第13話 解き放たれた力
蝉しぐれ。
森のなかで虫取りをして遊ぶ二人の女の子がいる。一人は活発そうだが、足元がおぼついておらず、危なっかしく見える。一人は気だるげにしていて退屈そうだが、こけないように見守っている。
幼き日の
そんな二人に、十五歳の
「ここから先は危ない。行かない方がいいよ」
もっとも、残党といってもその全ては自称だった。正体を暴いてみれば、〈
いずれにせよ、伝説に残っているような恐怖を具現化したような存在ではない。それでも、田舎には〈
禍々しい祠。
そんな場所に、子どもを近づけてはいけない。そんな思いから、
「いやだ! この先にカブトムシさんの木があるもん!」
「じゃあ、僕が取ってきてあげよう」
その様を見て、
「ちょっと早いかな。大人になったらできるようになるよ」
「やだやだやだ! いまやりたい!」
「えぇ……。じゃあ、ちょっとだけ」
どうせできるわけがない。なんせ相手は、小さな田舎に住む、普通の女の子だ。頭ではそう理解していた
(もしかして……この子。素質あるんじゃ……?)
教えた事がすぐに目の前で再現される。そのうち
「それで、こうすれば……」
「こう?」
そしてついに、〈
初めこそ、自分の〈
「すごい! やった……ね――」
だが、
「――鴉? なんで? だって……。
狼狽える
そこへ、おもむろに向けられたのは、
「貴様……
「――ッ! まさか、〈
「
*****
「逃げて、
「気が付いたか、
「これは……いったい……?」
「……無事なら、それでいい」
戸惑ったままの
「これ……、私……が?
「無事だ。みんな無事だ」
「
「お前のせいじゃない」
「私の――」
「お前は悪くない」
穏やかな口調。それに反し、
ふと、手のなかに違和感を覚える。見ると、かつてお守りだったものが、いまは黒い塊となっている。その姿にギョっとした
「うそ……」
その瞬間に、
「お前は悪くない」
「……」
「お前のせいにする奴がいたら俺が守ってやる」
だから。
「もう離れるな」
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