第3ゲーム

「皆様、お疲れ様でした。では、これから食事となります。私の指示に従ってご移動ください。」

 <落ちたブロックは5個 死者2名 ゲーム時間180秒>

 ものの3分でゲームが終了したが、その3分が異常なほど長く感じていた。それは全員一緒なはずだ。

 スタッフの声が聞こえるが、自分は金縛りにあっているような気がして、ピクリとも動けなかった。

「あ、あのう…この、下敷きになった方々はどうするんですか?もしかして、死んだんですか?」

 おそらく全員が同じことを思っていたが、誰も言わなかった。その質問はタブーだ、と誰しも分かるはずなのに、この太ったおばさんは。よほどこのゲームの仕組みを分かっていないのだろう。

「私の指示を呑めない、ということでよろし…」

「い、いや違います!すみません…」

 まぁ、そうなるだろう。あの掠れ声の男のことを想像すれば、流石に黙るはずだ。

「では、こちらへ。」

 しばらく歩いて、ベッドルームに着いた。ここで食うのか。だが、俺にはそんな余力はない。だって人が死んだんだ。2人も。ものの3分で。

「食事は19人分用意してしまいました。1人分余ってしまうので、どうぞそちらも含めて食べてください。」

 目の前で、丸パンが3個とペットボトルの水が膝の上に置かれた。これがここのご飯か。もうこんなこと辞めてしまいたいが、どっちにせよ食べなければ動けないと思い、進まない手を頑張って動かして口に含んだ。

「にしても、なんで19人分作ったの?」

 もごもごしながら口を開いたのは高校生ぐらいの男の子だった。スタッフに聞いたようだったが、返事がない。

「多分、ミス?」

 答えたのはゲームで叫んでいた女性だった。

「まぁ、そうだろうな。」

「では、間も無く消灯時間となります。皆様、どうぞごゆっくりとお休みくださいませ。」

 スタッフがさっきの質問がなかったかのように喋り出した。スタッフは、俺たちが食べている間から1歩も動いていない。

「それでは、消灯いたします。また、明日。」


 <翌日>

 俺はゲーミングチェアの上で寝ていた。

「ここは…家?」

 慣れた手つきで朝シャワーをし、コーヒーを淹れる。懐かしいなぁ。そういえば、あの人何してるんだろう…あ、今ゲームの司会をしてるんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

てとりすげーむ(作品移行) 噂のはちみつ @honey0108

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ