第2話 もふもふ

 ピンクの頭のモモちゃんをてのひらに載せ、ふわふわのしっぽをそっと撫でる。

「ぴぃ〜♡」

 モモちゃんは嬉しそう。


 爽子の手にも藤色の頭のフジちゃんをのせてあげようとして、しっぽをつかんで持ち上げると、それは

「ぴぅ」

 ちいさな声をあげた。

 爽子は受けとると「ありがと。ごめんね」と、前半はこちらに後半はフジちゃんに向けて言い、しっぽを優しく撫ではじめた。


「2匹いっしょに見つけたんだよ。日向の水のないところでグッタリしてて、可哀想だったの」


「へえ……よかったね、優しい人に見つけてもらえて」

 自宅のペットのように親しげな爽子に、フジちゃんもすっかりくつろいでいる。


「私が見つけた時にはショボショボだったお目々が、家で水を飲ませたらパッチリと」

「ん?」


 爽子は何か言いたそうにこちらを見た。

 そこで

「ぴわっ♡」

 フジちゃんが一声鳴いた。


「ねぇ、モフェアリーは仲間と触れ合うのも好きなんだって。いったん箱に戻してみようよ……連れて帰ったらそれぞれ1匹になるんだし」

 私も賛成し、モモとフジは箱の中のモフェアリーとなった。

 爽子が言おうとしていたのはその事だったのかしら? どうも違うような気がするけれど、モフェアリーたちの可愛い仕草に見惚れるうちに忘れてしまった。


 フジちゃんはモモちゃんのしっぽをモフモフし始めた。モモちゃんも満更でもなさそうだ。

「ぴわぁ〜♡」

 

 やがて、あんなに喜んでいたモモちゃんが身体の向きを変えたと思うと、こんどはフジちゃんのしっぽをモフモフしている。

 どちらも気持ちよさそう。


 私はすてきなことに気づいた。

「ねえ、モモちゃんのしっぽ、キラキラしてない?」

「本当だ……」

「よく見ると、フジちゃんのしっぽも少しキラキラしてる。でもモモちゃんのほうがキラキラ感がつよい」


 このキラキラは何だろう、と思っている間にアラームが鳴った。

 タラモピザの焼き上がりだ。



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