パパと三兄妹
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父と子、4人での生活が始まった頃の話。
仕事に育児に忙しい日々、里美の存在の大きさに気付かされる毎日だった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
保育園生活最初の一週間を終えた週末、近所にある小さな公園へとやって来た。
このくらいの広さなら、三人まとめてちょろちょろしても見失うことはないだろう。
たが三人それぞれ興味のある方向へ足を運び、自分一人ではなかなか目が行き届かない。
「あっこ、のる!」
ブランコに乗りたいとねだる優梨を乗せると、愛梨も同じように求める。
ここの公園のブランコは乳児の落下防止タイプの物ではなく、昔ながらの普通のブランコであるため目が離せない。
「パパー、あーたんの、みて!」
「キャー!ちいねー!じょーじゅー!」
末っ子の優梨は『楽しいね、あーちゃん、 ブランコ乗るの上手!』
と言っているらしい。
二人がそれぞれ座るブランコを小さく揺らしてやると、キャーキャーと盛り上がる双子たち。
「楽しいね!」なんて、いつの間にか言葉で意思疎通ができる様になっていて、そんな眩しい娘たちの笑顔に俺の心もトキメク。
「おーくんも!!」
「そうだよなぁ、亮二も乗りたいよなぁ。でも順番こな。」
最初のうちはしゃがみ込んだ俺の横で、揺れるブランコの前に飛び出さぬよう抱えて待っていたが、魔の二歳児は待ってはくれない。
「かーちーて!」
「めー!」
「ゆーりー!のーしぇーて!」
「やー!うーちゃんの。」
「パパ!これ、のーるのぉー!」
亮二は妹二人がブランコを代わってくれないと訴えているのだ。
「愛梨、亮二と交換しよっか?」
「だめーなのー」
「優梨は貸してくれるか?」
「ゆーりのー!」
「優梨のだけじゃないぞ?みんなのだよ。」
二つしかないブランコ。
二人だけを残して亮二だけを他の遊具に連れて行くわけにもいかず、こんな時人手があればどんなに良いか。
こうなると手が付けられなくなるのが、イヤイヤ期真っ只中の亮二なのだ。
「ぱぁぱー!のるー!あーやあぁーー!」
考えた俺は、女の子二人を下ろすと自分が座った。
ブランコから降ろされ不思議そうに見つめる双子と、亮二を強引に三人まとめて膝に座らせる。
そして落ちぬよう抱えて小さく漕ぎ出すと、それは大盛り上がりだった。
「賀城さん?」
「お?こんな所で会うとはな。」
職場の後輩女性だ。
まだ独身だったはずだが何故こんな所にいるのだろうか。
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