第2話 失踪

『当機はジュエラル国際空港行きの飛行機です。まもなく着陸致します。シートベルトをご着用ください。電子機器の電源はお切りください。』

 

アナウンスの後、窓の外を見ると、何機かの戦闘機が見えた。

 

「おい秋斗。この戦闘機の数、少し多くないか。それに二種類の戦闘機の種類がある。国旗も違う。」

 

「すまん鉄也。俺にはいつもの戦闘機の数がどれくらいかとか機種がどうとかがわからないからなんとも言えん。」

 

「そうか。まあ何もないといいが……。」

  ☆

「「「ジュエラルに降り立ったぞーー!」」」

 

クラスのみんなの声が重なった。先生は、ジュエラルのガイドを務めてくれる方と、プランの確認をしていた。今回の修学旅行は総員約二百名ほど、六泊七日の大きな旅行だ。無事に飛行機は着陸し、空港で迎えにきてくれるというバスを待っていた。

 

『×××××!×××××!××××× ××××× ×××××!』

 

と現地の言葉で緊迫したような放送が流れた。そして、同行してくれる通訳さんが、慌てたように叫んだ。

 

「緊急速報です!カブリノがジュエラルに宣戦布告しました!」

 

みんな、自分たちがいる国がどんな状況になったのか理解できなかった。だが、頭の回転が早かった児童の中には一斉にどこかへ逃げようとする者、飛行機に乗ろうとする者パニックになっている者、放心状態に陥った者などがいた。


 空港の上空には空路を断つためにカブリノの爆撃機が滑走路に八百キロ爆弾を水平爆撃で投下しているところだった。何か大きなものが落ちてきたと思うと、激しい光と共に爆音と爆風を撒き散らした。最初に被害を受けたのは滑走路近くで作業していた作業員たちだった。建物の中にいた人たちは建物が頑丈だったため、ガラスの破片などでの軽傷で済んだ。しかし、滑走路にいた人たちや飛行機は吹き飛ばされてしまっていた。


「ひでぇ……なんでだよ……」


「わかりません……ですが、僕たちが危険に足を踏み入れてしまったことだけはわかります……」


タタタタタタ……


遠くから銃声が聞こえた。それを聞いた学年の女子たちはうずくまったり、悲鳴をあげたりしている。それを宥める教師たち。男子の大半もおおむね女子と同じようなものだ。


「どうすんだ?鉄也。逃げたいが逃げれねぇ。完全に詰みだぜ。」


「あぁ。教員たちまでパニックになってる今、個人の勝手な行動は控えるべきだ。ひとまず冷静に状況を確認しよう。」


「×××××。××××× ××× ×× ××××。」


この国の国旗の刺繍を戦闘服の肩の部分につけた軍人だと思われる人が叫んだ。それを通訳の人が通訳してくれた。


「皆さんには今から避難してもらいます。とりあえず軍の車がありますのでそちらへどうぞ。」


「乗るのか?鉄也。」


「あぁ。多分連れてかれるのは軍の基地だろうけど、ここよりは安全だ。」


ちょうど、先生が生徒のみんなに車に乗るように伝えているところだった。軍の基地に着くと、大きな宿舎に通された。配給のご飯をもらった後、みんなはいくつかの部屋に分かれて眠りについた——

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