第41話 【兵器掌握】友好の姉
二頭身のおねえちゃんがワタワタしている。
□そのですね、私の本体は本当に恐ろしい見た目をしていますので皆さんには見せられないと、いいますか□
二頭身のおねえちゃんが本体?の見た目を理由に嫌がっているがこれも此方への配慮みたいで昔聞いた遺構探索録の話と通ずる所がある。
「構わないわ」「いいよぉ!」
ローズとおねえちゃんは押せ押せでこれが協力って事だろうか?
□そんなに言うなら、こっちに来てください□
光っていた壁が開いてさらに地下に続く道が魔道具らしきもので白く照らされる。
「確かにこれは物語の中なのだ」「いいね~!最高だね!!」「手慣れすぎだよ?」
ローズが王国のセオリー通りにトントン拍子で進めるのを黙って眺めていた面々は地下に降りながらローズ劇場の感想を漏らす。
地下へ続く道の先からは眩しい光が差し込んでいる。
「これは…」
通路の先の部屋には高さ2メトルほどの銀色の魔導兵器が安置されていた。
その姿は前傾姿勢の飛び立つ鳥の様で、脚部は鳥と同じく逆関節、胴体は細めだが単一のプレートで覆われていて堅牢そうだ、両翼代わりの後ろ手に隠しているが隠しきれていない胴体より巨大なアームの下部にはバレルを六本束ねた物騒な砲門が2門ずつ覗いている。
堅牢そうな胴体から地面と平行気味に突き出した鳥の様な頭部の嘴の縁に配置された緑色の複眼が光ると地面から半透明な二頭身おねえちゃんが出てきて魔導兵器を指し示す。
物騒な魔導兵器から声が聞こえてくる。
□私はイーグル。この軍事工場の管理者兼、防衛者です。□
ローズがニヤニヤしている!?何だか嫌な予感がするぞ!?
嫌な予感を証明するようにピンクの影がスルスルと前に出てきて魔導兵器にタッチする。
あぶないよ、おねえちゃん!?
□不明なユニットが接続されています。即座に接続をて…□
二頭身おねえちゃんが固まってしまった…
…
□わぁ~ユーザーだ~□
!?
「いったい何をしたんだ!?」
「暴走していない旧文明の相手は基本的に友好的だから、もっと友好的になってもらおうと思っただけよ?」
堂々としているローズにそうなのかな?と騙されそうになるが建前だコレ!?
「仲良くなろうね~?」
建前を信じてるおねえちゃんが銀の鳥に抱き着く。
□よろしくね~!うれし~!□
□でも、危ないから~!そのスキルを乱用しないでね~?□
半透明の緑の目を赤く光らせた二頭身おねえちゃんが注意する。
「わかっちゃうんだ~?」
□エネルギー波がセンサーに反応したよ~□
「そうね、感知されるならチェルシーに危険な橋を渡らせる訳にもいかない」
「この手は封印ね」と反省する才女の大胆な手法でユーザーとやらにおねえちゃんが成ってしまった。
「ユーザーって何だろう?」
「旧文明の兵器に使用者として認証された者の事ね。シールド学園長が有名だわ」
俺の疑問をサラリとローズが答えるが…
「装備は物騒だけど、兵器なのかな?」
抱き着かれ動けなくて困っている銀の鳥は無理な姿勢で硬直している。
「う~ん、面白い!」
おねえちゃんが抱き着いて動けない銀の鳥に楽天エルフがペタペタと触れる。
「随分素直な反応なのだ」「動きが生物だよ」
何かあったら飛び出せるようにしていたベクターと、回復の奇跡を早打ち出来る様に構えていたエテルナも構えを解いて見物だ。
アルテは早々に触るのに飽きて、銀の鳥に登り始めているぞ!?
「戦力も揃っていて、実験するのに最高に良い状況だったのよ」
「弱い機械と仲良くなっても困るだけだし」と本番一発の理由を語るローズにきっと仲良くなったら、おねえちゃんは弱くても大事にするし同意する。確かにウェポンマスターなんて言われると、旧文明の兵器にも効果が有りそうだ。
おねえちゃんなら当然の結果だ。
「おねえちゃん、すごいよ…!」
「軍事工場の管理者にも有効か、限界が見えなくなったわ」
ローズが思案顔だが才女の想定も超えるなんて、さすがはおねえちゃんだ。
ついに銀鳥の首からプラプラぶら下がり始めた楽天エルフの真似をしておねえちゃんもぶら下がっている…!
□危ないから、やめて~□
イーグルが凄い困ってる。
凶悪なはずの兵器が遊具になってるぞ!
「ユーザーの権限で何ができるかしら?」
長閑な光景に笑みを浮かべ考えを纏めたローズが切り出した。
□ユーザーはユーザーですので私のできることは何でもできますよ~□
おねえちゃんと楽天エルフをあやす様にゆらゆら揺らしながら答える銀の鳥。
□???ユーザー権限の制限が無いな~?凄いスキル~□
ローズの赤色釣り目がニヤリと細くなるのを見て身震いする。
これ以上、何をやる気なんだ!?
「こんなことは出来る?」
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