第05話 理由の分からない苛立ち
「ほんとムカつく! なんなのアイツ?」
正午過ぎ。
教室にいても、毛玉と呼ばれるだけで、居場所があるわけではない。学期初めは、
でも、いつまでもベンチで昼ご飯を食べることができるだろうか。入学してから一カ月。少しずつ日差しの強い日が多くなってきた。これから雨の日も増えるだろう。虫も出てくる。劣悪な環境で弁当を食べる自分を想像し、その次に不覚にも、冷房の効いた快適な部屋で昼食を取る
全部、アイツのせいだ!
「くっそー! 絶対、快適な場所を奪還してみせる!」
しかし、当てがないことに変わりはない。目下、
そこで、
「
お茶に口を付けながらそんなことを思う。彼女の最初の進路希望は、地元の高校だった。それでも、
一方で、
凡人がそんな世界に行くには、並大抵のことでは無理だ。合格発表のページ画面で受験番号を見つけた時、
でも、本当に行きたかった場所だったのだろうか。もしかしたら、さして行きたい場所ではなかったのかもしれない。帝都まで着いてきくれるのは嬉しいけれど、彼女は上手くやれているのだろうか。
そんなことを思っていると、グラウンドの隅に人影が現れる。
何をやっているのだろう。散歩だろうか。とにかく手を振ろうとした時、次に目に飛び込んできたのは、友人数人と一緒にいる姿。そして、輪を作ったかと思うと、仲間の一人が持ってきたボールを使ってバレーをして遊び始めた。
「ンぬぁ……っ!」
どうして、あんな陽キャのグループのなかに……しかも中心的なメンバーになれたのだろう? どんな魔法を使ったんだ? いや、問題はそこではない。つまり、
「あのグループのなかに……入れと?」
*****
「
声がして振り返ると、
「どうしてここに?」
「それは、こっちのセリフだよ。一緒にいい?」
「それは別に、いいですけどぉ……」
「あはは。だから、なんで敬語なの?」
「ハハ……親友が……遠くの世界に行ってしまった……」
「? どういうこと?」
「いや……、なんでもないです」
「えー? 気になるじゃん」
どこから話したものか。口をもごつかせる
「ところで、朝はすごかったね。
「あ……、いや……それが……」
気まずそうに視線を逸らす
「実は、朝の記憶、あんまなくて……。
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