第3話 登場! ピンクのピザ

 モモちゃんたちを見ていてね、と爽子にたのんでキッチンへ向かう。

 オーブンを開ければこんがり焼きたてのタラモピザが、とろけたチーズにぷつぷつと気泡を弾けさせている。


 爽子のタラモサラダはピンク色が濃いめ。博多のおばあちゃんから明太子を送ってもらって作ったのだそうだ。

 ピザにのせてもピンクみの強さは健在だ。

 これを大皿にのせてカットし、小皿2枚とカトラリーを持ってリビングに戻る。


「あ、いい匂い!」

「私たちの合作、完成だよ♪」

「ぴい!」

「ぴぅっ、ぴい!」

 モフェアリーたちがにわかに騒がしくなった。箱のふちからとび出さんばかりに身体をのばしたりピョンピョン跳ねたりしている。

 もちろん本当に飛び出すことが無いよう十分に深い箱にいれたつもりだけど……。


「ねえねえ、この子たちもお腹すいてるみたい。エサは……?」

 キッチンのフルーツのしまい場所を爽子に説明するより、飼育箱のなかを一緒に見ていたい。

「これにしよう」

 

 私は、カットしたとき少し小さくなってしまったピザを一切れ、飼育箱に移動する。

 生地のはじっこからこぼれそうなマッシュルームもチーズの糸一本でついてきた。


 呆気にとられている爽子の視線で思い出したけれど……動物は熱いものを食べない。

 

 と思いきや、モフェアリーたちは熱々のピザに寄ってきた。




 

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