第3話 小6と戦闘訓練
「ぅうおおおおおお!」
俺は秋斗。ジェパンで小学生をしている。否、していた、と言うべきか。今は修学旅行先のジュエラルで学生兵として、戦闘訓練を受けている。なぜかって?それは今からちょうど二ヶ月前——
☆
「アナタタチハ、イマカラ、我ガクニノ、兵士トシテ、タタカッテモラウ。キョウシノミナサンハ、飛行部隊ニ、イッテモラウ。セイトノ、オトコノコハ、陸上部隊ノ訓練ヲシテモラウ。オンナノコハ食糧ノハイキュウト、ブキヲクミタテテホシイ。サア、コッチダ。」
そうして僕らが連れてかれたのは、グラウンドだった。そこには、銃の形を模して木で作られた訓練用具が並んでいた。
「僕らはあなたたちの国の人間じゃない。だから、僕らはあなたたちの国のために戦うことはできない。」
「ソンナコトハナイ。ジェパン政府ノキョカハアル。」
どうやら、僕たちが兵士として戦うことについては政府の許可が出ているらしい。
「オマエラ、ヒコウキデバクゲキスル、カ、チジョウデタタカウ。エラベ。」
「ひ、飛行機⁉︎」
「私たちの生徒たちは、飛行機なんかに乗せません!それも爆撃だなんて。危ないじゃないですか!」
「ふん、俺らは別にいいぜ。どうせ下にいても地上戦に駆り出されるだけだからな。地上戦よりかは生存率は高いだろう。」
他クラスの男子がもっともな理由をつけて話した。だが概ね、面白そう、という興味本位だろう。
「え、ええ。確かに飛行機であれば、脱出パラシュートも装備されているでしょうから安全かもしれませんが、機体の操縦は危なすぎます。私たちは許可しませんよ!」
「オマエタチ、ワレワレニ、サカラウノカ……?」
そいつはたっぷりと間を置いた後、
「トラエロ。」
と呟いた。すると、周りにいた兵士たちが、一瞬にして僕たちの先生を連れ去ってしまった。
「な、なんてことするんですか!」
「ワレワレニ、サカラウヤツ、コロス。」
「でも!先生たちは!私たちのことを想って意見を出してくれたんですよ!」
「シラン。サカラッタカラ、トラエタダケ。」
僕たち生徒の意見も、筋が通っていたが、彼らの言うことも、意見が通っていたのだ。
「……でも!」
「そうですか。わかりました。この場は引き下がりましょう。ですが、一つだけ条件が。」
周りの女子たちが、反論にも満たない反論をしている中、僕は、勇気を振り絞って、そう告げた。
「ナンダ。キイテヤル。」
「囚われている先生方には人道的な扱いをしていただきたい。最低限、身の安全を確保してほしい。それが守れないのであれば、僕たちがあなた方に協力することはありません。」
「フン、イイダロウ。」
「ありがとうございます。」
僕はそういうと、「ふぅー」と一度深呼吸をした後、くるりと体をみんなの方に向けて、
「ここからは、生徒会長である僕が仕切る!皆、僕の指示に従うように!ひとまず、彼らの指示通りに、女子と、持病がある月見と、足が悪い越谷は補給部隊に、残りは陸上部隊と、航空隊に分かれろ。」
「「「「「おう!(はい!)」」」」」
みんなが指示を聞いてくれるか不安だったが、大丈夫だったようで安心した。そしてみんなはそういうと女子たちの列、陸戦部隊志願、航空隊志願の列に分かれて一列に並んだ。
「ジュエラル兵の皆さん、ありがとうございます。我々は分かれました。ここからはあなた方にお任せします。私は飛行部隊に入ります。それでは、お願いします。」
「ワカッタ。オマエハ、飛行部隊のリーダー、トシテホシイ。補給部隊、陸上部隊ノリーダーモ、キメロ。」
「はい。わかりました。それでは、まず、陸上部隊は古沢、補給部隊はゆいちゃん、頼めるか?」
「俺でいいのか?」
そう聞いてきたのは、陸上部隊の古沢だった。
「お前でいいって言うか、どう考えてもお前以外誰もいないだろ?」
「まぁ……そうだな……わかったよ。」
今度はゆいちゃんの方に行って話を聞いてみる。
「ゆいちゃんの方は、問題ないか?」
「うん、私でよければ頑張るよ。」
「気楽に頑張ってね。空の上から応援してるよ。」
「う、うん……頑張る……」
「どうした?顔赤いよ……?大丈夫?」
「だ!大丈夫!ごめん!ありがと!」
そう言うと、ゆいは走って戻って行った。大丈夫なんだろうか。僕の頭にはゆいの赤い顔が残っていた——
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