第2回

 純潔を捧げること、それで私は聖女を辞められる。


 これを知った時、私は大層喜びました。普通なら、神の思し召しや優しさと受け止めることでしょう。私の場合は、とっくに見限っていましたのでどうとも思いませんでした。しいて言うなら、ざまぁですね。


 ただ、この条件私には大変難しかったのです。


 そもそも、この国には『年の近いもので結婚する』という明言こそされていませんが、暗黙の了解があります。


 そのこともあってか、聖女と年の近いでペアを組む制度が存在します。そして、多くのペアはそのまま結婚へと進みます。


 そりゃ、そうですよね。聖女であっても、うら若き乙女であることに変わりはないのですもの。そのような時期に、五年も六年も一緒にいれば情もわきます。


 私には、いませんけれども。


 えぇ、私にはペアの神官様はおりません。適性有りとされたのが、8歳。年の近い方は、いるはずもございません。ですから、3から4ほど上の聖女様と見習い神官様のペア数組について回っておりました。


 12歳になった頃、流石にペアを組むことなく活動期間を終えるのはどうなのだろうかということで年の近い見習い神官様数名と仮のペアを組むことになりました。結果は、散々なものでした。私には、4年分の実績がありますからその分強いといいますか立ち回り方を知っています。同い年とはいえ、女にどうこう指図される。この年齢の時期は、特に気に障ったのでしょう。知らぬ間に、無かったことになっていました。


 ふふ、随分懐かしい思い出ですね。結局私は、ペアを組むことなく今に至ります。


 ですから、相手探しに結構苦労したのですよ。私はね。向こうからしてみれば、勝手に罠に落ちただけでしょうけど。


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