなら貴様は――」
「やめて!」
「
目を閉じ、耳を塞ぎ、やめてと叫ぶ
「子よ。血が命じるままに、身を委ねるがいい」
敵は世界だ。
世界が敵だ。
「世界が殺しに来るぞ」
*****
「……違うよ」
「世界が敵なんじゃない。――私が世界の敵なんだ」
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